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当たり前が、当たり前であるために

先日見たプロフェッショナル仕事の流儀がすごく良かったのでご紹介。

最近巷でよく聞くエッセンシャルワーカーという言葉、みなさんもご存知ですよね。
コロナ禍、在宅勤務や外出自粛などにより活動を制限された我々が日常生活を送り続けるために必要なものを供給し続けてくれる仕事、(医療や福祉、小売や交通など)に従事している人々のことをさします。

この回で取り上げられたのも、そんなエッセンシャルワーカーの1人。路線バスの運転手・大森透さんです。

大森さんは、多くの観光客や住民が利用する箱根の道を走る路線バスのベテラン運転手。定年を超えてなお、人々の日々の移動を支えています。

大森さんの運転テクニックは素晴らしく、カーブの多い箱根の道でも乗客は車酔いすることなく目的地までたどり着けるといいます。徹底しているのはカーブを感じさせないほどの滑らかなハンドルさばきと、アクセルの踏み方。

車体の揺れを最小限にすることで、乗客は車酔いすることもなければ、つり革にしがみついて立つ必要もなくなり、快適に乗車することができるのだそうです。

私も毎日通勤で路線バスを利用していますが、運転が荒っぽい運転手が多く、急アクセル・急ブレーキ、停車のたびに車体が大きく揺れる…など。あまり気持ち良く乗れた経験がありません。
車酔いしやすい体質なので、正直毎日バスに乗るのは少し憂鬱だったりもします。
大森さんの運転するバスであれば、そんな思いをせずに済むのでしょう…。たかが数分の距離でも、気持ち良く移動できるように…と、乗る人への心配りを忘れない大森さんの運転に、知らず知らずのうちに支えられている人はたくさんいるのだろうなと思いました。

そして、大森さんの真骨頂は接客力!
雨の日は停留所ではなく、屋根のある建物の近くで乗客を降ろしてあげたり、乗客の目的地だというお店について、バスが停まるかだけでなく、定休日まで確認してあげたり…。


とにかく思いつく限り、できる限りの親切丁寧な接客をし尽くす姿は本当に素晴らしいものでした。
そして、その接客を365日欠かさない。自分の気持ちがどうとか客の態度がどうとか関係ない。いつも変わらない接客で安心安全に乗客を運ぶ。これぞプロフェッショナルという仕事の取り組み方に感動しました。

冒頭、大森さんが「私なんかでいいんですか??」といった感じで、

自分の単調で地味な仕事をテレビで取り上げられることに違和感を感じているようなカットがありました。
正直見ているこちらも、「バスの運転手?密着したところでそんな面白いドラマとかあるのかな…どうやって1時間持たせるんだろう…」と思いましたが、

しかし、見終わって、
大森さんはまぎれもなくこの道のプロフェッショナルであり、この番組で取り上げられるべき人だった、と誰もが思ったと思います。
私たちの生活は、こうしたなもなきプロフェッショナルたちに支えられて成り立っているのだなということを改めて実感することができました。

また、いち転職希望者としては、大森さんが、仕事を嫌だとか辞めたいとか思ったことは一度もないと言い切っていた姿がとても印象に残りました。

それは、大森さんが、仕事というものをそもそも自分が楽しむためのものではなく、使命を果たすためのものとして捉え、そのためにとにかく一生懸命に取り組んできたからこそではないかと。

楽しいからその仕事をするのではなく、一生懸命するからその仕事が楽しくなる…。

そんなことを大森さんから教えられたような気がします。

どんな一流の料理人や芸術家の密着よりも、仕事人のあるべき姿・真のプロフェッショナルのあり方をしっかり映していたのではないかと思います。

録画などされている方はぜひご覧ください。

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