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文化人類学がおもしろい

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わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
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2022年3月の記事一覧

意味分節システムの発生に立ち会う術を、レヴィ=ストロースに習う

先日の記事に引き続き、レヴィ=ストロース氏の『やきもち焼きの土器つくり』の一節を見てみよう。  * * *  これはいったいどういうことだろうか? 神話が”複数”の”コード”を並用する、というところから見てみよう。 まずコードとは何のことか。 コード-とはコードというのは、ある何かの記号と他の記号との置き換えの規則である。 例えば、モールス信号のコードでは「A」という文字は「・ー(トン ツー)」という短い電気信号と長い電気信号の組み合わせに置き換えて表現すると決め

フロイト著『モーセと一神教』から考える"ことばの憑依"の様式について

フロイトは『モーセと一神教』という不思議な本を書いている。 フロイトというのはジークムント・フロイト。精神分析の始祖である。 そしてモーセとは、あの有名な旧約聖書のモーセである。 フロイトは『モーセと一神教』で、モーセは「(おそらく高貴な)エジプト人」であったと書く。 モーセはユダヤ人ではなくエジプト人 のちのユダヤ教、キリスト教、イスラム教へ繋がっていく一神教のルーツはエジプトにあるというのである。 どういうことだろうか? 詳しいことは是非『モーセと一神教』を読

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意味分節理論とは(7) 意味分節理論で読む「やきもち焼き」とアーレントの<超意味>と動きを象徴する土器と

クロード・レヴィ=ストロース氏の著書『やきもち焼きの土器つくり』の序文の一節に次のようにある。 ”土器つくり”というのはその名の通り「土器を作るひと」である。 神話なので、その「ひと」はバイオロジカルなサピエンスに限らず、神であったり、動物であったり、天体であったり、植物の精のようなものだったりもする。 その「土器つくり」が「やきもち焼きである」という。 一体どういう話なのだろうか。 詳しくはぜひ手に取って読んでいただければと思うが、ヒントになるのは土器を作ることが「

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