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すべてが初体験

19時

彼の誕生日パーティーは
アメリカ人女性のワンルームの部屋のはずが、
あまりパーティーらしくない。

・部屋はデコレーションなし
・ケーキなし
・バースでソングもなし

なんかおかしいな、
気軽なパーティーならこんなものか、
と考えてた。

21時。

自宅へ帰るには「バスと地下鉄と自転車」
で2時間がかり。
そろそろ帰らねば。

「今日はみんなでクラブに行くの!来るでしょ?」

???
頭の中で色んなことが駆け巡る。

・人生でクラブなんて行ったことない!
・クラブに行ってみたい!!!!!
・クラブに行ったら、家に帰れない。
・母からお泊りの許可が必要。
・クラブに行くなんて言えない。

どうしよう!
冷静になる。

外国人が8人いる。
日本人は私ともう1人同世代の女の子。

こんな小グループ且つ外国人の割合で
遊びに行ける機会なんてあるだろうか。

怒られることを覚悟して、
母にメール。

アメリカ人女性の所でこのまま
泊まると嘘をついた。

母はカンカンに怒っていた。

大学生の娘がいて、
急なお泊りくらい、
許してほしいものだ。

母の気持ちを和らげるため、
ひたすら謝るメールを送った。

どうしてもクラブに行きたかったからだ。

22時。

やっと出発!

人生経験が遅れているのは知っていたが、
こんな遅い時間に出かけたのは初めてだった。

夜のバスに乗った時の
胸の高鳴りを今でも覚えている。

クラブに到着すると、
ドリンクを注文しはじめた。

カクテルなんて飲んだこともなければ、
名前も知らない。

一緒にクラブへ来た留学生の
イギリス人男性が「何飲みたい?」と
聞いてくれた。正直にわからないことを
話すと、飲みやすいと言ってカルーアミルク
を頼んでくれた。本当に飲みやすかった。

ここまで、
今の主人とは一言も会話をしていなかった。

だが彼を観察をしていて気がついたことがあった。

シャイ。

それで目も合わないし、
必然と無視をされていた。

納得がいった。

クラブに着いてからは、
バースデーボーイの彼は
みんなに飲まされ続けて
ベロベロになっていた。

目がトロトロになって、
ニコニコとリラックスムード。

10人全員でかたまって踊り続けた。

最高に楽しかった。

1時

10月の1時はかなり冷え込んでいた。
クラブから出ると、みんなで居酒屋へ行った。
くどいようだが、こんな時間に外で過ごすことも
居酒屋にいることも信じられない出来事だ。

3時

ここからどうやって帰るのだろうか。
その疑問が少しずつ湧きはじめた。

・バスもない
・地下鉄もない
・タクシーはかなり高くなる

居酒屋を出ると、
私たち10人がたどり着いたのは、
街の真ん中にある芝生と鉄製の椅子がある場所。
近くには地下鉄の出口がある。

酔っ払いながら、
話したり、座ったりと過ごしていると
みんな眠気に襲われはじめた。

芝生に横になるが、寒い。

寒さがキツくなり、
みんなでくっついて寝転んだ。

それぞれが頭を左向きにして、
後ろに人・人・人・人・人。

意外と温かかったし、
眠気に勝てずに、
屋外の屋根も壁もない、
公園でもない場所で朝を迎えるまで寝た。

#エッセイ #国際結婚 #クラブ
写真 unsplush.com

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