「好きな音楽を誰とも共有できない悩み」 #洋楽好きnoteユーザーあつまれの会
数日前まで、noteではハッシュタグ企画「#いまから推しのアーティスト語らせて」が開催されて大変盛り上がっていた。
面白い企画だなぁと思った一方、私は即座に投稿することを諦めてしまった。それはなぜか。
カーペンターズ。
キャロルキング。
彼らは私の敬愛してやまないミュージシャンだけど、そんな彼らについて語ったところでどうせ誰も読まないだろうな、そう思ったからだ。
カーペンターズとキャロルキングの良さをわかってくれる人が一体どれぐらいいるんだろう。自分が本当に好きなもののことほど、わかってもらえないとつらい。特に好意が「数字」という形で可視化された世界では。
キャロルキングはともかく、カーペンターズはビッグネームだから、知らない人はいないだろう。音楽性の受け皿も広いし大衆性もあるから、嫌いな人も少ないはずだ。広い意味での「カーペンターズいいよね」なら話せるかもしれない。
でもそれは広い意味での「ビートルズいいよね」と同じで、私が求めている、狭い意味での「カーペンターズいいよね」には至らないだろう。それなら最初から何も語らない方が平穏なままに暮らせる。
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「洋楽」ってあまりに雑な言葉だから、本来のところは好きじゃない。だけど分類のために、便宜上、海外の、特に英語で作られた音楽全般をそう呼ぶとしよう。
インターネットには誰でもいる。膨大な知識量を持つ音楽好きなんて腐るほどいる。だけど不思議なことに日常生活では洋楽の話なんて誰ともできた試しがない。
洋楽を聴いているから凄いだろうとか、邦楽より洋楽の方が優れているとか、そんなふうには全然思っていない。日本には日本独自の音楽性が存在して、島国だからこそガラパゴス化して独特な発展をすることもたくさんある。
だから日本にだって好きな音楽はたくさんあるけど、もっといろんな音が聴きたくて、あれこれ掘っていったら洋楽にたどり着いた。ただそれだけだ。
邦楽と洋楽の間には言語という大きな壁があって、そこを乗り越えるのは一見大変に見えるかもしれないけど、飛び込んでみたら今までとはまったく違う音の世界がそこには広がっている。洋楽が好きなんじゃなくて本当は音楽が好きなんだけど、「マニアック」とか「サブカルだね笑」とかいちいち言われずに、好きな音楽の話がしたい。ほんとそれだけ。
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私たち洋楽好きは誰かと音楽の話を共有することを諦め始めているのかもしれない。
実際、私はもう人と音楽の話をすることを諦めてしまった。若い頃は未熟だったから、音楽性の合わない人とは友達になれないような気がして、あの人もこの人も音楽の趣味が違うからと、自ら壁を作っていた。
二十五歳ぐらいになると、音楽性で人を判断することがいかに馬鹿げているか気が付いて、人を音楽で判断しないようになった。音楽や共通の趣味がなくても人間は繋がりあえると信じるようになったからだ。それに、好きな音楽が同じだからといって性格が合うとも限らないことも学んだ。
この変化は自分にとってはいいことだったのだけど、好きな音楽について友達と語り合うとか、新しい音楽との出会いを誰かと共有するとか、そういうことは全て憧れとして自分の心の隅にしまって、音楽は一人で楽しむものだから、どうせ聞いている時の耳は自分だけのものなのだからと、何もかも諦めるようになった。
俯瞰。冷静。客観視。
だから羨ましかったんだ。「#今から推しのティスト語らせて」企画が盛り上がって、みんなで共通のミュージシャンの話をして、いいよねいいよねって「好き」の気持ちがいっぱいに溢れかえって。
あ-あ、私も1970年前後のアメリカで青春を送っていれば、なんの違和感もなく世間のみんなと一緒になって「カーペンターズいいよね」「キャロルキングいいよね」って、そう言い合えたのに。いいなあ。寂しいなあ。なんでここは1970年前後のアメリカじゃないんだろ。
タイムトラベルできたらいいのにな。
でもタイムトラベルって時間の移動はできても場所の移動はできないから、今のままじゃ1970年の関西に移動してしまうだけだ。まずは飛行機に乗らなきゃ。アメリカに行かなきゃ。
でもアメリカに行ったって今度は日本人ひとりぼっちできっと寂しいんだろうな。「味噌汁飲みたい」とかも言えないだろうし。共通の話題があるって幸せなことだ。
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だから私はたった一人でも諦めないことにしましま。洋楽好きあるあるとして、日常生活では音楽の話題を誰とも共有できないのに、ライブやフジロックに行くと「こんなに洋楽好きな人どこに隠れてたん?」ってなるのがあると思う。
きっとnoteの世界の中にも「洋楽」が好きな人たちは散らばっているはず。本当は音楽の話をしたくてうずうずしているはず。
そんな隠れた盟友たちを繋げるべくハッシュタグを作りました。
「#洋楽好きnoteユーザーあつまれの会」
ちょっとフェリシモの通販みたいな名前にしてみました。好きな音楽について語るとき、よかったら使ってください。そしてこのタグを経由して、思ってもみなかった繋がりが生まれたら嬉しいです。
音楽の喜びを分かち合うことをあきらめないで。
最後にカーペンターズとキャロルキングの大好きな曲を載せて終わります。日本語の対訳付きの動画を選んだので、興味があったら聞いてみてくださいね。読んでくださってありがとうございました。
You've got a Friend 🍁
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