マガジンのカバー画像

文化人類学がおもしろい

186
わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
運営しているクリエイター

2021年9月の記事一覧

一項・二項・三項・四項関係を発生・増殖させる -安藤礼二著『列島祝祭論』を読んで考える

安藤礼二氏の『列島祝祭論』を読む。 日本列島各地で繰り広げられたさまざまな祝祭。そこに時空を超えて繰り返し登場するモチーフの根底にある思考について、安藤礼二氏は次のように書く。 始まりは「二」である。 聖と俗 山と平地 無限と有限 人間と神 死と生 これらのペアは、互いに他方とは相容れず、反発しあい、分離しようとする対立関係にある。 人間が生きている限り、日常の至る所にこうした互いに相容れない二項の対立関係を見出すことになる。子供と大人、昼と夜、太陽と月、女と男、夏

¥230

「聖地」の三元論と"深層意味論"-中沢新一著 『アースダイバー神社編』を読む

本記事は有料に設定していますが、最後まで無料で公開中です。 中沢新一氏の『アースダイバー神社編』を読む。 『アースダイバー神社編』は三部構成になっており、第一部「聖地の三つの層」、第二部「縄文系神神社」、第三部「海民系神社」に分かれている。 * 「縄文系神神社」と「海民系神社」では、諏訪大社や出雲大社、大神神社、対馬神道などなどを例に、その聖地の深層構造が解き明かされる。 ここで「縄文」と対比されるのが弥生ではなく「海民」であるというのがおもしろい。弥生という言葉が

¥330