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日記〻ここでと決めたバス停からバスに乗り、

3日坊主でも大丈夫、3日間で区切る日記をつづける。

12月29日(日)
朝、ふたたびいらないものの整理を進める。
何となくの所で切り上げて、お昼ご飯に昨日のカレーをあたためて食べ、2日目のカレーもたいへん美味しかった。
さすがに体がなまってしまうと危機を感じ、バスでいやしの里に行ってサウナに入る。木々に囲まれたスペースで外気浴をしたら「ぶあーーーーーー」っと何かが抜けていく感じがした。
今日までのあれこれ。
それから塩の露天風呂で肌がピリッとして、そういえば温泉には久しぶりに浸かったなと思う。
上がってから帰りのバスまで時間があったので座敷でごろんとしたり、近くの海や漁港の写真を撮りながら歩けるところまで歩く。
日もとっぷり暮れてしまって、ここでと決めたバス停からバスに乗り、eternal momentを聴きながら揺れる。降りたバス停の名前が「堤防」で、びっくりしつつもなんかいいなと思った。
夜は親戚から贈ってもらったいいお肉ですき焼き。
長男が「毎日うまいもんばっか食べてバチが当たりそう!」と言うので「いやそれ当たり前だから」と返したら「さっすが〜〜!」と返ってきた。


12月30日(月)
毎朝寒すぎて目が覚め、寒すぎてまた布団にもぐる。昨夜、次男が会社の人からブリの半身をもらってきたらしく「どうしようか…」と困っていた。
実家で生魚を捌いてきたのはお父さんの手で、今はもういない。そうか、もういないのか。と、こういう時に死の実感が湧く。
「…捌ける?」と聞かれたので「YouTube見たらいけるっしょ」とドヤ顔で答えた。


12月31日(火)
お昼過ぎに近所の人が線香をあげに来てくれて、お母さんと熱心に話してくれた。
まっすぐな目でずっと励まそうとしてくれているのが伝わり泣きそうになる。
聞く事に徹していたら「口をなくしたらいかんで。」と聞こえてきて、文脈からすると「ご飯だけはちゃんと食べたや。」ということらしく不思議な言葉。インターネットで調べてみたけどそういうニュアンスでの使い方は見当たらず、めちゃくちゃいいなと思った。
晩ごはんの時間が近づき、"脂がのってます!”と元気なシールが貼られたブリを冷蔵庫から取り出す。 ゴム手袋をはめ、スマホの動画を止めながら、おずおずと包丁を入れていく。まずは手前の腹骨を取り、真ん中で2つに分け、刺身の形になるように無心で捌く。大きい皿2枚がびっしりと刺身で埋まり、任務完了。
食べてみると、脂がたっぷりでつるんととろけた。
ブリしゃぶもたのしんで紅白見つつもくもくと食べる。星野源の黒い瞳に箸が止まり、画面に釘付けになる。最後にスポットライトが全部こっちを向いていた事に一番しびれた。

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