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文化人類学がおもしろい

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わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
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2022年4月の記事一覧

意味分節理論とは(8) 意味分節システムを発生させる神話の「論理」を記述する -レヴィ=ストロース著『神話論理』を読みつつ考える

(今回のお話は上記の記事の続きですが、前回を読まなくても大丈夫です) * レヴィ=ストロース氏の「神話論理」を読む上で、個人的に非常に重要だと思っているところは「半-媒介者」の話である。 半-媒介。媒介ではなく、半-媒介。それはどういうことかといえば、媒介が「一方向においてのみ成功する」ということである。 媒介者(半、ではない媒介者)は、例えば天と地、地上と樹上、人界と地下世界などなどといった対立する二極の間で、一方から他方へ、他方から一方へ、行ったり来たりする。この

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生命体としてのシンボル分節システム ー感覚、イメージ、シンボル、ことば

国立民族学博物館で開催された公開講演「イメージの脈動にふれる」をyoutubeで視聴しました(現在は非公開)。 基調講演は中沢新一氏の「眼とイマージュ」である。 中沢氏といえば、私もこのところ『アースダイバー神社編』を読み込んでいたところである。「イメージの脈動にふれる」も繰り返し再生して拝見しました。 講演の中で中沢氏は、人間の身体の内部から発生する”脈動”するイメージについて論じる。 イメージというのは、私たちが他人の話を聞いたり、かつて経験したことを喋ったり、目