嘘【詩】
彼女は時々吐き出すように
死にたいという
でも本当は死にたいなんてきっと嘘で
本当のところ
死にたくなんてない
だって
美味しいものが好きだし
毎日空をみてその色に感動してる
それにきっと愛する猫と離れたくないはずで
だからやっぱり死にたいんじゃない
愛想笑いしたり
自分のために嘘をついてみたり
誰かの陰口や仲間はずれに気づいたり
そんなのが嫌で
気づかないでいいことまで
気づいて
見て見ぬ振りができなくて
傷ついて
毎日
ニュースが知らせる恐ろしい事件
増えていく犠牲者の人数
遺族の気持ち
それらを見る時
心がざわつくのが耐えられなくなってる
死にたいと思うのは
消えたいと思うのは
もう限界だと叫ぶのは
彼女のせいではない
この世界のせいなんだ
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