心理学と法律のクロスロード 社労士に心理学がmustな理由④ それは本人の問題だ!か?
④それは本人の問題だ!か?
私が新聞社にいたころにはほぼすべての問題は「それは本人の問題」と切って捨てられていました。
その人間が我慢しないから、精神力が弱いから、努力が足りないから・・
としたところで弊社に勤めたい人間などより取り見取り。
という企業の強気がひしひしと感じられました。
では本人がリラックスとか認知(捉え方)を変えると、企業人生が好転するのでしょうか?
私は社会保険労務士になってから、常々「リラックスしたら仕事ができないのでは」と感じていました。さらに会社への助言もうまくできそうにありません。交感神経と副交感神経だけで働く人のメンタルは説明できない、と頭を抱えていました。
こんなときに出会ったのが、吉里恒昭先生(臨床心理士・医学博士)がひっさげるポリヴェーガル理論でした(イラスト参照)
イラストにすると極めてシンプルで
① 神経を3つに分ける=闘う神経(赤)、つながる神経(緑)、停止する神経(青)
② 神経に良い悪い、はない。3つの神経は生命の維持という目的のために存在している。
③ 人を含む哺乳類の行動は「刺激」に対する「反応である」=“その人”の問題ではない
④ 人の人格、性格は「つながる神経」が働いているときに出る。つながっていない中で「怒りっぽい」=赤、「根性がなくてへたれだ」=青、などと言われてもその人本来の性格ではない
⑤ ブレンドもあり。
赤+緑=会社で仕事。みんなでつながって闘おう!
青+緑=停止していてつながろう!=何も求めない=「愛」(と、この理論を提唱した心臓外科医のポージェス博士)
こうすると、例えば、“一人で深夜残業を続けうつ病になった従業員”を説明でき、では会社はどうすればいいか、も提案できます。
① 従業員はつながる神経(緑)がない中で闘う神経(赤)になった
→一人で頑張って闘いすぎました
② 従業員が生命維持のために、闘いすぎた神経(赤)が停止する神経(青)へ一挙に移行した
→闘いすぎたのでエネルギーを充電しています
③ 会社は闘う神経(赤)が適切に働くために、つながる神経(緑)を用意すべきである
→復職にあたっては一人で仕事をしない人事をしてください。
それは本人の問題、ではなかったのです。そして会社のできることもたくさんあったのです。
続く(5回の4)
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