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ハロー、2017。

じわりじわりと年の瀬気分になっていたのもつかの間、気がつけばあっという間に新年を迎えました。いつの頃からか、神社では願いごとではなく目標を口にすることにしています。今年のテーマは「健やかに」。変わらずごはんをもりもり食べて、いつでも笑っていられるような過ごし方をしようと意気込む新年、そして私があなたを笑顔に変えたい。そう、今年もロマンチックモード全開です。

昨年を振り返ってみると、平凡なりに色々ありました。美咲町の田舎から、外の世界を知らずに飛び出した犬っころみたいにうろうろと駆け回っていたら、うっかりぶつかったはサウダーヂ城。おいしいごはんでまんまと誘い込まれて、気がつけば忠犬ハチ公のごとく城主に翻弄される日々を過ごしておりました。いつか牙を向けてやろうと目論みながらも、色んな人やものとの出会いにも恵まれて、なんだか不思議な1年となりました。

そのなかでも京橋は私にとって少し特別な場所。東西に残る遊郭跡と、下を流れる旭川には舟着き場。出会いと別れを繰り返し、静かに街のストーリーを紡ぎ、そして見守ってきた。今でも京橋には出会いの効力が残っているような気がしている。少なくとも、私にはその効力を存分に発揮してきた。

行こかもどろか、思案橋。京橋にはそんな名前もあるらしい。川向こうから漂う色気に手招きされて、橋のたもとで迷いと戸惑い。まだ戻れる、まだまだ戻れる、まだ、まだ……。そうやって一歩一歩、行こかもどろか。向こうから吹く風は、歩く私の前髪をあおりながら引き返すように促すけれど、それでも、行こかもどろか。渡りきるのが容易い橋の長さに、ああ、と恨めしさが募る。最後の右足を、橋の外に出してしまえば世界は変わる。行こか、もどろか……。えいと、踏み出してしまえば、そこに居るのは白い猫。ひょろんとした尻尾を追っかけて、夕暮れを待つあの人のところに向かうだけ。きっとこんな物語だってあったに違いない。

今年もきっとあらゆるものが私を喜ばせたり泣かせたりしてくるだろうけど、それでも私は、行こかもどろかを繰り返しながら、前へ前へ歩いていくのでしょう。そして時々「しょーがない」とつぶやいて。酉年だってさ、今年は私の名前についてる小さな羽が少しくらいは役に立つといいな。

2017年01月02日

「サウダーヂな夜」という変わったカフェバーで創刊された「週刊私自身」がいつの間にか私の代名詞。岡山でひっそりといつも自分のことばかり書いてます。