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銅食中毒について

ヤカンに入れたスポーツ飲料を飲んだことによる銅食中毒が発生しました。
金属製の容器(ヤカンや水筒)は酸性の飲み物と反応し、金属が溶け出すことがあります。金属製の容器にジュースやスポーツ飲料を入れる時は、注意書きをよく確認しましょう!
厚生労働省食品安全情報
@Shokuhin_ANZEN
午後8:04 · 2020年7月8日

8.1万リツイートと引用リツイートと9.2万いいねの数がついて、あるクライアントさんからは、なんと、「WATOさん、銅やめますか?!」とご連絡をいただきました。(勘弁してくださいw)誤解のないように、また正しく使っていただくため、そして、自分たちの理解を深めるため、今日はこの件について書きたいと思います。

銅食中毒とはなにか

急激に大量の銅を摂取すると、胃や小腸で吸収する際に粘膜を荒らし、
腹痛や嘔吐を引き起こす。これが急性銅中毒の初期症状。
やがて肝臓も銅を処理しきれず、体内に銅が分散され、蓄積される。
脳に銅が溜まるとめまいやけいれん、そして肝臓に溜まると肝硬変などの症状を引き起こし、ひどい場合は、死に至ることもある。

引用した件のヤカンはステンレス製で、長く使われていて、内側は真っ黒だったそうです。記事によると、水道水にわずかに含まれる銅イオンが長年使うことで内側に付着していて、スポーツ飲料に含まれる酸によって、その銅が溶け出し、飲んでしまったとのこと。残っていたスポーツ飲料を調べると基準値を超える銅イオンが検出されたそうで、ヤカンの内側は銅がピカピカしていたそうです。おそらくスポーツ飲料の色も青くなっていたでしょうし、苦味もあったんじゃないかと思います。

銅は体に必要な成分

銅はレバーや牡蠣などに含まれ鉄分などと同じく体に必要な成分。
食品に含まれる銅は通常、口から入り胃と小腸で吸収されたのち肝臓に送られ、
タンパク質とくっつき、赤血球や骨の形成を助ける働きをし、余ったものは排泄される。
銅は微量金属作用(銅イオン作用)と云う強い殺菌力があります。昔から"銅壺の水は腐らない"と云われているのはこのためです。

以前お邪魔したお店では、銅のヤカンに水をいれ、しばらく置いたもの出してくださいました。この方が美味しいし、味がいいからと。
使い方を間違えると毒になることは、どんなことでも言えるのではないでしょうか。

正しく使うには、どうしたらいいのか

①銅製の調理器具を使用する際は調理したものはすぐに取り出し、入れたままにはしないでください。

②調理後は内容物を保存しないでください。
遅くとも食後には別の容器に移してください。

③特に、酸性のものを調理する時は注意しましょう。
例えば、焼きそば(ソースが酸性ですよね)、ジャム、酸っぱいもの。
銅鍋は煮込み料理にも適していますが、そのまま保存して、また火を入れてという調理方法は絶対にしないでください。カレーを作って、そのまま保存、また温めて食べるはNGです。

④調理する前に鍋に傷がついていないか、錫メッキが剥がれていないか、色が変色していないかチェックしましょう。
錫メッキが剥がれたら、修理しましょう。
色が黒かったら、調理する前にしっかりと酢やクエン酸で洗い、綺麗にしてから調理してください。

⑤調理し終わったら、中性洗剤とスポンジで汚れを落としてお湯ですすいでください。タワシなどは傷がつきやすいので控えましょう。前回、銅のお手入れ編で粗めのスポンジでゴシゴシ擦ってもOKと書きましたが、外側だけにしましょう。

繰り返しになりますが、緑青は毒ではありませんが、銅イオン=青です。大量に摂取することで銅中毒が起きるので食べてないでください。また、ステンレスやアルミ製のものであっても、内側に銅イオンが付着していたら、同様のことですので、お手入れしてあげてください。

WATOの銅製品について

私たちが銅を作っている調理器具は、まあるいミルクパン、まあるいミルクパン[ 蓋付 ]、両手鍋18cm、両手鍋20cm、ミニグリルパン、グリルパンがあります。このうち、ミニグリルパン、グリルパンは錫メッキをしていません。
錫は240度で溶け出すことから、グリルパンは高温での調理を想定して、メッキがはがれるおそれのあるものに錫メッキを施すと、それらがはがれて食品に混入するおそれがあるからです。

お鍋は錫メッキが取れて気になったら、修理いたしますので、ご連絡ください。
状態によって、お見積りさせて頂きます。
他でお求めになったものもご相談ください。
グリルパンは綺麗な状態にしてから、調理してください。

そして、何度も繰り返しになりますが、けして、保存はしないで、調理後はすぐに取り出してください。ここだけ守ってもらえたら、優秀な調理器具だと思っています。
(WATO 小笠原)


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