切望
いつも死にたいと思っていた。
死んでもこの魂の行く先は地獄だというのに。
それでもこの命が尽きることを願ってきた。
明日なんか来なければ、今日が最期だったらと
ただそう願い、天が私の終止符を打ってくれることを待ち望んでいる。
いつからそう思い始めたのかすらもう覚えていない。
ただ苦痛が終わることを、この生が終わることを
まるで壊れた玩具のように同じ思考を繰り返し
毎日を過ごす。
地獄の中で独りあがいていた。
こんな私を独りにできないといつも誰かが傍にいてくれる。
しかし地上には私の心が休まる場所などない。
希望と呼ばれるものも結局はただの幻想。
絶望と地獄をただ耐えるしかない。
私にも希望があった。
誰かが私を必要としてくれること
誰かが私を愛してくれること
そんなことは起こりえないとわかっていても...。
貴方に出逢って夢を見た。
眩しかった
こぼれる吐息
溢れる想い
全てを諦めようとしていたあの日。
生きていく理由すらわからないまま
絶望の真っ只中にいた私は、光というものを見た気がした。
息を吸えたような生きている日々。
誰かの笑顔を、誰かの幸せを、誰かの未来を
私も一緒に感じたいと思ってしまった。
こんな粗末な命を永らえてでも。
でも私のような人間が近づいてはいけない気がした。
いつものようにまた心に傷を負うだけかもしれない。
また誰かを傷つけてしまうだけかもしれない。
ただ眺めているだけにしよう。
それだけでも心は満たされる。
この感情をどう表現すればよいのか。
でももう他に何も見えない。
私が砕け散っても共に過ごしたい。
私の魂が救われなくてもこの気持ちを押し潰したくない。
貴方との明日を共に見たい。
その対価が私の命であっても...
私は「暗黙の線」を越えてしまった。
誰かが傍にいるということはこんなに幸せなことなのか。
大きな何かが崩れ落ちた。
忘れようとしていた何か
必要としてはいけないと思っていた何か
私の心に入り込んできた。
拒むことはできない。
その光を感じていたい。
一緒に...なんて何も知らないから言えるんだ。
でも信じたい。
そんな気持ちが生まれてしまった。
もう独りはいやだ。
高望みだとしても神に許しを乞う。
この身体からの開放という僅かな希望を諦めずに。
この選択は正しいのだろうか。
あるいは
また災いの始まりとなるだろうか。
今はまだわからない。
何かが胸につかえる。
でも貴方に逢いたかったのだ...私はきっと。
心に染み渡っていた闇が消えていく様が目に浮かぶ。