先日の総選挙投票結果を、同じように小選挙区と比例の二票を投じるけれど集計方法の違う、ドイツの選挙制度だったとしたらどういう結果になるか、試算してみた。
この前、ドイツの総選挙と日本の総選挙の選挙制度の違いについてnoteを書いた。
「先日のドイツ下院選挙(小選挙区比例代表併用制)と、日本の衆院選挙(小選挙区比例代表並立制)、投票所で、小選挙区と比例の二枚投票するけれど、全然違う制度だった。ちゃんと理解している?どっちがいいと思う」
https://note.com/waterplanet/n/n2566eff097ac
詳しくはnoteを見てね。
で、もし、今回の投票結果を、ざっくり、ドイツの制度に当てはめると、議席数はどうなるか、試算してみた。
お遊びだから、「選挙制度が違うのに、意味がない」とか、目くじら立てないでね。
ドイツの制度の特徴は、ものすごくザックリ言うと、
①比例の得票比率で全部の議席配分は決める。
比例当選だけじゃなくて、小選挙区も合わせた全部の議員数の配分は、比例比率通りにする。
②しかし、小選挙区で当選した人は、そのまま当選させる。
③そうすると、小選挙区で勝ち過ぎた党が出ることが多い。(比例配分では33%しか取っていないのに、小選挙区当選分だけで、全体の50%の議席を取っちゃった党が出たりする。)
④そのときは、全体の議員を増やしちゃう。そして、比例得票配分比率の議席数になるように、小選挙区当選者が足りなかった党は比例で当選させちゃう。
(ドイツではそもそも、この制度でうまくいくように、定数が小選挙区、比例で50%ずつになっているのだが。日本の場合、定数が小選挙区289、比例176なのだが。)
とりあえず、このまんま、ドイツの制度 小選挙区比例代表併用制を、日本の先日の投票結果にあてはめて試算してしまうと、こうなります。
自民党は小選挙区で189議席を取りましたが、比例では34.66%しか取っていないので、全体で166議席しか取っちゃダメ。小選挙分で、もう取るべき議席は取り過ぎ。でも189人はそのまま当選させる。比例当選は0。
他の小選挙区で足りなかった以下政党への配分議席も、自民党が増えた分で増やします。189/166の比率で増やして、小選挙区+比例当選させちゃいます。
そうすると、議員数が定数465人から545人に増えちゃいます。
という複雑な操作の末の議席数を発表。
自民 189 公明 67 無所属与党系 3
維新 77
立憲 109 共産 39 国民 24
れいわ21 社民 9 無所属野党系 6
その他 1
合計 545
自公では過半数いってないですね。
自公+維新+与党系無所属合わせて336。総数545の2/3は363なので、自公維新合わせても、憲法改正、発議できないですね。
僕は、国民の総意を素直に議席数に反映させる、ドイツの制度の方が、正しい選挙制度だと思いますけれど。
もう少し、別の見方をすると、自民189、維新+公明+国民民主(中道の左派から右派、現実路線)168、立憲・共産・社民・れいわの野党連合(れいわを、そう括るのは、心苦しいのだが、ざっくり分類)178。
ドイツのような選挙制度なら、どう連立を組むかで、今回の投票結果でも、政権交代は起きる可能性もある。日本人の「保守」「中道かつ経済重視・経済改革」「左派・大きな政府志向」が、およそ1/3ずついる、というのが正しいと思う。そういう日本人の政治意識の分布が選挙結果に反映しないのは、制度設計ミスである、と思うわけです。
※厳密に言うとドイツの制度では「阻止条項」という、小さすぎる政党を排除する規定で、得票率5%以下の政党は比例配分から外されちゃうので、国民民主党、れいわ、社民は比例当選がなくなって、ほとんどゼロになっちゃうのだけど。という、突っ込みもあるかとは思います。一応、分かった上で、「比例得票通り、議席になったら」というのをやってみたわけでした。