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家系野外音楽フェス!? FRUEとEACH STORYを検証

FRUEとEACH STORYはまったりおいしい家系野外音楽フェス!
この説を立証するため架空のSNS配信を企画しました。

ホスト:日曜日の配信、皆さんよろしくお願いします。

スピーカー4人:(拍手)

ホスト:今回、企画を持ち込んだのはアンビエン子です。

アンビエン子(以下、アン):よろしくお願いします。もし、家系ラーメンみたいにまったりおいしい家系野外音楽フェスがあったら、サブカル系や愛好家界隈もざわつくのではないでしょうか。そこで、今回はこんな説を持ってきました。それが、こちら。

ホスト:まったりおいしい家系野外音楽フェスといえば、FRUEとEACH STORY!

アン:モッシュやダイブで騒ぐ系の音楽フェスではなく、魂のふるえる音楽体験大人のリスニングイベントなので、漫画を読んだりゲームをしたり、家と同じようにまったりくつろぎながら極上の音楽と自然を楽しむのもありです。

ホスト:家系の意味がズレてる気もしますが、それは置いといて。何?フルー?イーチ・ストーリー?聞いたことないわ。

アン:そうなんですよ。知ってる人は知ってるけど、知らない人は知らない。そんな誰かの漫才みたいな状況なので、まずはFRUEの本祭、FESTIVAL de FRUE 2024(フェスティバル・デ・フルー 2024)の出演者がまとめられたYouTubeプレイリストをご覧ください。


【YouTubeプレイリスト】FESTIVAL de FRUE 2024

アン:続いて、EACH STORY ~THE CAMP~2024出演者のApple Musicプレイリストです。


【Apple Musicプレイリスト】EACH STORY ~THE CAMP~2024

スピーカー1:どっちも大人っぽくていい感じなのはわかるけど、知らない人ばっかり。

アン:たしかにフェスそのものだけでなく、出演者も知る人ぞ知るラインナップです。とくにFRUEは「知らないアーティストでもFRUEなら間違いない!」と観客の間で評判になるほど信頼があります。

スピーカー2:それはなぜ?


Sam Gendel & Sam Wilkes『The Doober』

アン:たとえば今回FRUEに出演するサムサムコンビのうち、Sam Gendel(サム・ゲンデル)は星野源さんや折坂悠太さん、笹久保伸さんとコラボ、細野晴臣さんをカバー。

アン:Sam Wilkes(サム・ウィルクス)は長谷川白紙さんとコラボするなど日本でも知名度が高まっていますが、そうなる前からFRUEの常連でした。


Acid Pauli『MOD』

アン:つまり、音楽好きが音楽好きのためにこだわって作り上げるフェスだから信頼度が高いといえるでしょう。


Amaro Freitas『Y'Y』

アン:ただ、こだわって作り上げるのはどのフェスも同じという水掛け論にもなりかねません。

アン:そこで、こちらをご覧ください。

アン:EACH STORYにDJとして出演される原雅明さんは『2000年前後に「ダブ」という視点(聴き方)で様々な音楽が繋がった』と表現されました。実はこれ、本当にものすごい状況だったらしいです。

スピーカー3:Z世代が生まれたころの話か。

アン:そうですね。ダブって何?ダビングのこと?録音を重ねる感じ?という人はP-VINE(Pヴァイン)、ele-king(エレ・キング)の『DUB入門』をご覧いただくとして……。

アン:「おもしろい音楽といえば、思い出すのはY2K前後、新宿時代のLIQUIDROOM(リキッドルーム)。その3本柱それぞれの生き残り方に注目している」という話を聞いたことがあります。まさに家系ラーメンのまったり濃厚な豚骨しょう油スープをすすっていたとき、たまたま相席した音楽好きの旅行家が語ってくれました。





【1】ダブの真髄

On-U Sound主宰Adrian Sherwood(エイドリアン・シャーウッド)周辺

 ↓

Beatink(ビートインク) / Beat Records


【2】ジャム系

デッドヘッズ~Phish(フィッシュ)~Organic Groove(オーガニック・グルーヴ)

 ↓

FRUE


【3】実験音楽・前衛音楽・電子音楽・ハウス・テクノ・レイヴ

∈Y∋さん(BOREDOMS)のDJ 光光光など

 ↓

EACH STORY



スピーカー4:Y2Kリバイバルとかニューレイヴとか、そんな感じ?

アン:ファッションではなく音楽に限ると、微妙に違いがあるようです。レイヴといえばのSolstice(ソルスティス)が2024年にShpongle(シュポングル)、Hallucinogen(ハルシノジェン)、Mixmaster Morris(ミックスマスター・モリス)を呼んだと知って、音楽好きの旅行家は「まだやってたのか」と驚いたそうですが……。

アン:BeatinkBeat Recordsについては「ボスたちのライブが宇宙イチだったと今でも思うけど、これほど大きなレーベルになるとは想像しなかった」と言っていました。

アン:FRUEEACH STORYはリバイバルというより新旧織り交ぜながらも現行のおもしろい音楽を追求している印象を受けます。

アン:Y2K前後も最先端だった渋谷時代の音響派レーベルHEADZ(ヘッズ)といえば、佐々木敦さんと原雅明さんの2人。音楽好きの旅行家はStock, Hausen & Walkman(ストック・ハウゼン&ウォークマン)や想い出波止場が飛び交うコアな音楽雑誌『FADER』を懐かしんでいました。

ホスト:HEADZは知ってる。山本精一さんも大好き!

アン:現在は佐々木敦さんがHEADZ、原雅明さんはrings(リングス)を主宰されています。降神にたとえると、志人さんが佐々木敦さん、なのるなもないさんが原雅明さんに近い雰囲気でしょうか。


claire rousay『sentiment』

アン:Thrill Jockey(スリル・ジョッキー)とHEADZからアルバムがリリースされ、音楽メディアTurn(ターン)編集長の岡村詩野さんも激推しのclaire rousay(クレア・ラウジー)はFRUE原雅明さんは今回EACH STORYに出演というのもおもしろいところ。

アン:ただ、原雅明さんはFRUEとも関係が深いです。

アン:さらに、米LAのネットラジオdublab(ダブラボ)の日本支局dublab.jpの創設者でもあります。

アン:音楽教養番組「星野源のおんがくこうろん」にはマサかいせついんとしてパペット出演!

アン:早稲田大学の非常勤講師、『Jazz Thing ジャズという何か』の著者でもあります。

スピーカー1:ネットラジオをやったり、レイ・ハラカミさんやジャズ周辺に詳しい人か。

Visible Cloaks、尾島由郎、柴野さつき『serenitatem』

アン:はい。個人的にとんでもなく最先端の実験ではないかと心を躍らせているのは、dublab.jpの特設ブースで展開されるという、こちらのイマーシブ体験

アン:「サウンドインスタレーションKANKYO DOTの初展示+お香スティックhibiによる没入型リスニング体験」です。

アン:KANKYO DOTは「無指向性のTaguchiスピーカー+AISO」による「新たな音環境をデザインする装置」。

アン:dublab.jpと環境音楽家の尾島由郎(Yoshio Ojima)さんが共同開発したそうです。

スピーカー2:没入型のイマーシブってVRとかで流行ってるね。


Passepartout Duo & INOYAMALAND『Radio Yugawara』

アン:ですね。さらに、EACH STORYのDJかつキュレーターShhhhhさんのキュレーションがぐっときます。

アン:たとえばアンビエントデュオINOYAMALAND(イノヤマランド)の山下康さんと井上誠さんはテクノポップバンド、ヒカシューの結成メンバーでした。イタリアの実験音楽デュオPassepartout Duo(パスパルトゥー・デュオ)とのコラボ作が良すぎて度肝を抜かれます。レーベルはTonal Union(トーナル・ユニオン)およびInpartmaint(インパートメント)のサブレーベルp*disなので間違いありません。

アン:ヒカシューのリーダー巻上公一さんは、今回のEACH STORYではJim O'Rourke(ジム・オルーク)、石橋英子さん、山本達久さんによるトリオ、カフカ鼾(Kafka’s Ibiki)とコラボ。

アン:John Cage(ジョン・ケージ)の流れをくむ実験音楽(エクスペリメンタル)、前衛音楽(アバンギャルド)、音響派の現在地ですね。


Suso Saiz『Resonant Bodies』

アン:スペイン音響派の前衛ギタリスト、ニューエイジの先駆者、アンビエント作家のSuso Saiz(スーソ・サイス)は初来日!アルバムはMusic From Memoryなどからリリースされています。


Asa Tone『Temporary Music』

アン:多国籍プログレッシブ・パーカッション・トリオAsa Tone(アサ・トーン)のレーベルはPLANCHA(プランチャ)。

アン:Matthewdavid(マシューデイヴィッド)が主宰するLeaving Records(リーヴィング・レコーズ)の国内流通や日本ツアーを担うなど、現行のエレクトロニカ~アンビエントシーンを知りたければここ!という2008年にスタートした日本のレーベルです。

アン:Tobira Recordsの店主でもあるHakobuneさんは、Mixmaster Morrisを師と仰ぐChihei Hatakeyama(畠山地平)さんとコラボ。

アン:Kankyō Recordsの店主でもあるH.Takahashiさんつながりで、Wisdom Teeth(ウィズダム・ティース)のFacta & K-LoneもDJとして招かれています。

アン:ちなみに、H.Takahashiさんは2021年にUNKNOWN ME(アンノウン・ミー)のメンバーとしてFRUEに出演。CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN(チョコパコチョコキンキン)や折坂悠太さん、冥丁さんもFRUEに出演したことがあります。元ゆらゆら帝国坂本慎太郎さんは満を持して今回FRUEの本祭に出演という流れです。

スピーカー3:レコード店とレーベル、FRUEとEACH STORY、いろいろつながってるってことか。


V.A.『Kankyō Ongaku: Japanese Ambient, Environmental & New Age Music 1980-1990』

アン:はい。いろいろつながってY2K前後の最先端は今FRUEとEACH STORYに集まっていると確信しています。

アン:とくにEACH STORYでは、ringsの原雅明さんにより「シカゴ音響派~LAビート~LAジャズ」といった文脈で受け継がれてきたdublab.jpが、80年代の日本の環境音楽を象徴する尾島由郎さんやお香スティックhibiとつながり、音と香りの空間を初展開

アン:そのフェスに、2020年代のアンビエントシーンをけん引するKankyō RecordsのH.TakahashiさんとTobira RecordsのHakobuneさんも参加するという歴史的な邂逅です。

アン:さまざまなつながりを勝手に遠目で眺めるアンビエン子としては、2020年代アンビエントの真骨頂ここにありというか、あれが始まりだったと40年後にまた海外から再評価されるような出来事のひとつではないかと感じています。


H.Takahashi & Jesus Weekend『LIVE at SHISEIDO GALLERY​』​&​『​Music for ’70s Shiseido Magazine Ads』

アン:H.Takahashiさんが店主を務めるKankyō Recordsは資生堂ともつながっています。


H.Takahashi『Orange』

アン:「音と香」のプロダクト、インセンスオイルとカセットテープのセット『Sound Incense & Incense Sound』シリーズも展開されています。


V.A.『Vaporize』

アン:そのインセンスオイルはKankyō Recordsが開発。サウナの「香とBGM」として制作されたものもあります。2024年9月28日~29日開催のフェス、FFKT 2024 Izu Shirahamaでは「HomeListening = 音楽・内装・音響・照明・香」をテーマとしたリスニング空間「Kankyō Zone」を展開。共感覚リスニング体験を提案されています。

アン:FFKT 2024 Izu ShirahamaにはH.TakahashiさんらのアンビエントユニットAtoris(アトリス)のほか、Photay(フォテー)、ILLUHA(イルハ)、CHO CO PA CO CHO CO QUIN QUINPeterparker69(ピーターパーカー69)らが出演。FFKTも注目すべきフェスですが、FRUEEACH STORYの流れでつながるでしょう。

アン:原雅明さんの言葉を借りるなら「2020年代にアンビエントという視点でさまざまな音楽と香りもつながった」ということになるのかもしれません。あまりにも静かで穏やかな実験なので、まるで光の粒のような音の響きに耳を澄ませ、ほのかな香りを嗅ぎ分ける人にしか届かないかもしれませんが……。

スピーカー4:家系のおいしい香りも漂ってきたよ。

アン:2024年、FRUE11月2日〜3日に静岡・掛川のつま恋リゾート彩の郷で、EACH STORY10月5日〜6日に長野・八ヶ岳野辺山高原の五光牧場オートキャンプ場で開催されます。万が一、今回は間に合わなくても開催は毎年、FRUEは本祭以外もあるので、よろしければ参加をご検討ください。一生モノの体験になるかと思います。

ホスト:それでは皆さん、まったりおいしい家系野外音楽フェスといえば、FRUEとEACH STORY説は立証ということでよろしいですか?
スピーカー4人:はい。
ホスト:気になった人はFRUEとEACH STORY、チェックしてみましょう!


【概要】FESTIVAL de FRUE 2024


  • 種類:魂のふるえる音楽体験(2017年~)

  • 日程:2024年11月2日〜3日

  • 会場:つま恋リゾート彩の郷(静岡・掛川)

  • 出演者:Acid Pauli、Amaro Freitas、Bruno Berle、claire rousay、DJ Olive、kanekoayano、Manami Kakudo band set、O Terno、Saeko Killy、Sam Amidon × Billy Martin、Sam Gendel & Sam Wilkes、Shintaro Sakamoto、Time Wharp、Viken Arman、YAMARCHY ほか


【概要】EACH STORY ~THE CAMP~2024


  • 種類:大人の野外リスニングイベント(2021年~)

  • 日程:2024年10月5日〜6日

  • 会場:五光牧場オートキャンプ場(長野・八ケ岳野辺山高原)

  • 出演者:Henning Schmiedt、Thandi Ntuli、arauchi yu ensemble、笹久保伸、Julia Shortreed、space opera symphony、Suso Saiz、Emily A. Sprague、Passepartout Duo & INOYAMALAND、カフカ鼾 + 巻上公一、マヒトゥ・ザ・ピーZZZ、Chihei Hatakeyama × Hakobune、ermhoi、曽我大穂、Asa Tone、Cool Maritime、QOA、H.Takahashi & Jesus Weekend、Lullatone

  • DJ:原雅明 / 石井亮、Facta & K-Lone(Wisdom Teeth)、Shhhhh、YAMA a.k.a sahib

  • 主催者:大形純平

  • 公式サイト:https://www.eachstory.net

  • X(Twitter):https://x.com/each_story






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