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幻想ラジオ体操
一年前 私は無職状態となり
固定費を抑えるためにやめたジムでの運動の代わりとして
早朝 散歩をしている時に
バラの美しい公園で 早朝 ラジオ体操をしているのを見つけた
それからは毎朝5:30頃 家を出て
その公園までラジオ体操に通っていた
だけど 程なくして職が決まり
ラジオ体操に行くのをやめてしまった
そしてまた バラの美しい季節となり
ふと昼間その公園に訪れた際
そのことを思い出し
連休の朝 早起きしてその公園を訪れた
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しかし 時間になっても
ラジオ体操は始まらなくて
ただ まばらにランニングや犬の散歩
ご夫婦での散歩を楽しまれる方々が見えるだけだった
あの頃の私は
楽しみだったジムに通うのをやめ
この先どうなるんだろうと不安で仕方なかった
(そうしてるの自分なんだけど;)
だけど この公園のバラの美しさと
ラジオ体操が励みになっていた
そこで出会うやさしい年配の女性や
愛らしい小さな白いワンちゃん
ラジオを抱えて音声を流してくださるパグの飼い主さん
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相変わらず 都会の真ん中に バラ園はあって
周りのビルと空の青さを背景に
ポッカリと 真ん中から朝日が登っている
芳しいバラの香りを携えつつ そこにある
だけど もう あの人たちがいない
なんだか寂しくなると同時に
あの時 なんとも言えないくらいに心細かった私を
支えてくれていた幻想だったのだろうかとすら思えて
奇妙な気持ちになった