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20230719ふかいメルマガ第8回 シセイとシカタとシクミ

おはようございます!
先週14日(水)、大谷翔平選手が活躍したメジャーリーグのオールスター。
満員の観客席に、マスクをしていない観客の笑顔と歓声。
楽しそうでした。

一方、今週からはじまる東京オリンピックは、無観客。
わが家のある江東区東雲の周りは、メディアセンターのあるビッグサイトも、競技会場も近いので、首から大きな5色のIDをぶら下げた外国人スタッフや日本人スタッフ、それに他府県から警備に来た警察官の姿が目立つようになりましたが、盛り上がりには欠けていますね。

オールスターのあった14日、アメリカの感染者数は38,000人超、死者80人超です。日本は第5波到来か?と言われていますが、17日の感染者数3,900人超、死者14人。18日でも3000人、死者4人です。

アメリカの人口は日本の2.6倍。この差はなんだ???と思います(ワクチン接種率やらなんちゃらですよね)。

そして、各地に大きな災害をもたらした今年の梅雨でしたが、からっと明けました。コロナ明けも、もうすぐ、かな。

ところで先週のメルマガで、優秀と言われるプロフェッショナルすべての人に共通するのは、「姿勢」と「ことば」だと、私の考えをお伝えしました。

実は、これはプロフェッショナル個人だけのことではなく、会社にも同様に言えます。

「なぜこの仕事をしているのか」
「誰のために、何のためにしているのか」
が明確かどうか。

会社の理念でありビジョンと言い換えられます。
良く考えてみれば、会社って私たち一人一人個人が集まって組織になったものなので、個人も会社も同じ・・・まぁ会社も、人に例えて法人って言いますよね。
個人と法人、どちらも人格を持った人、と考えればいいかもしれません。

「企業は人なり」です。

さて、シセイ、シクミ、シカタ、とあえてカタカナを使います。

当社の経営理念でも重要な言葉「ハタラク」「チカラ」「シアワセ」はカタカナですし、YRK&の理念でも重要なキーワード「デアイ」「キズナ」「ミライ」はカタカナです。

漢字には文字自体に意味があるので、文字の持つ意味に左右されたくない、また言葉の持つ「音」の強さを伝えたいときはカタカナがいいですね。(と、リクツで字数を使ってしまった・・・)

個人にも会社にも必要なのは、「シセイ」「シクミ」「シカタ」の3つ。
それをつなぐのが「コトバ」です。

もう亡くなっていますが、宮大工の西岡常一さんの大ファンです(告白)。奈良県の法隆寺近くの斑鳩町に住んでいた宮大工で、法隆寺西塔、薬師寺金堂などを再建しました。
再建と言っても、飛鳥時代の図面が残っているわけではないので、建物を分解、つまり木組みを一つ一つはずして、構造を図面に落としたり、かんな後などを見ながら、どういう道具で、どう加工したのかを想像して、槍鉋(やりがんな)という飛鳥時代の道具も作ってしまったり・・・
新しい檜(ひのき)を使って、気の遠くなるような工程で、組み立て直していくわけです。

日本の建築の素晴らしいところは、解体できて、再度組み立てなおせる構造にあります。
大阪に住んでいいたころ、西岡さんが再建した法隆寺や薬師寺を見に行くのが好きでした。西岡さんが再建した薬師寺金堂へ行くと、お坊さんがガイドとして案内してくれます。

金堂の再建当時(1970年ごろ)、耐震・防火対策としてコンクリートを使用すべきか否かで、東大教授と西岡さんが論争となり、その結果一部はコンクリ―トが使用されました。

コンクリートが使われている箇所をお坊さんが次のように話してくれます。「見てください。再建から数十年経って、東大の先生のコンクリ―トは既にひび割れはじめています。一方、西岡先生の造った屋根も、よく見ると浮いていますが、でもこの屋根は200年後に重みでちゃんとおさまるように造られています。飛鳥の人たちは、建物が1000年持つような工夫をしはったんです」。
礎石や極力釘を使わない技術など、1000年前の飛鳥の人たちの技術には感動します。

今となっては偉大な宮大工西岡常一さんですが、生涯育てた弟子は、小川三夫さん、たったの一人でした。
国宝ともいえる法隆寺や薬師寺の再建のたびに、西岡常一さんのもとには腕に自信のある大工や、西岡常一さんにあこがれた大工が、全国から大勢集まるのですが。
その小川三夫さんが言っていますが、西岡常一さんは、どうしたらいいのか(シカタ)は、教えてくれなかったそうです。

ことばにするのは、「そんなふうに道具を粗末にしたらあかんな」「かんなの歯は、こうせんとあかん」「かんな屑っちゅうもんは、こういうもんやで」。

日本や台湾から集められた樹齢を重ねた大木の檜を前に、切り方・削り方・その大きさなど仕事のシカタをまったく教えてくれない、というのです。

教えてくれないことが不満で、悪態をついてやめていく大工もいれば、怖くて木を切ったり削ったりできない大工も出てくる。
それでも、西岡さんはその態度(シセイ)を変えずに、いくつもの偉業ともいえる再建を果たしていきます。

失敗が許されない国宝の再建。
その再建の方法(シカタ)は、西岡さん自身にあるのではなく、
飛鳥の人たちが残してくれた建物にある。
そこから工法(シカタ)を学んでいくには、
飛鳥の宮大工と同じシセイを持つことが大事だ、
ということを、貫いたんだろうと思います。

西岡常一さんは、多くのコトバを残しています。
私は西岡さんコトバが好きで、いくつも覚えています。

・木組みは人組み
・北で育ったどうしようもない木も、使い道がありますのや
・道具は使おうと思ったらあかんのです、道具自身が動いてくれるのです

など、西岡常一さんの「木のいのち、木のこころ」という本があるのですが、その言葉はマネジメントやリーダーシップ、人の成長に関する目からうろこのコトバが並んでいます。
新入社員や新米管理職に、私が薦める本です。

西岡常一さんのコトバは、プロとしてのシセイ、人としてのシセイです。
西岡常一さんがシセイを教えて育てた、ただ一人の弟子、小川三夫さんは、宮大工の会社、株式会社鵤工舎(いかるがこうしゃ)を創業し、すでに次の社長に譲っています。

西岡常一さんがやらなかった、シセイをシカタにし、
さらにシクミにしたのが小川三夫さんだったわけです。
小川さんは多くの宮大工を育て、会社も存続させています。

話しは変わりますが、私がよく仕事でご一緒をする学習院名誉教授の江口先生は、実績豊富な経営コンサルタントでもあるのですが、初めて会社を訪問した時に見るのは、「一番お金をかけているのはどこか」ということだそうです。

お客様が入るエントランスや会議室・応接室にお金をかけているのは普通で、社員が仕事をするオフィス、さらには休憩室や食堂などにお金をかけている会社、それだけ社員を大事にしている証拠だと言います。

何を大事にしているか、誰を大切に思っているかが、一目瞭然だというのです。これも、経営者や社員のシセイが現れるということだと思います。
一番ダメなのは、挨拶をしない、オフィスが雑然としている、汚い、ということだそうです。
(うちは、挨拶はいいですね。オフィスは大丈夫ですか?笑)

でも私たちは、どうしてもシカタが気になります。
技術だったり、知識だったり、経験だったり、シカタは目に見えやすいからです。

しかし、同じように知識や技術を得ても、実績に大きな差が生まれるのは、
シセイの違いだと私は思っています

シセイの次、シカタとシクミは?
実は、シカタとシクミの両立はとても難しいのです。

ということで、それは次回にします。

やっぱり、西岡常一さんを書き出すと、書き足りない・・・スミマセンm(__)m

今週は東京オリンピックがはじまりますね。

深井賢一

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