20210621【ふかいメルマガ4号】ご質問にお答えします!!!
おはようございます!
前回のメルマガに質問と意見をいただきました。
ありがとうございます!
というわけで、第4回は予定を変更して、
いただいた質問と意見にお答えしたいと思います。
前回のメルマガで、
『私たちがモノやサービスを選ぶとき、
安いものが欲しいわけでもなく、
良いモノが欲しいわけでもなく自分にぴったりな、
合うものが欲しいはずです。
めちゃくちゃ便利でなくてもよくて、
必要な範囲での便利さが良いはずです。
スマホ、使いこなせてます?(私ムリ、というより諦めてます)
テレビのリモコンボタン全部使いますか?(なんでリモコンってあんなデカいのでしょうか?)
つくっている側は、「どうや?便利だろ!」と思っているかもしれませんが、こっちは、「そんなにいらんから安くしてーな」って思うわけです。
これは「便利の押し売り」です。』
と書きましたが、この文章ついて、
4つの質問と意見をいただきました。
まず1つめの質問です。
『「どうや?便利だろ!」「便利の押し売り」と思っているのは、
どちらのメーカーやITサービスの開発者でしょうか?
いくつかのメーカーで仕事をしてきましたが、
そういう考えを持って製品を作っていた組織はありませんでした。
そういう考えでモノを作っている組織があるのでしょうか?』
ということです。
「どうや?便利だろ!」
これは私の大阪弁が極めて下品でしたm(__)mスミマセン
でも言い換えて、
「これだけの機能をご用意しましたが、いかがでしょうか?」というアピールは、あちこちの商品で見かけないでしょうか。
機能だけでなく、性能・効果・効能・成分などもそうです。
私たち一般の素人では理解できない、
使っても実感できないことが実は多くなっています。
でも他社の競合商品との違いを出すためには、
そうしないといけなかったのです。
『そういう考えでモノを作っている組織があるのでしょうか?』
という質問にお答えするとすれば、
ITサービス企業や家電メーカーだけでなく、
消費財メーカーも流通小売業もみんなやってきたので、
そういう企業や組織の方が多いと言えます。
機能や性能、効果・効能・成分の他社との優位な差によって
「どうでしょう、当社の方が優れています=どうや?便利やろ!」は、
企業側から見れば悪いことではないのです。
が、次のことが問題です。
『「便利の押し売り」、そういう考えを持って製品を作っていた組織はありませんでした』
というご指摘はその通りで、
「押し売り」というのは、
悪意でない限り売っている側は気づかないものです。
「おせっかい」と一緒で、相手のためと思ってやっていることが、
相手にとっては不要だったり迷惑だったりするんです。
(このメルマガも気を付けます(-_-;))
悪意だったらまだわかりやすいのですが、
善意でやってることが、
相手(生活者)にとって不要だとしたらやっかいです。
一生懸命に生活者のために考えてつくって提供しているのに、
受け入れてもらえない。
「うちの商品は良いんです。他社よりも良いのに売れないんです」
と言う会社の相談は、今まで多く受けてきました。
それらの商品は、みんな素晴らしい。
美味しいし、便利だし、工場に行って見ると、また感動する。
それなのに、売れない。
そんなことは珍しいことではありません。
どこの企業にも、どの組織にもある「押し売り」に、
自ら気づいていないことが、問題の根本なのです。
それから、テレビのリモコンについての意見ももらいました。
『テレビリモコンの多機能化
テレビメーカーは、必要な機能をなんとか簡単に使ってもらえるように、
「今までよりもちょっと便利な」をあらゆる視点から積み重ねた結果が
今の形だと思います』
という意見です。
これは、テレビメーカーが、本気でそのように思っていたら、
かなりキケンだと思います。
わが家では、77インチのテレビがありますが、
地上波の番組は一部のニュースやドキュメンタリー以外、
妻が録画したBSドラマ(韓国や中国の歴史ドラマが多い)、
それにYouTubeでニュース、好きな評論家やジャーナリストの番組を流しています。
それもテレビのYouTubeボタンからではなく、
私や妻のスマホから見たいYouTube番組を「飛ばして」見ています。
つまりわが家のテレビは、スマホやネットを映す「モニター」なのです。
もっとはっきりした例はたくさんあります。
小売業は、大きな店、有名なブランド、品揃えの良い店、便利な店、安い店を競ってきました。
ところがそれらのアピールポイントでは、
Amazonにはまったく太刀打ちできません。
カメラメーカーもそうです。
デジタルカメラのコンパクト化、高性能化を競ってきたのに、
まさかスマホに市場を奪われるとは予想していなかったはずです。
蓄音機にはじまるレコード市場は、
ソニーのCDやウォークマンに奪われ、
そのCDはAppleの音楽配信の市場を塗り替えられました。
自動車の世界でも同じで、
EV車はテスラや中国勢、
自動無人車でリードしているのはGoogleと、
これまでの自動車業界とは全くの異業種がリードしています。
いつの時代も、異業種他業界のまったくコンセプトの違う商品によって、
市場を奪われるのです。
これらは極端な例に映るかもしれませんが、
現実は私たちの予想以上なことが起こります。
リモコンの質問のこの回答は、私の文章が稚拙で
ちょっとご理解いただきにくいかもしれません・・・
スミマセン次の質問にいきます。
『「そんなにいらんから安くしてーな」って思う人が増えて、
そのニーズに応えていると、技術者は必要なくなりませんか?』
というもの。
前回のメルマガで、私は、
私たちがモノやサービスを選ぶとき、
安いものが欲しいわけでもなく、
良いモノが欲しいわけでもなく
自分にぴったりな、合うものが欲しいはずです
と書きました。
また消費者調査をすると、「安いもの」が欲しいという生活者は、
どんなカテゴリー(商品群)でも30%前後はいますが、
逆に言えば70%の人は、
価格以外の要素で商品やサービスを選ぶということです。
意外と安いモノが欲しいという人はいません。
「そんなにいらんから」は、
私たち生活者が求めているものではないという意味で、
世の中のみんなが安いモノを求めているのではありません。
だからこの質問の回答は、
技術者はこれからも必要だということになります。
しかし「優秀」な技術者が、です。
次の質問です。
『「そんなにいらんから安くしてーな」に応えて、
メーカーが製品コストを下げるために開発費を削ると、
製品の質が下がって業界や市場も衰退することになりませんか?』
これは重要な指摘です。
先に触れたように「安くしてーな」だけで商品・サービスをという消費者は、30%前後しかいません。
しかし、生活者の要望や声だけを聴いて製品づくりをしていると、
製品力(≒商品力)も企業も、
そしてそういう企業ばかりだと、
その業界も市場も衰退していきます。
Appleの創業者スティーブ・ジョブズは
「顧客は、自分たちのほしいものはわからない」という言葉を残し、
自動車を世界に広めたヘンリー・フォードは
「顧客に聞けば、もっと速い馬車が欲しいと答えたはずだ」と、
ジョブズの言葉を裏付けています。
つまり、「安くして—な」という消費者ばかりではありませんが、
消費者の声ばかり聴いていると、
結果的に企業も業界も市場も衰退するよ、と言っているのです。
たしかに一般の生活者に、何が欲しいか聞いて新商品がつくれるのであれば、誰でもヒット商品をつくれることになります。
しかし生活者にどれだけ聴いたところで、
iPhone(スマホ)やiPodのアイデアは出てこないでしょう。
だからみんなが「そんなに安くしてーな」と思っているわけではないですが、生活者の声ばかり聴いていると、企業も業界も市場も衰退するのは確かかもしれません。
この生活者の声を聴くべきか否かということについて、
重要なことなので、もう少し続けたいと思います。
ここまでの話の流れだと、生活者の声ばかり聴いていると、
新しい商品は生まれないし、企業は衰退するということですが、
生活者の声を聴かない企業も当然衰退します。
プロダクトアウト、マーケットイン、ユーザーインという言葉があります。
① プロダクトアウトは、良いモノをつくれば売れるという発想
② マーケットインは、市場(消費者)が求めているモノのヒントがあるという発想
③ ユーザーインは、顧客の中に新しいモノづくりへのヒントがあるという発想
今の時代プロダクトアウトは否定されています。
モノづくりで一番気を付けないといけない発想です。
主流はマーケティングの考え方ともいえる、マーケットインですし、
デジタル時代の今はユーザーイン思考も出てきています。
つまり、生活者から聴いて商品をつくろうとすることをフォードやジョブズは否定しているのであって、生活者の声から潜在的な悩みや不満を見つけ出すということは大事なのです。
だから、生活者は「iPhone」も「iPod」も思いつきませんでしたが、
でもそれを見た時に「そうそう!欲しかったのはこれ!」と思ったのです。
というわけで今回は、前回のメルマガへの質問と意見にお答えをしてきました。
すでに2000字を大幅に超えてしまったので、
ここまで読んでくれた人は少ないかもしれません。
しかも1つ1つの回答が言葉足らずになっているような気もして心配です・・・
ですから、また質問やご意見が出てくれば、ぜひください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!m(__)m
また来週のメルマガで!