レイジングループについて 感想

『レイジングループ』めちゃくちゃ面白かったので、レビュー、キャラ評含め感想をば。今暴露プレイ進めてます。

 この作品と同じく人狼ゲームを題材にした『グノーシア』もかなり面白かったですが、こっちは少しテイストが違いましたね。作中でも明言されてる人狼ゲームの「論理ゲーム」の部分と、「政治ゲーム」の部分という側面のうち、前者にスポットを当てたものが、グノーシアで、後者にスポットを当てたのが後者って感じですかね。人狼ゲームといえば、私が中学生の頃くらいに昼休み毎にしてましたが、この人狼ゲームは完全に「政治ゲーム」でしたね(笑)ともすれば、この原型が社会運営のシステム、もとい供犠の発展型であるというのもとても面白かったです。共同体を持続させる為に一部を切り捨てるというのは伝統的な手法ですし、人間に限ったものでもありませんからね(共食いとか)。狼が一日一人しか殺せないというのも、ゲームとしての都合なら狼が一方的に有利になるということでしょうが、社会システムとしての都合から考えれば殺すことは手段であって目的ではないということで解釈できると思います。兎にも角にも人狼パートの出来が本当に良かった。人狼ゲームをゲームとして扱わなかった場合にはどうなりそうかというのが、良く分かるのでないでしょうか。

レビュー

 まあそのように人狼パートについては文句なしなのですが、それ以外の分野について、気になった点をいくつか。一つに個人的に主人公の房石陽明の演技がイマイチでした。あの喋りが彼のパーソナリティを形容しているという意見をどこかで見てなるほどとは思いましたが、あのノリは少し合わない人がいるかもしれません。また、彼関連なのですが彼の元カノについても、演技は気になりませんでしたが、地の文が若干きつかった。もう一つはオチというか、彼の「神」観ですかね。まあそういう価値観ならこのオチしかないかという感じですが、私的なものの考えとは若干合わなかったので、あまり評価できないですね。ただこれはあくまでも価値観の問題であり、その価値観に一貫した物語であるというのはむしろ評価点でしょう。ストーリーは概ねそんな感じで、ゲーム部分は特に不便に思うところもなく、快適でした。音楽、グラも雰囲気に合っていたと思います。

キャラクター評価

 あれだけ人狼パートが楽しめたのは、何よりもキャラ造形によるところが大きいでしょう。単にパーソナリティの傾向だけでなく、別の人間との関係性や特殊なバックグラウンドなど、このゲームの登場人物はみな人間らしさを強調された人間であったと思います。なおネタバレ多分に含みます。

房石 陽明

 詐欺師。あの世界の「神」観に従えば思想の軸となるものつまり、「神」がないからこそ、どういった価値観をも持つ状態にあるというような自己評価をしていましたが、私的には彼は多くの人間がもつ(と彼は思っている)「神」の不感からそれを求めるどこにでもいそうな人間に見えましたね。まああんな能力がある人間はそうそういないでしょうが。

芹沢 千枝実

 殺人鬼系ヒロイン。まあ可哀想だなあと思いますが、好きになる要素はないですね。二週目(房石が初の宴参加)のときにキレっぷりはおったまげましたが、前回の宴と違って感情論でしか喋らなかったのでメタ的には狼にしかみえないっていう。人狼パートでの印象は薄いですね。

回末 李花子

 暴露パートでかなり好きになりました。個人的にはベストエンド(四週目)がイマイチだったので、土蜘蛛復活エンドが一番気に入ってます。最近のキャラクターはゲームにしろ、漫画にしろ(特に漫画)人格が個性に食われてる壊れたロボットみたいなのが多いですが、非実在的な個性を持った一人の人間らしいいいキャラでした。

巻島 春

 何か憑いてる子。ストーリー的には重要人物ですが、人狼パートでの印象は薄いですね。書くこともあまりない。

織部 泰長

 何か『青の紱魔師』の雪男みたいだなあと思っていたら、本当にそんな感じでしたね。要するに溜め込むタイプ。そして、その悩みは他人からすれば大したことがない、「そのくらい言えばいいのに」くらいのものだったりする。だから言えないんでしょうけどね。

醸田 近望

 能里さんにも言えることですが、コミュニケーションにおいて「真実性」というのはファクターの一つでしかないということを考えさせられました。彼の「奇矯の振る舞い」という自虐からも感じることですが、ギャップというのは辛いものです。真実を知ることよりそれを伝えることを苦手とする人はいくらでもいます。「正常=善」である今の社会では生きずらかろうが、頑張ってほしいものです。

室 匠

 ナイスガイが過ぎる。多分一番分かりやすい形で善人でしょう。そんな彼でも状況によっては優性順位を付けざるをえないというのはままならないものですね。

織部 かおり

 鬼子母神。愛の力は偉大ですね。母性というのは近代的な観念であるというのは最近目にした言説ですが、個人的には彼女の暴走がただの執着というのは無情だと思います。

織部 義次

 理屈より感情で動くタイプというのは、扱いが難しいということですね。それはさておき、個人的な狼の最適解は織部ファミリーです。

山脇 多恵

 ザ田舎のおばあちゃん。三週目の義次くんが自滅しようとする多恵さんに「どうようもねえババアだな」と吐き捨てるシーンが、彼の優しさを感じられて結構好きです。

巻島 寛造

 房石がいないループの展開で確実に独裁者になりそう。自分の覚悟を他人に強いるのは真っ当な言い分ですが、それがまかり通る場面なんてそうないでしょう。それでもモッチーや能里さんよりはましかな?

能里 清之介

 程度にもよりますが、彼もよくいる「扱いが難しいけど根は良い人」の一人に見えました。あとストーリー的に一番優遇されてると思いましたね。一週目の高慢っぷりは後の活躍のフリですかね。

狼じじい

 実は神、しかも善神と予想してましたが見事に裏切られました。個人的に房石の「狼じじい氏」の言い方がこの作品の一番の笑いどころです。

めー子

 多分関連作品を知ってれば楽しめるキャラ、「前作主人公」的なやつだとは思うのですが、別にその辺の事情を知らんので評価しようがないです。こういうファンサービス的なのは割と好きだったのですが、自分の知らない作品でされても、内輪ノリにしか見えないのははかなりしんどいですね。三週目裏の加護を伝える下りはかなり好きです。

馬宮 久子

 橋本さんとのコンビがかなり好きでしたね。というか二週目が可哀想過ぎる。人陣営プラス橋本さんがいれば泰長くんよりも優秀だと個人的には思います。

橋本 雄大

 まさかの(人狼パートでの)ラスボス。多分安定した人のリーダーになれるさるがベストで、他の加護あるいは狼ならここまでの脅威にはならなかったでしょう。何となく村人を全滅させてまで生き残ることよりも、人陣営を生き残らせることを選びそう。馬宮さんも洗脳薄かったですしね。これは過大評価?達観し過ぎて好きです。





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