精液とは?どんな成分が含まれる?どんなニオイがするの?【医師監修】
■精液ってどんなもの?
精液とは、セックスやオナニーなどによって男性の陰茎(ペニス)から放出される液体のこと。皆さんもご存知の通り、精液が放出される現象のことを「射精」と言います。
私たちが新しい命を生み出すには、精子と卵子が出会って受精し、子宮内に着床することが必要です。
射精は、男性の精子が女性の体内へ入り込むために必要な現象…つまり、妊娠を叶えるには射精が必要不可欠なのです。
そのため、射精によって飛び出す精液は、精子そのものであると考える方も少なくないでしょう。しかし、それは大きな誤りです。
そこで今回は、精液にはどのようなものが含まれ、どのようにして作られるのか詳しく解説します。
■精液の正体を知ろう!
上でも述べた通り、「精液=精子」ではありません。
もちろん、精液の中に精子は含まれています。ですが、その割合は1%に満たないとされています。
1回の射精で放出される精液の量は、およそ2~5ml。その成分の大半は、精嚢(せいのう)や前立腺で作られる「精しょう」と呼ばれる液体なのです。
では、精液にはどのような成分が含まれているのか詳しく見てみましょう。
・精子が含まれないこともある?
通常、精液の中には1~4億匹もの精子が含まれているとされています。しかし、精液中の精子は非常に小さく、私たちの目には見えないもの。
精液は、精巣で作られた精子が「精しょう」と混ざり合った後に放出されるのですが、必ずしも精子が混ざっているわけではありません。
皆さんは、無精子症や乏精子症という病気を聞いたことがありますか?
これらの病気は、精液中に精子が含まれない、または通常よりも少ない数しか含まれない病気のことです。
※画像:上記の無精子症や乏精子症のような画像入れる※
男性側の不妊の原因として非常に多いですが、検査をして初めてわかるもの。なぜなら、精液中の精子は目で見ることはできず、これらの病気の方も射精によって精液を放出することができるからです。つまり、自覚症状はないのです。
・精液は栄養素が豊富!
精液の主な成分はタンパク質です。しかし、精液は精子が無事に卵子までたどり着くためのサポート成分の豊富に含まれています。
というのも、精子は非常に小さな細胞ですが、鞭毛(べんもう)と呼ばれる尾っぽのような毛を巧みに動かすことによって泳ぐような運動を行っているから。
女性の膣内に放たれた精液中の精子は、子宮内に入り込み、卵子が待つ卵管へ到達します。その道のりは精子にとって長く険しいもの…。たくさんのエネルギーが必要なのです。
精子のエネルギー源として精液に多く含まれるのは、「果糖」と呼ばれる糖分の一種です。精巣で作られた精子が蓄えられる精嚢からは果糖を含む液体が分泌されて精しょうの一部となるため、精液中にも多くの果糖が含まれることになります。
また、そのほかにも精子が運動しやすい環境を整えるためのクエン酸、精液をサラサラにするための酵素などが含まれています。
■精液はどうやって作られるの?注意したいことは?
精液の大部分は「精しょう」と呼ばれる液体です。
精しょうは、精嚢や前立腺から分泌される液体ですが、精子がどのように精しょうと混ざり合って精液として放出されるのか、そのメカニズムや注意点も詳しく見てみましょう。
・勃起と精液の関係とは?
勃起とは、性的な刺激や興奮などによって陰茎が硬く大きくなる現象のことです。この現象は、陰茎の血管が拡がることで血流が増加するために生じるもの。
勃起が生じることで、女性の膣内に陰茎を挿入…つまりセックスができるようになります。
セックスによってさらに快感が高まると、精巣で作られた精子は「精管」と呼ばれる細い管を通って、その中で射精の瞬間を待つことに。
そして、射精の直前には、精管内に蓄えられていた精子は精嚢と前立腺で作られた液体と混ざり合い、ついには押し出されるように尿道を通って身体の外へ放出されます。
このように、勃起と精液には深い関係があり、勃起の行き着く先が精液の放出…射精なのです。しかし、射精の瞬間でなくても、精液が少しずつ放出されることも珍しくはありません。
いわゆる「外出し」でも妊娠の可能性は十分にあります。妊娠を望まないカップルは、確実に正しい避妊を行うようにしましょう。
・精液にまつわるNG行為とは?
精液には精子以外にも様々な成分が含まれていることがわかりましたね。元々は人の身体の中で作られたものであるため、特に害はないと思われています。
しかし、安全で快適なセックスライフを実現するには注意しなければならないことも…。
① 生理中もセックスしていいの?
普段はしっかりコンドームを使用している方も、生理中は妊娠しないから…と、避妊を怠るケースがあります。
しかし、医師の成田先生によれば生理中のセックスはおすすめできないのだとか。というのも、精液中には子宮収縮を促す「プロスタグランジン」などの成分が含まれているとのこと。
生理中はただでさえ子宮収縮による痛みがあるのに、精液の影響でさらに子宮が収縮すると痛みが増してしまう可能性もあるそう。
特に生理痛がひどい方は注意が必要ですね。
② 精液は口や目に入っても大丈夫?
精液の大部分はタンパク質です。身体へ悪影響を及ぼすような成分は含まれていませんので、口や目に入っても大きな問題となることはありません。
ですが、成田先生によれば淋病などの性感染症がある場合は要注意とのこと。精液に混ざった性感染症の病原体が目の中に入ってしまうと結膜炎などの病気を引き起こすこともあるそうです。
特定のパートナーのみとセックスする男性であれば性感染症にかかるリスクは少ないですが、精液が口や目に入った場合は念のためうがいをしたり、目を洗ったりするようにしましょう。
■精液は精子をサポートする成分がいっぱい!
精液=精子と思っている方も多いでしょう。しかし、今回ご説明した通り、精子は精液の1%を占める成分に過ぎません。
精液の大部分は精しょうと呼ばれる液体。精子の運動をサポートしたり、精子が生き残りやすい環境を整えたりする働きを担っています。
精液は妊娠を叶えるために必要なもの。逆に言えば、妊娠を望まない場合は正しい避妊をすることが大切です。
また、精液には注意しなければならない点もあります。
安全なセックスライフを楽しむためにも、精液について正しい知識を持ち、望まない妊娠や病気を予防していきましょう。
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・医師監修:成田亜希子先生
一般内科医として幅広い分野の診療を行っている。
保健所勤務経験もあり、感染症や母子保健などにも精通している。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会、日本健康教育学会所属。