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部下の新卒が立て続けに辞めました
どうも、こんにちは。
この3.4月あたりで、新卒の1.2年目が立て続けに退職をしました。
人出不足が叫ばれる昨今ですが、私の組織も例外ではありません。
私は7,8名程度のグループの営業マネージャーをしており、新卒や中途が年に1回程度入ってくるようなグループを見ております。
そんな中、最近では退職代行や若手の離職が社会現象になっていますよね。今回は私が経験した2名のケースを元に振り返りと今後について整理したいと思います。
私自身は、自分の部下を持つようになって、5年程度が経ちますが、自分の部下が離職したケースは初めてでした(メンバーが異動後に辞めるケースは結構ある)
1人目。新卒1年目で退職(入社して1年持たず)
今どきも今どきの若者です。
見た目は「コンカフェ」にいるような、長髪でメイクもしており、私のようなおじさんにとっては完全に新人類でした。
思えばコロナ禍に入り、コロナ禍を学生時代で過ごした世代が最初に入ってきたときも、「新人類やー!」と騒いでいたのですが、毎年、新人類が入ってきているなという感じです。今の新卒はは、価値観がバラバラなため、それぞれのケースが100人100色という感じです。ただ、それは表層的な価値観で、根底にある価値観が変わってきているからこそ、平成昭和世代の人は、今の若者を扱いきれないのではと思っているのと、扱いきれていないのが、若者にも伝わっているからこそ、心も離れてしまっていくのだと思っています。
では、変わってきてしまっている根柢の価値観とは・・・
それは「会社に対する従属度」です。
あえて帰属意識という言葉を書かないのは、我々を含む上の世代も「帰属意識」は高くないなと思っているからです。
よく今の若者は「転職前提で入社している」ということが言われますが。現場感としてもあながち間違っていないと思いますし、30代40代も転職のことはみなある程度意識をしている人が多いです。私が新卒入社した時代は、リーマンショックなどもあり、大変不況でした。いやゆる派遣切りや内定取り消しなどが発生した事態です。価値観としても、転職ではなく、基本的には一つの企業で勤めるということが大方の価値感になっていた時代かと思います。一つの会社に勤めるといことは、「会社に対する従属度」が高く、転職がスタンダードではない価値観になります。これは私のようなアラフォーの価値観も変化してきており、実際私の以前の職場の人間、新卒で100名以上の入社で今でも中のいい10名程度の中で、当時の会社に勤めているのは、2人くらいです。大手であり、仕事のハード面は安定しており、福利厚生や収入は安定していました。仕事のハード面安定性はあったと思いますが、ソフト面の心理的な安定性が低いため、皆離職していきました。「転勤がある」「この会社でしか使えないスキル」「仕事がタスクや管理でつまらない」「つまらないのに拘束時間が長い」といったところでしょうか。以前であれば、それぞれが、許容(我慢)していたのですが、できなくなっていっています。ハード面においては担保できる会社はたくさんありますが、ソフト面もなければ、従属意識は薄れていきます。今、多くの会社では、ソフト面が非常に弱いなと思うのと、新卒中途共に【超売り手】市場という外部的要因により人の流動性は止まらない状況かと思っています。
従属させることが難しいとすると、ハードとソフトをバランスよく対応することで、その人の帰属意識は高めることができると思っています。ハードについては、人事の変数が大きいため、現場からのアプローチが難しいですが、ソフト面であれば、どうにかなるかなと思っています。
では、一人目に戻ります。彼は、一定のハード面に魅力を感じて入ってきてくれました。そのハード面は「営業として成長できる環境」です。マインドとしては、問題なかったように思いますが、社会人としての基礎が他の新卒よりも著しく劣後してしていました。髪型、服装、態度、言葉遣いなど、ビジネスマンとしてのベースとなる部分が劣後していたということと、それらを指摘指導した時に、改善が見られなかった、そもそも「直すつもりがない」ということが本人から確認も取れ分かり、ベースの部分が劣っている中、現場でも当然成果も出ませんでした。また、ビジネスにおけるハード面のスキルについても、厳しく、社内外のトラブルが複数発生してしまい「すべてのメールをチェックする、すべてのコミュニケーションのやり取りをチェック」するということが必要となり、教育コストがかさんでしまうことから、営業からは異動となりました。結果として、その数か月後に退職となりました。
本人の意向としては、営業職として成果を残したいとのことで、第2新卒として転職をしていく形となりました。元々、1on1などを通してキャリアの話をしていましたが、転職によるステップアップが視野に入っていたので、時が経てば、転職はしていたかもしれませんが、前提として、1on1などの場で中長期的なキャリアの話となった場合、最初から「転職」ということが、大々的にメッセージとして普通に若手は言ってくる、転職前提の価値観がない管理職に伝えられるというのも、近年の傾向でそのはないでしょうか?
また、上記のようなスキルレベル(スキルアップできなければ、どこの会社でも通用しないのでは?と思っている)でも転職が簡単にできてしまうというのも、大きな止められない潮流なのだと思います。
私自身の反省点や至らない部分はありますが、正直、今回新卒の子に費やしたフィードバックや教育の時間が、マネージャーの私だけではなくメンティーや他の先輩メンバーも含め非常に膨大であり、次の会社ではそこまで面倒を見てくれる人がいないだろうな(第2新卒とはいえ中途ですし)と思っています。初めての印象は良いため、そのあたりは転職面接では評価されるかもですね。
2人目、新卒2年目(女性)で退職。
彼女のモチベージョンは低くなかったのですが、他のことへの挑戦を理由に退職。こちらも、配属後の1on1から、ずっと会社にいるつもりはないとの意向が最初から出ていました。特に途中からは、挑戦していきたいことも明確で活動もしていることがわかり、「離職も時間の問題」という認識がありました。挑戦したい内容も、私の会社では同様のことが行えることがなく、配置転換などの調整や見当もせず、彼女の意向通りの離職となりました。会社として、ハード面ソフト面のネガは一定あったとは思いますが、留める理由見出せませんでした。
こちらのケースでも、「転職意向」が最初からあるという点はありましたが、前提どの人も転職については、考えるきっかけが常に存在していると思っています。ライフステージの変化(結婚、出産、介護、育児)、キャリアを考える時間(会社の四半期、半期、年間の目標振り返り)、年齢(25歳、30歳、35歳、40歳)など常に、キャリアを考えるきっかけはあります。そして、キャリアに対して【このままでいいのか】のトリガーが発射されたときに、行動した瞬間、【すぐに転職先が決まってしまう】という売り手の市場が、雇用の流動性を高めています。私のようなセールスも基本的には引く手数多の分野になっています。私自身も2回ほど転職をしているので、転職に対してのネガは全くないです。それが、今の環境からの逃げなのか、やり切ったから逃げるのか、直観であったとしても考えるべきかなと思っています。ちなみに、私は1社目は、完全な逃げで、2社目はある程度やり切った感じでした。3社目の今はまだやり切れてません。
まとめと所感
ざっくり下記のような特徴があります。マネージャー目線で見ていきます。
①100人100色を前提に会話はしてる
マネージャーは自分の配下については規模は小さいものの、経営者の視点が求められると思っています。事業をどうするかという視点が入ってくるものの、事業成長に欠かせないピースが人だとすると、人自身の成長が組織の成長になります。つまり、人が抜けてしまうということは、リソースが減るので単純に成長するためのリソースがなくなるということです。組織的には、離職は避けたいところですが、一方で、人自体も簡単にやめていく流れの中で行くとどうすればいいでしょうか・・・。その個人に合わせて100人100色の要望を聞いて対応することでしょうか?答えは【否】です。100人100色の要望叶えるというよりも、100人100色の成長の仕方があるという言い方が正しいかもしれません。新卒の戦闘能力5の人物から、いろいろ要望を言われ、それが叶ったとしても、プラスになることがあるか?その人自身もそれで成長できるか。経験も成功体験もないその子の要望をそのまま受け入れても、何も起こりません。その子が成長し成功していくために土台が必要です。成長と成功の定義をすり合わせていきながら、そこに向けた土台をどう作っていくかが、100人100色なのです。土台の作り方はそれほど、奇抜なものは現状の私の経験だとありません。まずは、成長と成功の定義をすり合わせがキモかなと思っています。後はそこに向かってマネジメントをしていきます。
②今の環境を変えるてまでして所属を変えるべきか
セクハラやパワハラを受けているなら、話は別ですが、新しい環境に移った方がいいほど、今の環境が良くないかはきちんと議論するべきポイントでしょう。そもそも、議論する対象の自分が嫌(お前が嫌だから辞めるんだよのケース)ということもあるでしょうが・・・。普通の会社であれば、いたって、セクハラパワハラ野郎に合うケースの方が最近では少ないのではないでしょうか。今の環境で頑張ることを差し置いても、本当に新しい環境でチャレンジした方がいいかは明確にするべきです。ケース2のようにやりたいことが明確かつ、現在の会社でできないことが明白でないケース以外は、年収が少し上がるくらいで行くとリスクの方が上回るケースも非常に大きいです。
③帰属意識を醸成することの難易度が上がっている
従属意識が弱まる中で、その企業にとどまる時間は減っていきます。つまり、現在の会社が良かったとしても、帰属意識が醸成される前に転職をしてしまうケースが多くなります。少しの条件アップのレベルならば転職も簡単にできる中で、どのように帰属意識を高めていくかは、ほぼソフト面しかないかなと思っています。ハード面がコントロールできないので、コントロールできるソフト面の対応をしていきます。転職のハードルは年齢を重ねるごとに上がっていきます。受け入れる側(転職先)もですが、入る側(転職者)もです。転職者からすると新しい職場で新たに人的ネットワークを1から作らなくてはいけないため、慣れた環境仕事を行うよりも、仕事を進める難易度は上がります。役職も権限もない中で、新たな人脈を作らなければいけません。そのリスクがあったとしても、転職をしていく人は一定のコミュ力がある人だと思いますが、私の所感では、20代後半くらいから新たな環境で人脈を作っていくためには相当なコミュ力が必要かと思っています。逆に、20代後半(28-29)くらいまで、転職をしない場合、新しい環境での人脈構築リスク変数により、今の環境を捨てないのではなと思っています。
また、この頃には、学生時代の貯金がほぼなくなっていると思います。
いわゆる東大京大をはじめとした有名大卒のエリートも、社会人経験として成果を残してきた人たちには勝てず、横並びになっていきます。それくらいビジネスで経験値は大きいものになります。私の部下の学歴は全員私より高いですが、今の営業職としてお客様とビジネスを作り出していくという点においては正直負ける要素があまり見当たりません(みんな頭いいので、コミュ力勝負の私とはそもそも戦い方もそれぞれですが)
④リモートワークによる効率化とパラレルキャリア
帰属意識醸成のための一つのポイントが、【市場価値を上げたい】です。不透明な未来に突き進んでいく中で、汎用的に市場から評価されることを求めています。なので、所属する会社だけでしか通用しないスキルなどは、あくまでミニマムのスキルであり、そこを伸ばしていくことに注力していくと、【今の会社では市場価値が上がらないとして】不安が勝ち、新しい職場に転職していきます。では市場価値とは何なのか、それは【成果を出し続けるススキル】と私は思っています。成果を出すためには、もちろんスキルを習得する必要があるのですが、今の社会情勢の中では、スキルが習得しにくいと考えています。残業規制や働き方改革の中で、【頑張りたい】【もっとスキルが欲しい】【成長したい】という要望に対して、【がむしゃらに働く】ことを規制されているので、時間的に他人より頑張ることで習得していたスキルを習得するできない環境になっています。私の若手の時も「朝まで提案書を作って、朝一のプレゼンで提案して~」「深夜まで仕事して、そこから始発まで飲んで~」ということが多々ありましたが、今の若手はそれを実現する環境が制限されています。ですので、「俺たちの時代は大変だった」系の武勇伝は、現在の日本の職場環境においてはあまり意味がないですし、若手からはどうすることもできないので、「時代パワハラ」になります。とはいえ、資本主義社会の中で競争に身を置く個人としてどのようにスキルを磨いていくかというと、「他人よりも頑張るしかない」となるのですが、自分の会社の中だけだと環境制限により厳しいので、経験を積むために外に目を向ける必要があります。これまで、自分の会社が自分を追い込む環境を用意してくれていましたが、意図的に自分を追い込むということが自分自身で必要になります。相当なモチベーションがないとできないことですが、体力があるうちに自分を追い込む環境で成長しなければ、30代40代と体力的にも立場的にも対応ができなくなっていく中で、若手の時代により【寝ずに遊ばずに】頑張れる環境で頑張れるかが今後のキャリアの差になるかと思います。1社で追い込める環境に転職をしてしまうのも、ありかと思います。私の例で行くと【寝ずに遊ばずに】仕事をしていたはずなのに、一方で仕事の後や土日(も仕事をした後は)、それこそ寝ずに遊んでいましたので、今思っても仕事の記憶よりも、遊んでいた記憶の方が強いですし、すごく楽しかったです。今はリモートワークなどもあり、確実に自分の仕事をコントロールしやすい時代になっていますが、そこで効率化されて捻出した時間を、どう過ごすのかの習慣で、ある程度キャリアは決まってくるのだと思います。