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人間のまま死にたい
僕はこのnoteを読んでとても心に染みた。僕は3年ほどひきこもりをやっていた。大学生の頃に精神を病んで、一時期は持ち直して一般企業に就職して働いていたが、しばらくして再び精神を壊し、仕事をクビになってひきこもりとなった。
ひきこもりをやっている間は決して心穏やかではなかった。仕事をしていたときも辛かったが、ひきこもりはひきこもりで別の辛さがある。一つがヤマーMCさんの言うような将来への不安である。もう社会復帰できないんじゃないか、みんなが獲得している当たり前の幸せを得られることは二度とないんじゃないか。毎日のようにそんな思いに襲われる。
「社会復帰できないんじゃないか」という不安は漠然としたものではない。「病気だから」というのももちろんあるのだが、ひきこもっていることによって「人間性」が失われていくことを実感していることが大きい。「夜寝て朝起きる」「食事を摂る」「風呂に入る」「言葉を発する」「外に出る」そういった事が、ひきこもり期間が長くなればなるほどに、とにかく難しくなっていくのだ。
僕は自分では「ガチひきこもり」などと言っているが、厚生労働省の定義に従えばひきこもりではない。厚生労働省の定義は以下の通りだ。
仕事や学校にゆかず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅に引きこもっている状態。
ガチひきこもりは6ヶ月家に引きこもっている人のことを指すのだ。僕が家から一歩も出ずに引きこもっていた最長記録はせいぜい4ヶ月程度である。定義に従えば、僕はひきこもりではない。
だが、そんな半端者でも、数ヶ月家から出ないと、外の世界が怖くてたまらなくなった。ご近所の目、外に出る身支度、外に出る行為そのもの、それらが大きなハードルになるのだ。ましてや定義どおりのひきこもりとなれば、そしてひきこもり生活が長期化している人にとっては、その恐怖は計り知れない。
そうやってひきこもり生活が長くなればなるほど、どんどん外出することが難しくなっていくのだ。
外出ができなくなると同時に、家の中の生活もままならなくなっていく。先に述べた「朝起きて夜寝る」といったものだ。ひきこもりでない人は、「ひきこもりはひきこもって何をしているの?」と疑問を抱くと思う。答えは「何もしていない」だ。たまにツイッターをやったり、ゲームをやったりするが、どちらも長続きしない。すぐに疲れて布団に横になってしまう。特に運動をしているわけでもないのに、一日の睡眠時間は12時間を超える。そしてそれ以外の時間は、自己嫌悪に苦しめられているのだ。
過去の出来事がリフレインする。きっかけは様々だ。たまたま読んだ漫画かもしれないし、たまたま思索していた出来事かもしれない。意識がある状態で必ず接するものがきっかけになる。
リフレインするのは過去の自分だ。過去の自分が何かを言っている。同時に自分に対する嫌悪感で頭が一杯になり「馬鹿野郎!」などと怒鳴ってしまう。冷静になればその過去の自分が言っていること、していることはごく普通のことだ。誰も気に留めない、責められる謂れはないことだ。だが自分だけはそれを許せない。自分の中では「やらかし」なのだ。
幻聴にも襲われる。トイレで排便をしている時、換気扇の音が誰かの喧騒に聞こえ、その喧騒が不安感を掻き立てるのだ。何を言っているのかわからないが、両親が喧嘩をしている真ん中にいるような、そんな不安感に襲われる。
毎日のように幻聴に襲われ、突然「馬鹿野郎!」などと叫びだす人間、こんな人間がマトモだと言えるだろうか。こんな人間が社会復帰できるだろうか。そんな考えに至るのは自然なことだと思う。そして自分自身に絶望して、布団に潜るのだ。
ひきこもりの日常はそんな苦しみの連鎖が続いているのだ。「早く殺してくれ!」と思わずにはいられない。
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