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Illustratorで透明部分に特色が使用されている場合の、Illustrator以外でのプロセスカラーへの変換を確認してみる


特色を使って刷らないならデータにも特色を使わない方がよいです

前回の記事では、2色印刷用のデータの作成方法についてまとめました。

ここでDICカラーガイドについて触れていたのですが、それと併せて気をつけておきたいことをまとめてみたいと思います。

デザイナーさんの作成されたIllustratorデータ。4色印刷にもかかわらず、このDICカラーガイドを使用していることが多い(本当に多い)のですが、特色で刷らないデータではこれは使わない方がよいです。(DICカラーガイドに限らずその他の特色も)

DICカラーガイドは色がたくさん揃っているので、それを使用してオブジェクトの色を設定するのは楽なのかもしれませんね。(他にも理由があるかもしれませんが)

たとえば単純に、図のようなDICカラーガイドから色を選択したドキュメントがあるとします。

このドキュメントのスウォッチパネルは次のようになっていて、

分版プレビューをみると版数が大変なことになってます。

ちなみに27色以上特色が含まれるドキュメントを保存しようとすると、次のような警告がでます。(これは知りませんでした)

理由はこのあと説明しますが、まずはとにかく、特色を使って印刷しないのなら、全てプロセスカラーに直して入稿するように心がけましょう。

作業はとても簡単です。スウォッチパネルから特色を選んで削除、もしくはメニューからスウォッチオプションを選んでプロセスカラー・CMYKに設定しましょう。

「透明部分に特色が使用されている場合、Illustrator以外でのプロセスカラーへの変換では予期せぬ結果が生じることがあります。」

この警告はみなさん見たことがあると思います。

警告の通り、透明部分に特色が使われている場合に表示されます。

透明部分に特色が使われているとなぜいけないのかというと…

Illustrator以外でプロセスカラーに変換すると、結果が異なってしまう場合があるからです。

下の図はIllustratorでY100にDIC140を乗算で重ねたものを作り、PDF/X-1aで書き出したものです。(透明部分に特色が使われているデータ)

赤く囲った部分の数値を確認してみてください

CMYKの4色印刷では特色は使えません。なので、たとえばこれをAcrobatのプリフライトでCMYKのみに変換すると…

次のようになってしまいます。

DIC140がCMYKに変換され、乗算が消える

わたしが無意味に特色でカラー設定しない方がよいというのは、この特色と透明効果による予期せぬ結果を防ぐためです。

ちなみにPDF/X-4で書き出したものをCMYKのみに変換すると次のようになります。

PDF/X-1aやらPDF/X-4って何だ?という方はこちらをご覧ください。


さて、特色をCMYKに変換する処理はInDesignからPDFを書き出す際にも設定できます。しかし上記の例と同じように、PDF/X-1aで書き出すと想定外の結果になるので注意が必要です。

PDFを書き出すために、特色を含むIllustratorデータをInDesignに読み込むと、Illustratorで使用している特色が自動的に、InDesignのスウォッチパネルに追加されます。

InDesignのスウォッチパネルに自動的に追加される

InDesignからPDFを書き出す際に[色分解]から[インキ管理]をクリックすると、図のような画面が出ます。

ここで赤く囲った部分をクリックすれば特色をプロセスカラーに変換してくれます。

CMYKのマークになればOK

しかし繰り返し言いますように、特色を含むIllustratorデータをIllustrator以外でプロセスカラーに変換するのは危険ですので、特色を含むデータをCMYKのみに変換したい場合はPDFに書き出す前に必ずIllustratorでスウォッチパネルから特色を削除、もしくはプロセスカラーに変換しておきましょう。

いろんな例を見ていきましょう

では図のような透明を含むバナナの画像を使っていろんな例を見ていきましょう。

以下に6つの例を挙げます。それぞれ3つの画像が出てきますが、いずれも
1つ目の画像:Illustratorで作ったものをPDF/X-1aで書き出したもの
2つ目の画像:PDF/X-1aで書き出したものAcrobatでCMYKに変換した結果
3つ目の画像:PDF/X-4で書き出したものAcrobatでCMYKに変換した結果
となります。


例① 透明を含むバナナ画像の背景に特色を使用した場合

PDF/X-1aで書き出したものをAcrobatでCMYKに変換すると…
バナナが白く抜けちゃいました
PDF/X-4で書き出したものをAcrobatでCMYKに変換した結果

②「そんなバナナ」と文字を乗せた場合

PDF/X-4はうまく代替カラーに変換してくる

③「そんなバナナ」にドロップシャドウを追加した場合

ドロップシャドウが消えました
PDF/X-4はドロップシャドウは生きている

④ ①の前面にC50を乗算で乗せた場合

C50の乗算部分が消えてしまった
PDF/X-4はうまく代替カラーに変換してくる

⑤ ②の前面にC50を乗算で乗せた場合

文字の一部が白く抜けちゃいました
PDF/X-4はうまく代替カラーに変換してくる

⑥ ③の前面にC50を乗算で乗せた場合

面白い結果に
PDF/X-4はうまく代替カラーに変換してくる

全体図でおさらいするとこんな感じです。

もとのIllustratorデータ
PDF/X-1aで書き出したもの
PDF/X-1aで書き出したものAcrobatでCMYKに変換した結果
PDF/X-4で書き出したものAcrobatでCMYKに変換した結果

RIPの出力処理でのCMYK変換では大丈夫です

この記事をまとめていて、そういえば勤務先ではこの辺りのことが原因となった事故ってなかったなと思って、なんでだろうって思ってたんです。

そうしたら特色を保持したままRIPに入力して、出力時にRIPがきちんと処理してくれていたからだということに気が付きました。(今更…)

現在は使用するRIPが変わってしまいましたが、こちらでも出力時にCMYKに変換でき、予期せぬ結果になることは避けられています。

ただ、印刷会社によってワークフローはそれぞれだと思いますので、印刷会社をあてにするよりも事故のないデータづくりに努めた方がよい思います。

まとめ

特色を使用しないデータを作るときは、

  1. まずはIllustratorでDICカラーガイド等の特色スウォッチを使って色を設定しないこと

  2. Illustratorで使った場合は必ずIllustratorでプロセスカラーに変換してから入稿すること

以上の2点を気を付けていただきたいと思います。


Photoshop・Illustrator・InDesignその他、印刷物のデータ作りで分からないことがあったらお気軽にご連絡ください。

おかげさまで少しずつご質問をいただけるようになりました。
ありがとうございます。

未経験者からDTPオペレーターになりたいという人が作品を作る際に、データの作り方で分からない部分をサポートしていきたいと思っています。メールで「こういうときはどうしたらよいのか」といったやり取りをして、データを完成させていくということです。
もしご相談いただけた場合は、月曜日~金曜日の9:00~17:00の間にご連絡いたします。せっかちでない方からご連絡が嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。

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制作課長 くれそん
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