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文化人類学がおもしろい

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わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文…
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2020年2月の記事一覧

「意味する」のアルゴリズム −レヴィ=ストロース『神話論理Ⅲ 食卓作法の起源』「カヌーに乗った太陽と月の旅」を読む

(このnoteは有料に設定していますが、全文無料でお読み頂けます) ※ 人類は長らく食べ物だった。 肉食動物に噛みつかれ捕食される祖先たち。 その遺伝子を受け継いだ私達は、いまでも捕食されることをおそれているのだろうか。 暗闇の中や藪の向こうに捕食者の姿を幻視すると同時に、瞬時に生理的な緊張状態に入るという性能を、私達の身体は受け継いでいるともいう。 そうした性能をもった身体は、人間だけで作った文化や言葉による真理や、身体を律する意識的な操作のはるか「以前」で、考

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「意味するものと意味されるもの」ー生命・コミュニケーション・記号過程

意味するものと、意味されるもの。 シニフィアンと、シニフィエ。 この二つの関係はダイナミックな出来事である。 ◇ 互いに区別できる、ある二つの事項があった、として。 そのどちらか一方が、「”最初から所与のこととして”意味するものとして存在する」ということはない。 同じように、他方が「”最初から所与のこととして”意味されるものとして存在する」ということもない。 いま、互いに区別できるある二つの事項の関係(仮にこれを関係Ⅰとする)があるとする。ここに意味するものと意