荷物
すぐそばにいる大好きな人達
その人達の中にも重たい荷物を背負ってる人がいる
その人はやっとの思いでここまで歩いて来たんだろう、休める場所を探してる。
「重荷を降ろせよ、良いから俺に預けてみろって。そうすれば休まなくてももう少しは歩けるだろ。」
「ほら、お前も、俺なら大丈夫だから渡してみろ。」
そうして色んな旅をしてきた
色んな人を目的地まで見送って来た
だけどそうやって人の荷物を背負って歩いてる時に自分に大きな荷物がいくつものしかかってきた
気が付いたらズタボロになっていた
もう本当に歩けないかと思った。
散々人の荷物を背負ってきたのに今じゃ自分の荷物も持ち上がらない。
俺ももう歩けない、だから休もう。なんならこのまま眠ってしまおうか。
だけど、ふとした時に荷物に手をかけると少し軽くなっていた
日に日に軽くなってく
多分誰かが俺の見てない所で、見えてないところで、黙って荷物の中身を盗んでく
盗んでるのは明らかに一人じゃない
色んな人が盗んでるのがわかった
もう良いよ、
ありがとう、いつでも盗める距離にいて影から僕を見ている盗人達。
もう大丈夫、
今なら手に空きがあるから疲れてる人がいたら教えてくれよ
前よりも大きい荷物が来ても大丈夫
休んでる間に少し俺自身デカくなったんだ
それに、最初は辛くてもいつも気が付いたら俺の荷物は軽くなってるから
盗人らしい嫌な笑みが思い浮かんで腹が立つから今は面と向かっては言わないけど
いつかみんなの荷物を背負って満面の笑みとドヤ顔で言ってやろう
本当にありがとう、大好きな盗人達
あの時お前に盗まれた物を取り返しに来たぞ