円周率πの定義と円の計量・球の計量
1、円周率πの定義
半径が$${r}$$、円周が$${l}$$となる円について考えた時、円の直径$${2r}$$と円周$${l}$$の比は常に等しいので$${\frac{l}{2r}}$$は一定の値をとる。これを円周率$${\pi}$$と定義する。
式1: $${円周率\pi = \frac{l}{2r} =3.141592…}$$
円周率は無理数の1つであることが知られている。
・循環小数(循環する無限小数)
$${例: \frac{1}{3} = 0.3333…}$$
・無理数(循環しない無限小数)
$${例: \pi, e, \sqrt{2}}$$
2、円の計量
円周率$${\pi}$$を利用すると円周や円の面積は次のように表すことができる。
式2: $${円周l = 2 \pi r}$$
式3: $${円の面積S = \pi r^2}$$
式2の導出: $${円周l = 2r × \frac{l}{2r} = 2r × \pi = 2 \pi r}$$
式3の導出: xy平面上において原点を中心とした半径$${r}$$の円について考える。円の方程式は三平方の定理より$${x^2 + y^2 = r^2}$$である。この式を変形すると$${y = \pm \sqrt{r^2 - x^2}}$$が成り立つ。
円の面積をSとすると円の上半分の面積は
$${\frac{S}{2} = \int^r_{-r} \sqrt{r^2 - x^2} dx}$$
ここで、$${x = r\sin \theta}$$と置換する。
(積分区間は、
$${x : -r → r}$$
$${\theta : -\frac{\pi}{2} → \frac{\pi}{2}}$$)
$${x = r \sin \theta}$$
$${\frac{dx}{d \theta} = r \cos \theta}$$
$${dx = (r \cos \theta) d \theta}$$より
$${\frac{S}{2} = \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}\sqrt{r^2 - (r \sin \theta)^2} (r \cos \theta) d \theta}$$
$${= \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} \sqrt{r^2 - r^2 \sin ^2 \theta} (r \cos \theta) d \theta}$$
$${= \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} \sqrt{r^2(1 - \sin ^2 \theta)} (r \cos \theta) d \theta}$$
ここで$${\sin ^2 \theta + \cos ^2 \theta = 1}$$より$${\cos ^2 \theta = 1 - \sin ^2 \theta}$$が成り立つ。よって
$${= \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} \sqrt{r^2 \cos ^2 \theta} (r \cos \theta) d \theta}$$
$${= \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} r^2 \cos ^2 \theta d \theta}$$
$${= r^2 \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} \cos ^2 \theta d \theta}$$
ここで二倍角の公式$${\cos 2 \theta = 2 \cos ^2 \theta - 1}$$を変形すると、
$${\cos ^2 \theta = \frac{1 + \cos 2 \theta}{2}}$$が成り立つので、
$${= r^2 \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} \frac{1 + \cos 2 \theta}{2} d \theta}$$
$${= \frac{r^2}{2} \int_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}} 1 + \cos 2 \theta d \theta}$$
$${= \frac{r^2}{2} \left[ \theta + \frac{\sin 2 \theta}{2} \right]_{-\frac{\pi}{2}}^{\frac{\pi}{2}}}$$
$${= \frac{r^2}{2}[(\frac{\pi}{2} + \frac{\sin \pi}{2})-(-\frac{\pi}{2} - \frac{\sin \pi}{2})]}$$
$${= \frac{r^2}{2} (\frac{\pi}{2} + \frac{\sin \pi}{2} + \frac{\pi}{2} + \frac{\sin \pi}{2})}$$
$${= \frac{r^2}{2} (\pi + \sin \pi)}$$
$${= \frac{r^2}{2} \pi}$$
$${= \frac{1}{2} \pi r^2}$$
よって$${S = \pi r^2}$$
3、球の計量
半径$${r}$$の球の体積と表面積は次のように表すことができる。
式4: $${球の体積V = \frac{4}{3} \pi r^3}$$
式5: $${球の表面積S = 4 \pi r^2}$$
式4の導出: xy平面上で原点を中心とした半径rの円板をx軸周りに回転させた立体は半径rの球になる。円板の境界の上半分を式で表すと$${y = \sqrt{r^2 - x^2}}$$であるので、
$${V = \int_{-r}^{r} \pi (\sqrt{r^2 - x^2})^2 dx}$$
$${= \pi \int_{-r}^{r} r^2 - x^2 dx}$$
$${= \pi \left[ x r^2 - \frac{1}{3} x^3 \right]_{-r}^{r}}$$
$${= \frac{4}{3} \pi r^3}$$
式5の導出: 球を中心に向かって$${dr(微小なr)}$$だけ小さくした時の変化量は球の表面積になる。よって、球の体積を$${r}$$で微分すると
$${S = \frac{d}{dr} (\frac{4}{3} \pi r^3)}$$
$${= 4 \pi r^2}$$
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?