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750-蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)

小学生の夏の日、黒くて羽の端にオレンジ色の模様が綺麗に入っている大きな鳳蝶(アゲハチョウ)を採取しました。

左右対称に多角形や楕円形に模様が入り、美しい幾何学模様のようです。なかなか捕まえられない大物です。

友達に見せようと、羽を壊さないように、そっと網から外して虫かごの中に入れました。

それなのに、、、虫カゴを家の裏口のところにひょいとかけたまま、すっかり忘れていたのです。蝶々にしてみたら、狭くて羽を広げられず不自由だったと思います。

その数日後、お昼寝をしていて夢を見ました。モスラのように大きくなった蝶が、畳一畳位の大きさの羽をバサバサと振りかざして、私の上に大きな金粉をバラバラと振りまいています。

金粉は結構大きくて、体の上に積み重なって、動けなくなる夢でした。夢の中で私は、裏庭にほったらかしていたあの蝶だと気づきます。

アゲハ蝶の呪いだと思って目が覚めました。裏庭に行ってみると、虫かごの中で蝶は標本のように固まっていて、私は申し訳ない気持ちになりました。

蝶が妖術を使って夢に見させたのだと思います。その後、美しい蝶が怖くなり、近寄らないようになりました。

それから十数回の夏を越し、私は皮膚科医になりました。ここにも蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)という蝶がいました。

鼻と両頬に、羽を広げた蝶のような発疹ができる疾患があります。蝶形紅斑と言って、エリテマトーデスという膠原病の代表的な症状です。エリテマトーデスは、若い女性に多い疾患です。

蝶形紅斑の他、以下の症状がありましたら、速やかに膠原病のチェックをおすすめします。

① 一緒に日に当たったのに、自分だけ日焼けが尋常じゃなく酷い
② 微熱が続く
③ いつまでも夏の疲れが抜けない

膠原病は、自身の細胞を自分で攻撃するようなシステム異常を起こし、複数の臓器に炎症を起こしていきます。発症早期に治療を開始することで日常生活は守れます。早めのチェックが大事です。

私のクリニック目白
院長 平田 雅子