話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選

■「話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選」ルール
・2021年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
・集計対象は2021年中に公開されたものとします。


ということで、お久しぶりです羽海野渉です。
今年も様々なお仕事でアニメに携わらせていただきました。
……という感じで、数年ぶりに10選をやっていこうかと思います。これをやらないと数年後、「当時はどういう気持ちであのアニメを観ていたんだ?」というときに思い出せなくなるので、備忘録的な扱いでもあります。
そんな感じでよろしくお願いいたします。

『ワンダーエッグ・プライオリティ』第1話「子供の領分」
脚本:野島伸司/絵コンテ・演出:若林信/総作画監督・作画監督:高橋沙妃

まず一つ目は梅原翔太Pライン、『ワンダーエッグ・プライオリティ』。年明け早々、驚異的な作画と演出力に圧巻されました。
僕は世代的に野島伸司脚本にそんな親しいわけではないのですが、物語にも心動かされた1クールだったと記憶しています。過去作も観ねば。

『PUI PUI モルカー』第3話「ネコ救出大作戦」
脚本:見里朝希/絵コンテ:小野ハナ/アニメーター:高野真、見里朝希

とにかく冬クールのオタクたちに猛威を振るったのは『モルカー』でした。ぷいぷい。その中でも特に印象深いのはファミレスの駐車場で車に閉じ込められた猫を救うエピソード。
ただ観ていて楽しいというアニメの原点に触れられたような気がする作品でした。

『ホリミヤ』page.13「せめて、この大空を。」
脚本:吉岡たかを/絵コンテ・演出:石浜真史/総作画監督:飯塚晴子、清水祐実、緒方浩美、髙田晃/作画監督:清水陽一、清水裕輔、三浦龍、河合拓也、長谷川亨雄、後藤依子、伊藤香織、加藤明日美、小笠原憂、児玉亮

少しお仕事の話になりますが、大好きな石浜真史さんの画集をやることになり作業をしていた最中、唐突にもたらされた『ホリミヤ』アニメ化の報。編集さんと二人で「入れるよね?」「入れるってなったら刊行は放送終了後だよね?」となり、6月刊行となった思い出があります。それはともかく。
そんなこんなでコンテをいただき、比較しながら観ていたのが第13話の想い出(特殊だ)。1クールで原作ラストまでという構成に驚きつつ、シックでベターな青春ラブコメを巧みに描いた石浜さんの手腕が素晴らしかったです。

『ゴジラS.P シンギュラポイント』第10話「りきがくのげんり」
脚本:円城塔/絵コンテ:堀元宣、高橋敦史/演出:守田芸成、鈴木拓磨、高橋敦史/総作画監督:石野聡/作画監督:堀川耕一、中山知世、小島えり

春クールは特撮原作アニメが素晴らしかったの一言です。『ゴジラS.P』は円城塔脚本とボンズオリジナルアニメの威力が炸裂した一作。とにかく終盤戦のアクションとSFギミックがわけわからんとなりつつも楽しく、とにかく観ていたいと思いました。

『SSSS.DYNAZENON』第12話「託されたものって、なに?」
脚本:長谷川圭一/絵コンテ:雨宮哲/演出:下平佑一/総作画監督:坂本勝/作画監督:西原恵利香、佐倉みなみ/メカ作画監督:牟田口裕基

そして『SSSS.DYNAZENON』。こちらも『宇宙船別冊 SSSS.DYNAZENON』の作業と前後して観た記憶があります。
——といっても自分はよもゆめの関係性のオタクをしていたので、とにかく最終版、蓬くんに気付いたのに迎えに来てもらいたいから座りなおす夢芽の描写に「この……! この……!」となっていました。気持ち悪いオタクだ。
とにかく『SSSS』シリーズは関係性のオタクになれる傑作でたまりません。映画も期待しています。

『小林さんちのメイドラゴンS』第1話「新たなるドラゴン、イルル!(またよろしくお願いします)」
脚本:山田由香/絵コンテ:武本康弘、石原立也/演出:石原立也/総作画監督:丸木宣明/作画監督:岡村公平

涙しながら観ました。というのも、観ながら「ここ、武本さんコンテじゃない?」という部分が分かったからで、エンディングクレジットで「やっぱりな~」と感じていたりしたからです。京アニで一番追っていた演出家は武本康弘。なんだかんだそうでした。
そんなこんなで『メイドラゴンS』、個人的におっぱいでかすぎるキャラは苦手なのですが(そこは主題ではないし、どうやら中国向け配信ではおっぱいがナーフされているとか?)、あの第一期からスケールダウンすることなくスタートした第1話がとにかく好きです。

『探偵はもう、死んでいる。』第1話「お客様の中に、探偵の方はいらっしゃいませんか?」「開幕、青春ラブコメ編」
脚本:赤尾でこ/絵コンテ:栗原学、寺岡臨/演出:福元しんいち、槙麻里奈/総作画監督:伊藤陽祐/作画監督:亀山千夏、増井良紀、能海知佳、宇井川真明

一時間スペシャルなので2本で1話という換算だろう。そうだろう。どうですか機長さん。
『たんもし』もお仕事案件ではあるのですが、驚いたのはシエスタが飛行機内でアクションをするあのカット。原作小説も既読なのでどうなるのかなと思っていたら、銃を取り出すまでにあんなカロリー使う!? と叫んでしまうほどでした。いやはや、面白かった。
そこから後半パートは打って変わって学園ラブコメ風の文化祭編。『たんもし』らしさがとても味わえた一時間でした。

『月とライカと吸血姫』第4話「湖の誓い」
脚本:横山彰利/絵コンテ:所俊克/演出:北川正人/総作画監督:加藤裕美、反町司、渕脇泰賀、内田利明、橋口翔太郎/作画監督:清水博幸、池田竜也、斎藤大輔、本田創一、小笠原憂、藤田正幸、菊池一真

またお仕事か(でもすごい作画があったんだもん……)。
『ライカ』第4話の湖面スケートシーン。劇中歌とリンクしながらイリナが滑るシーンが大好物でたまりません。横山監督をはじめとしたクレジットを観た際、「これは作画回ないし演出回が確実にあるな……!」と考えていたのですが、そのハードルを容易に上回ってきた。いや、素晴らしかったです。

『180秒で君の耳を幸せにできるか?』第5話「3分間で赤ちゃん綿棒」
脚本:逢縁奇演/絵コンテ・演出:葛西良信/総作画監督:野口孝行/作画監督:柴田篤史、BigOwl

ここ数年激ハマリしているASMRというジャンルがございます。そのあたりの説明はこちらの記事をご覧いただくとして、ASMRが好きとか言ってたらASMRアニメが出てきた。そりゃ、アニメライターですもの観ないわけにはいかない!と意気込んでいたらこの第5話ですよ。なんだ母性の捌け口って!
シチュエーションとしてはサブタイトル通り3分間赤ちゃん口調で綿棒やるぞって感じなんですが、とにかく母性と問題発言が楽しいバブみの3分間。もう一人産もうかなとかこの作品以外で聞くことはないでしょう。
ちなみに自分はすでにこの回を二桁回聞いています。……異常では?

『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』第17話「再会」
脚本:中本宗応/絵コンテ:長井龍雪/演出:髙嶋宏之/総作画監督:齊藤佳子/作画監督:尾西真成人、髙嶋宏之、塚本歩、野田猛、萩尾圭太、吉野彰敏

唐突に異世界転生だ!
なろう系に親しい人なら確実に名前は知っている『無職転生』ですが、いかんせん巻数が多い。そこでアニメ版ですよ、と言っていたら超絶技巧作画アニメと化していました。これが毎週のように楽しめるのはすごい。
その中でも長井コンテ回、親子喧嘩エピソードが秀逸でした。二人のすれ違い、感情の発露……このエピソードだけでも観ていただきたいレベルでお気に入りの24分だったと思います。


ということで10本でした。
本当は『平家物語』も入れようか迷ったんですが、本放送は来年なので来年取り上げることとしましょう。
今年も皆さま、ありがとうございました。

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