知っているようで良く知らない「女性器」のすべて!医師が詳しく解説【医師監修】
■自分の身体なのに実はよく知らない「女性器」
子宮や卵巣、膣、クリトリス…女性器にはさまざまな器官が含まれています。
女性器のニオイや形、色など女性ならではの悩みを抱えている方も多いでしょう。大切な場所だとは分かっていても、ふだん隠している場所だけに、何となく人には相談できない…と一人で悩みを抱えている方もいるはずです。
そこで今回は、女性器の構造と働きについて詳しく解説します。
■「女性器」の基本的な仕組みについて知ろう!
女性器は女性にとって大切な身体の一部。目が届きにくいところだし、何となく恥ずかしい部分でもあるので、どのような構造や働きを積極的に知ろうとしたことがない方も多いでしょう。
しかし、大切な身体の一部がからこそ、構造や働きをしっかり知っておくのは大切なこと。
まずは、女性器にはどのような器官があり、それぞれどのような働きをしているのか見てみましょう。
・女性器は「内性器」と「外性器」に分かれる!
女性器は、女性の生殖器官のこと。生殖器官とは、命を育むのに必要な器官のことです。一方で、女性器はセックスが行われる場所でもあります。
そんな2つの役割を担う女性器にはさまざまな器官がありますが、大きく分けると「内性器」と「外性器」の2種類です。
・内性器とは?
内性器は、身体の内部にある女性器のこと。膣・子宮・卵巣・卵管が含まれます。みなさんもご存知の通り、膣はセックスの際に陰茎(ペニス)が挿入され、射精が行われる場所です。
そして卵巣は赤ちゃんのもととなる卵子が成熟する器官であり、卵管は排卵した卵子と精子が合体し、受精卵となって子宮まで移動する通路。子宮では赤ちゃんが育まれます。
・外性器とは?
外性器は、身体の外側から見える位置にある女性器のこと。膣の入り口である膣口のほか、クリトリス、小陰唇、大陰唇、尿道口などが含まれます。
小陰唇は、膣口を覆うように左右にあるヒダ状の器官です。通常は膣を守るように閉じた状態になっていますが、性的な快感や興奮を覚えると血行が良くなって膨張し、左右に開くようになります。
一方、大陰唇はさらにその外側に左右に存在する脂肪を中心としたヒダのことです。大陰唇は、男性の陰嚢(精巣を覆う皮膚)と同じ発生起原であるとされており、思春期を迎えると発達して丸みを帯びていきます。
そして、クリトリスは男性の陰茎と同じ発生起原であると言われており、刺激を受けると快感を得ることができます。
「勃起」は男性にしか起こらない現象と考えている方も多いと思いますが、女性のクリトリスも刺激を受けると血流が増して勃起することが知られています。
このように、女性器には主に妊娠や出産に関わる「内性器」とセックスに関わる「外性器」が含まれるのです。どちらも女性にとって非常に大切な器官であることが分かりましたね。
・セックスで「濡れる」ってどんな状態?
性的な快感や興奮を覚えると、女性の身体は膣に陰茎を迎え入れるための準備を始めます。膣の中はデリケートな粘膜で覆われているため、そのままの状態で陰茎を受け入れると粘膜にダメージが…。
そこで女性の身体は、膣や外性器を潤して滑らかな挿入を促すために粘液が分泌される仕組みが備わっているのです。
このような粘液の分泌を行うのは、クリトリスと小陰唇に囲まれた「膣前庭」にあるバルトリン腺やスキーン腺。これらの器官も女性器の一つです。
■女性器のニオイ、形、色には個人差があるの?
いくら同性とは言え、他人の女性器をじっくり見る機会はほとんどないですよね。だからこそ、自分の女性器に異常がないか悩んでしまうのです。
しかし、「正しい」女性器はありません。女性器のニオイ、形、色は人それぞれ。顔と同じく非常に個人差が大きな部位なのです。
そこで、皆さんが抱えやすい女性器の悩みについて成田医師から詳しく話を聞いてみました。
・女性器のニオイって…?
健康的な女性器はやや酸っぱいようなニオイがします。
女性の膣には子宮内に細菌などが入り込まないようにするために、悪い菌を退治する「善玉菌」がたくさんいるのが理由。
皆さんが耳にしたことがある乳酸菌もそのひとつ。これら善玉菌が活発に活動している女性器では、その影響で酸っぱいニオイがするようになるそうです。
しかし、女性器は蒸れやすく、汗・分泌液・排泄物のカスなどが溜まりやすい部分。
お風呂に入って時間が経つと嫌なニオイがするのは当然のことです。あまりニオイに敏感にならないようにしましょう。
ゴシゴシ洗いすぎることで善玉菌が流され、細菌性膣炎などの病気を引き起こすこともあるそうです。女性器はよく泡立てた石鹸でやさしく洗ってくださいね。
ただし、魚が腐ったようなニオイなど極端な悪臭がする場合は、膣の炎症や性感染症の可能性も考えられます。軽く考えずにできるだけ早めに病院で相談しましょう。
・女性器の形って…?
女性器に「正しい形」というものは存在しません。皆さんの女性器は一人ひとり異なる形をしています。セックスの回数が多いと小陰唇が伸びて大きくなる、クリトリスが大きくなる…などさまざまな噂がありますが、これらは全て迷信なんだとか。
クリトリス、小陰唇、大陰唇、膣口…どの器官も形は人それぞれです。皆さんが悩まされがちな小陰唇や大陰唇の左右差も個性のひとつ。「形」にこだわるのはやめましょう。
・女性器の色…黒いと遊んでいるの?
女性に多い悩みの一つが女性器の色。女性器の色も形と同じく個人差が非常に大きいものです。小陰唇は思春期を迎えると発達してピンク色になりますが、その色調は元々の肌の色の影響を受けやすくなっています。
また、皮膚や粘膜の摩擦はメラニン色素の産生を促して黒ずみを引き起こすため、セックス経験が豊富だと女性器が黒くなるとの迷信もあります。
セックスは男性器と女性器の「摩擦」ですが、生活の中で見ればごく一時のもの。たとえセックスの回数が多くても黒ずみの原因となるほどの摩擦が生じるわけではありません。「遊んでいる=女性器が黒ずんでいる」ではないのです。
■「女性器」のニオイ、形、色は人それぞれ
女性器にはさまざまな器官があり、妊娠・出産、セックスで大切な役割を果たすことが分かりましたね。
自分の女性器をしっかりと見る機会は少なく、ましてや女友達の女性器を見る機会なんてまずありません。だからこそ、女性器の悩みや不安は尽きないものです。
しかし、女性器のニオイ、形、色などは人によって大きく異なります。違うのは当たり前。
こだわりすぎないことも重要です。ニオイや黒ずみの元がどうしても気になる場合は、専用のソープで洗うことも対策の一つ。
女性器の印象が気になって、セックスに集中できない場合は、お手入れを取り入れるのもいいかもしれません。
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・医師監修:成田亜希子先生
一般内科医として幅広い分野の診療を行っている。
保健所勤務経験もあり、感染症や母子保健などにも精通している。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会、日本健康教育学会所属。