選抜と倍率
Mr.モグです。今回は、人材選抜を行う上で、欠かすことのできない要因の一つに焦点を当てていきます。 それは選抜試験と倍率の関係です。
次のような三つの選抜試験があったとしましょう。それぞれ申込者数、受験者数、1次試験合格者数、最終合格者数、さらに、実際に採用された人数がわかった場合の倍率を求めると次の表のようになります。
実際の選抜試験においては、申込者数と受験者数が異なります。申込みをしても受験しない者もいるので、表のように、申込倍率は各試験共に5倍で同じでも、受験倍率は異なるのです。
さらに、1次試験倍率は、受験者のうち1次試験合格者の割合になるので、1次試験で厳しく選抜をする試験の場合(この例ではA試験は1400人を600人に絞り込んでいる)、1次試験倍率が高くなる一方で、2次試験での倍率は低くなります。
このように、選抜試験では各段階で、どの程度受験者を絞り込むかにより、各段階の倍率は大きく異なるのです。
一般に、1次試験では、多肢選択式試験といったようにコンピュータを使って大量受験者を効率的に採点できる試験にし、ある程度絞り込んだ上で、2次試験では、人物試験や論文試験といったように、採点や試験実施自体にコストや時間がかかる試験を行うことが多いのです。
受験者の立場からすると、各段階での倍率の違いにより最終合格の可能性も変わってきます。(例えば、1次試験で受験者の不得意な科目があった場合、上記の例では、B試験を受ける方が、(1次倍率が1.4倍と低いため)A試験を受けるよりも最終合格しやすくなる可能性は高くなるのです。
なお、受験倍率が低いと試験は、難易度が低いと言われがちですが、これは、正確ではありません。試験によっては、(難易度が高いので、多くの人が受験するのを避けたため)倍率が低くても難易度の高い試験があるのです。
(例えば、東京大学の大学入学試験の受験は例年3~4倍のことが多いですが、この倍率をもって、受験倍率が10倍の他大学の方が難易度が高いということになはなりません。)
また、倍率が低くても、(合格可能性の高い)いわゆるコア層の人数が変わらずに、コア層以外の受験者が減ったことで、倍率が下がった場合は、次の図に示すように、最終合格者層のレベルは変わりません。もちろん、全体の受験者数と共に、コア層の人数(受験者数)が減ったことにより、全体の受験倍率が下がった場合は、最終合格者のレベルが下がることになります。
図では、点線が倍率の高い時(競争率3倍)の合格者分布と不合格者分布を示し、実線が倍率の低い時(競争率1.5倍)の合格者分布と不合格者分布を示します。
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