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絶体絶命宿満室。スペイン聖地巡礼中のある日の出来事

今から4年前の初夏の頃、スペインの聖地サンティアゴ・デ・コンポステラを徒歩で巡礼した。
巡礼路は、日本人がよく利用するピレネーから西に向かう「フランスの道」をはじめとしていくつかのルートがある。
私が歩いたのは、「ポルトガルの道」と呼ばれるポルトガルの首都リスボンから北に向かいサンティアゴを目指す道。全長700キロメートル弱。
さすがにすべての道のりを歩くには時間が足りない。
ポルトガルの北部の町から約200キロの道を8日かけて歩いた。
その時に出来事。

さて前置きが長くなったが、ポルトガルとスペインの国境を越えて数日目の出来事。

この日の宿泊先は「Redonlera(レドンレラ)」
30キロの行程。
いつもよりも長い道のりだけれど、地図を見ると一か所250メートルの峠を越えると、あとは平たんな道が続くようだ。
念のため、朝早めに町を出発する。

町を出て森を抜けて、小川を越えて歩く。
しばらく歩くと、この日の山場250メートルの峠道に差し掛かったようだ。

途中、休憩を入れながらゆるゆると歩きながら、町を目指す。
ようやく町が見えてきて、しばらく歩くと町の中心に近づいた。
まずはアルベルゲ(宿)を探す。

広場に面した便利な場所にあった。
中に入り、フロントで泊めて欲しい旨を伝えると、あいにく満室とのこと。

町中にはプチホテルなどの宿はあるようだが、10ユーロ以上するらしい。
※アルベルゲは5~6ユーロ。いわゆるドミトリー(別途が複数並ぶ合宿所状態)。

お金を節約したい以上に、正直これから宿を探しに出かけるのも辛い。(多分、同じように部屋にあぶれた人と重なるから)。

肩を落とし、しょぼぼんとしているとアルベルゲの係員は何か話し始めた。

スペイン語なので何を言っているかがわからない。
首を傾げたていたら、ちょうど宿についたばかりの女性が背後に立つ。

そして、係員の話すスペイン語を英語に訳し始めた。
(後から聞くと彼女はイタリア人、スペイン語はわかるらしい)

「条件付きで了承するなら泊まてくれるらしい」

「というのも、身体の不自由な方向けに一部屋キープしている。
もしも該当する方が、来ると出る必要がある。これを了承するか/否か」

(そして、多分今日はもう来ないと思うけど)と話していたそうな。

「渡りに船だな」
迷うことなく了承した。

そして訳してくれた彼女も、「私も泊まる」と言い出した。

「どういう、ことなんだろうか?」
部屋に案内されて謎は解けた。
ベットが2つ並んでいた。

「なるほど!!」

この特別室、部屋に専用のシャワーとトイレがついていて、この部屋だけで完結できる。
(通常なら20人ぐらいの部屋でトイレとシャワールームは別室にあり共同利用)

残念なのは、鎧戸が降りていて外の風景が見えないこと(日が暮れると真っ暗)。

それにして、寝床が確保できて、宿探しに歩き回らなくてよくなったのが、ありがたかった。

神様ありがとう。
宿の受付のお姉さんありがとう。
そして、訳してくれたイタリア人の女性よ、ありがとう。

寝床を確保したので、荷物を部屋に置いて街歩きに出た。

到着した時は宿探して、ゆっくり見ることができなかった町の様子を楽しむことができた。
翌朝も出発が早いので、ほどほどに切り上げて「特別室」に戻った。

※注意:冒頭の地図はGoogleMapsより引用。
地図上の下から1つめと2つ目の赤い枠で囲まれた間に、レドンレラの町はある。

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