モルドバでスカウトされたときの話
今から10年以上前、モルドバに行く機会があった。
ドイツのフランクフルトで飛行機を乗り換え、
モルドバの首都キシナウ(キシニョフ)に向かった。
首都キシナウにいる間に地元の国立大学に行かないかと声をかけられた。
日本語学科があるらしい。
面白そうなので、誘いに乗って大学に出掛けた。
学校に着くと、ちょうど授業が始まるタイミングだったようだ。
許可をもらって、教室の片隅で授業を見学する。
授業が終わってから、生徒たちの雑談があった。
私も雑談に交じることになった。
先ずは自己紹介をして、学生さんたちの話を聞く。
話を聞いていると日本のアニメに興味を持った学生さんが何人かいた。
日本のアニメ、モルドバでも見ることができるんだな。
(今よりもネット環境がぜい弱だった頃なので、動画は今みたいに手軽に観ることができなかった)
お茶を呼ばれ雑談をしていたが時間が来たので失礼することに。
お礼のあいさつをして教室を出ようとすると、先生に声をかけられた。
いわく、日本語の教師が契約が終わるので、やってみないかとのこと。
私は日本語教師の資格を持っていない。
モルドバに出掛ける前に、この大学が日本語教師を募集している案件を、とある国際機関のホームページで見たことがあった。
その時に、外国の人に日本語を教える為の資格が必要なことを記載していたことを思い出す。
「資格がないので、お断りします」
と答えて教室を失礼した。
先生は何かいいたそうだったが、私は足早に教室を離れた。
モルドバに10日ぐらい滞在した後、帰国した。
帰国してしばらくたってから、外国に留学した経験のある方と話す機会があった。
何かのきっかけから、この日本語教師のスカウトされた話をした。
「興味があれば、受けてみればよかったのに」と言われた。
「でも、資格持ってないのよ」と話すと、
「先方はそのことを気にしていなかったでしょう」と言われた。
確かに資格がないことを気にしていなかったな。
もしかして面白い経験ができるチャンスを棒に振ったのかな。
更にそれから数年たって、この大学で日本語を教えた方の労働条件を聞く機会があった。
月給と待遇を聞いて、なかなかハードだなと感じた。
うまい話には、色々あるのね。