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生産性。

私の旅といえばもっぱら青春18きっぷが主流となっていて貧乏性からいつまでたっても抜け出せずにいる。18きっぷのシーズンになるとひとまず買ってみては、最後まで使わぬまま期限間近になり焦って「青春18きっぷを使う旅」にわざわざ出かけていくのだった。

昔、経済学部に通っていたいとこのお兄ちゃんがしたり顔で「生産性がない」と言ってきたのを今でもよく覚えていて、電車に乗るたびふと思い出す。ロマンがないわねなんて大学生の頃は思っていたけど、社会で働くようになってからは、ほうほう、これが時は金なりというやつかって思うことも増え始めた。

とはいえ貧乏性なのは変わらないから、いっつも18きっぷで旅をスタートさせてしまう。だけど最近は疲れたら新幹線とか特急に乗り換えちゃって、安いのか高いのかよくわからないことになってる。そんなことなら、ちゃんと飛行機を早割でとってとか、誰かと新幹線乗るとか、計画的にやれば問題ないんだけど、どうにも私が遠くへ行きたくなる時は突発的だから困る。

そんなわけでつい最近、私は今までで一番「時は金なり」を自分に言い聞かせた1日があった。朝、ベッドから降りようとしたら深呼吸をしたくてたまらなくなって「どっか行こう!」と思い立った。だけど私の休みは明日一日しかない。地図帳を開いて行ったことないところを目的地にする。朝の散歩が気持ちよさそうなところで宿を取る。そっち方面の知り合いに連絡をしてオススメをきく。仕事終わりに間に合う特急の時間を調べる・・・。

そして私はドキドキしながら仕事終わりに特急へ乗り込んだ。24時間ほどしかない旅にこれほどお金をかけたのは初めてだったけど、深夜に目的地へ降り立つとぬるくて涼しい夏の風が吹いて、ああ出てきてよかったなって思った。18きっぷでは、こんなに遠くまで来ることはできなかった。

次の日は朝早くから行動して、事前に聞いていたオススメと旅先で繋げてもらった人たちを回りきるためにフル回転。特急電車途中下車なんてやばすぎ!なんて思いながら、ついにはタクシーまで使った。今思い返してみても、あの日の自分は羽振りがよかった。月曜日の夜、岡山駅に着いてほっとした。

そうしていつもの毎日が始まると、停留所に早く着いたら一駅分歩く、路面電車は使わない、こっちの水の方が10円安いわ、なんて貧乏性丸出しな自分に戻ったけど、いざって時にはばーんと男気のある自分がいたことに少し嬉しくなった。


2017年08月05日

「サウダーヂな夜」という変わったカフェバーで創刊された「週刊私自身」がいつの間にか私の代名詞。岡山でひっそりといつも自分のことばかり書いてます。