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【WBC日韓戦に想う】
今の日本代表ができる最高の試合だったと思います。
10日のWBC・韓国戦。結果だけ見れば圧勝。
ただ、日本代表が示したものは得点差以上に大きい。
その細部を紐解くと、日本代表の現在地が見えてきます。
先発はダルビッシュ。契約の問題で事前の強化試合では投げられず、これが実戦初登板。
明らかに調整不足でした。球速こそ出ているが、本来得意とする変化球が決まらない。3回に2ランなどで3点を失います。
序盤の3点は野球の世界では非常に重い。
ましてや韓国は言わずもがなアジアのライバル。
MLB通算10勝の好投手キム・グァンヒョンを更に勢いづけるには十分な点数でした。
この空気を振り払ったのが、お家芸の「スモールベースボール」(機動力や小技で1点ずつ積み重ねるスタイル)でした。
先制を許した直後の3回裏。先頭の源田が8球投げさせた末に四球を勝ち取ると、二盗の素振りでさんざん揺さぶった後の5球目にスチール成功。この間にカウントも苦しくさせ、連続四球につなげました。
下位打線で無死一、二塁をつくり、上位打線の3適時打で一気に逆転。文字通り「一丸」となり、潮目が完全に変わった瞬間でした。
この「一丸」という言葉。代表合宿初日にダルビッシュが発した言葉でもあります。
「短期間でなかなか普通はまとまりづらいと思うんですけど、このチームの場合はそれができると思うので、『チーム一丸』となる野球が見せられると思います」
ダルビッシュは代表合流後、投手陣だけでなく野手陣とも会食するなど、互いに打ち解け、技術を教え合う機会を積極的に作っていたそうです。
チームに馴染めず浮きそうになっていた宇多川の名を冠した食事会「宇多川会」が、「一丸」の象徴的エピソードとして語られています。
それぞれに強烈な個性とプライドがあり、ただでさえまとまりづらい代表の面々。
その中にあって随一の実績を持つ最年長の36歳が、大リーガーでは唯一合宿から参加し、自ら腹を見せてチームの輪を強固にしていく。
そんなプロセスを目にし、ひときわ感激していたのが、ダルビッシュの後を継いだ今永でした。
「本当に皆が家族のよう。あの人がいなければ、今このような状況で大会前にこの心境で、投手陣が迎えられることはなかったのかなと感じています」
自己最速の154㌔を計測するなど、3回1失点。「本当に自分の知らない力を出させてもらいました」。韓国に再び流れを掴ませることはありませんでした。
ダルビッシュが醸成した「一丸ムード」。それをダルビッシュの先発試合で壊すわけにはいかない。代表選手たちのそんな思いがプレーとなって表れ、代表の「輪」はより強固に、大きくなったように思えます。
試合終了直後の、代表の面々の嬉しさをかみ殺すような粛々とした表情と態度も見逃せません。
大差で敗れ、グループリーグ通過が極めて難しくなり、意気消沈した韓国代表への配慮です。
かねてより遺恨のある韓国に大勝して、なおかつあの振る舞いができる事が、侍ジャパンの気高さの象徴と言えるでしょう。
きょうは東日本大震災から12年。そんな日に、津波で自宅が流され、父・功太さんと祖父母を亡くした佐々木朗希が先発マウンドに登ります。
日本を一つにするストーリーが、続いていきます。
(写真はテレビ東京のHPより)
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