【経緯】日本海新聞への寄稿『「ル・ソレアル(ポナン)」鳥取寄港に寄せて』
鳥取に足繁く通うきっかけとなったのは2011年の東日本大震災でした。被災地に幾度となく足を運びつつも、同じ頻度で足が向いたのは故郷、鳥取の地でした(この時点で世界80~90の国や地域を訪れていましたが、日本の存在を意識して捉える転機となりました)。前年に自主取材と称して、鳥の劇場「小鳥の学校」を撮影しました(折よく記録カメラマンを必要としていた劇場側から正式な撮影依頼をいただきました)。様々な学びの分野の担当講師は鳥取大学の教授陣。そのご縁から2011年に鳥取大学芸術文化センターでの講演「世界の自然と人の魅力~水本俊也 写真の世界~」、鳥取県・鳥取大学主催「大人のための藝術大學」で写真部門講師を務める機会に恵まれました。2013年には別ルートで声がけいただいた鳥取県ジュニア郷土研究大会記念講演「鳥取から世界へ 地球を巡る旅で思うこと」で県内の小中高生や担当教諭のみなさんを対象にお話をさせていただきました(私自身、中学・高校の教員免許を持っているため、この講演で児童、生徒に向けて自分の経験を伝えることができたことをとても嬉しく感じました)。同年には現在の居住地である横浜市の市地球温暖化対策事業本部主催の南極やツバルなど地球環境をテーマにした講演(計5回)がきっかけで、横浜市と提携を結んでいたキヤノン株式会社から全国の地域や学校で行っているワークショップ「ジュニアフォトグラファーズ」の講師依頼をいただきました。2015年から取り組む「鳥取R29フォトキャラバン」はキヤノンからデジタル一眼レフカメラの貸出協力を得て、今夏で9年目を迎えます。アート面で取り組む「因州和紙×写真」についてのきっかけは鳥取大学地域再生プロジェクトとして2013~2014年に「あおや和紙工房」で地域の方々や大学生を対象として行ったワークショップです。その後、(佐治の和紙工房含む)職員や職人さん方と接点を重ね、交流を深めながら、2016年から県外在住の写真家やアーティストを招聘する形式で文化事業としてスタート。コロナ禍の2021年には文化庁事業として高知や愛媛から作家を招き、鳥取県内の関係者と協力しながら、県内外、国内外への発信を常に意識しながら、継続的に事業を行っています。2021年からは新美術館に関する事業に手を挙げ、今年2023年夏には新たに鳥取砂丘をフィールドとした誰でも参加できる写真プログラム「すなばフォト」を開始します。新聞寄稿でも綴った日本の原風景、日本の自然、文化と歴史を「日本=鳥取」として常に意識しています。郷土の誇りを守るため、伝えるためには行動(アクション)が必要です。私自身の微力さを痛感する日々ですが、今回いただいたお返事は大変な励みとなり、感謝の気持ちでいっぱいです。今後ともご指導ならびに叱咤激励いただけましたら幸いです。今後とも各事業、プログラムに対しましてお力添えの程、何卒宜しくお願い致します。
追記1:長年取り組んでいる「小鳥の家族」は2013年開始、昨秋で10周年を迎えました。2014年からは鳥取砂丘をはじめ、さまざまな鳥取のフィールド(自然)を撮影の舞台とし、これまで撮影してきた家族・親子は延べ500組を超えました。鳥取砂丘編は2023年夏で開催10周年を迎えます。
追記2:「小鳥の家族」から派生した「遊び場すなば」(2020~2022年度)は鳥取砂丘で日本海に沈む夕陽を眺め、星空を見上げながら、砂の上で(マットと寝袋のみで)眠り、砂丘越しの朝日を浴びて、早朝7時には解散するという内容です。開催年によっては音楽ユニットによる音楽会や星空観望会(協力:鳥取天文協会、鳥取市さじアストロパーク)を実施しました。
写真・文:水本俊也(写真家、鳥取県八頭町出身、神奈川県横浜市在住)