「ある」の堅固さをふやかす食べ物の神様 -中沢新一著「哲学の後戸」を読む
中公文庫の一冊、中沢新一氏の『ミクロコスモスI 夜の知恵』。その中に「哲学の後戸」という論考が収められている。
なお中沢新一氏のミクロコスモスにはもう一冊ある。『ミクロコスモスII 耳のための小さな革命』である。
どちらもじっくりよみたい本である。
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さて、「哲学の後戸」の冒頭はといえば、井筒俊彦氏から送られた手紙を中沢氏が読み返す話から始まる。
そこには「抜け出していく文体」とある。
言葉から言葉によって抜け出そうとする言葉。
言葉にはなりようもない事なのだ