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ひとり暮らしの航海。

航海というと、人はどんなイメージをするのだろうか。私の場合、いいなあってのんきに羨ましがるかと思う。今も少しはそんな風に夢を抱いている。実際に私のいとこが仕事で世界一周の航海に出ていた時には、私も異国の土地から大切な人へ葉書を送ってみたいと憧れた。

船出や旅なんていうと胸がときめくけれど、船っていうのは一度出航したら目的を達成しないと戻ってこれない過酷さがある。そんなことに最近ようやく気づき始めた私です。そういえば小学生で連載が始まったONE PIECEだって、未だにグランドラインを目指して航海を続けている。アラサーになった私はもはやルフィの行方など知らない。

時々、帰り道に京橋を渡ってかつての発着場を眺めては航海の旅を思う。始まった頃は川から広がる新しい景色にドキドキして、これからの旅に希望するけれど、船が海の真ん中に出た時、見渡す周りがひたすら海になって、私は初めて戻れないんだなあって気づく。夜になって真っ暗な海に放り出された時、私は孤独に気づいて打ちひしがれる。よくライフイズジャーニーなんて言うけど、人生にもそういう時ってあるなあ。私は時々、船出の気分になる。航海が後悔となる瞬間にぶつかる。

だけど、悲観するばかりじゃつまらないし気が滅入る。大体、泣きたくなって声をあげて泣いてみても私の涙は3秒ほどで止まってしまう。残念ながら私はうかうか泣けるほど悲しみの達人でもないようだ。(そのくせ泣き虫だけど)だから自分で楽しい旅にしていくしかない。きっとそんな風に考える方が向いているのだと思う。

眠れない夜には言葉を記録して、元気な夜には時々部屋の模様替えをして、好きな音楽を聴く。孤独に向き合う、なんて大げさだけど、仕事でも生活でも恋愛でも、そういう瞬間を愛することができれば、私の航海はもっと楽しくなるんだろうな。そして、航海が終わる頃には見知らぬ君が住んでる街へたどり着きたい、なんてロマンチックに期待をしている。そうやっていると、また旅の気力も湧いてくる。

2017年07月05日

「サウダーヂな夜」という変わったカフェバーで創刊された「週刊私自身」がいつの間にか私の代名詞。岡山でひっそりといつも自分のことばかり書いてます。