
マリノスは敵地で先勝なるか。ACLE準々決勝進出をかけて2週間ぶりに上海海港と再戦へ…植中朝日は燃える「アウェイもホームも圧倒して勝つ」【無料記事】
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※トップ写真は横浜F・マリノス提供。
マリノスは2週間ぶりに上海海港と対戦へ
横浜F・マリノスは3月4日、AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)ラウンド16の第1戦で上海海港と対戦する。
リーグステージ最終節の直前に山東泰山が大会からの撤退を表明した影響で順位表に大きな変動があり、敗退濃厚だった上海海港は大逆転で決勝トーナメント進出を果たした。マリノスは2月19日に行われたACLEリーグステージ最終節でも上海海港と対戦して2-0で勝利したばかり。前代未聞のイレギュラーがあったとはいえ、1つの大会で3試合続けて同じ相手と戦い、しかもその3試合が1ヶ月以内に組まれているというのは極めて珍しい。
3日にはラウンド16第1戦に向けた前日記者会見が行われ、マリノスを率いるスティーブ・ホーランド監督は「最近試合をしたからといって今回が簡単な試合になるわけではありません」と気を引き締めていた。

ただ、同時に「前回、ここで対戦した際もすごくいい印象を持っている」とも述べ、「同じようないいパフォーマンスをして勝ちたい」とアウェイでの先勝に向けて意気込んでいる。

今大会の決勝トーナメントはラウンド16のみがホーム&アウェイの2試合制となっている。マリノスはリーグステージを首位で突破したため、第2戦をホームで戦えるアドバンテージを手にした。アウェイでは可能な限り敗戦のリスクを避け、手堅く戦いながら少しでも有利な状況を作って日本に帰りたい。サウジアラビアでの集中開催となる準々決勝以降の戦いに進むためには、第2戦も含めた180分間を1試合として考えながら戦うことも重要になるだろう。
2023-24シーズンに戦った旧方式のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)でも、ラウンド16は苦しい戦いを強いられた。今回とは違ってリーグ戦開幕前に行われた第1戦は、アウェイのタイでバンコク・ユナイテッドと2-2のドロー。ホームに戻っての第2戦は90分間で勝負がつかず、延長後半のアディショナルタイムにアンデルソン・ロペスの劇的決勝弾が生まれて準々決勝に駒を進めたという経緯がある。
エウベル「自分たちのサッカーの感覚を取り戻したい」
こうした厳しい戦いを経験しているからこそ、第2戦までを意識したゲームマネジメントが重要になるとマリノスの選手たちは肝に銘じている。先述したバンコク・ユナイテッドとの第1戦でゴールを挙げていたエウベルは「最初はアウェイ、次がホームゲームになるので、大会のレギュレーションを理解したうえで戦うことも大事だと思います」と話し、次のように続けた。

「もし第1戦で望んでない結果が出ても、全てが終わりではないということを頭に入れて戦うことが大事です。もちろん勝つために戦いますし、少しでも自分たちのサッカーの感覚を取り戻したい」
上海海港との2連戦は準々決勝への勝ち上がりを目指すと同時に、マリノスらしい強さを取り戻すきっかけをつかむための重要な機会にもなる。相手の監督は2021年夏から2023年までマリノスを率いたケヴィン・マスカットだ。2022年にはマリノスをリーグ優勝に導いたかつての指揮官が作った攻撃的なチームに真っ向勝負を挑むことで、今のチームに何が足りないのかを知ることもできるだろう。
エウベルはマスカット監督に対して「このチームに歴史を残した監督ですし、そういった人とは何回会ってもすごく嬉しい。僕だけでなくチームのみんなが彼に対して深い敬意を抱いていますし、感謝してもいます」とリスペクトを示しながら、「いい結果を持ち帰ってきたい」と復調への強い意志を口にする。
「マリノスがいつもやっているように、相手がどうであれ自分たちらしいサッカーを見せて支配するような展開を見せることで、いい結果が待っているのではないかと思います」

植中朝日「アウェイもホームも圧勝を」
ホーランド監督とともに記者会見に出席した植中朝日も「リーグ戦とはまた違った戦い方になると思っていますけど、自分たちがやらないといけないサッカーは変わらない。いつも通りの自分たちのサッカーを出すことができれば、相手関係なく試合に勝利することができると思っているので、冷静に自分たちのプレーを表現できれば」と闘志を燃やしていた。

リーグステージ最終節の上海海港戦では、64分に貴重な先制点を挙げた植中。恩師でもあるマスカット監督の前で成長した姿を披露し、直近のリーグ戦でもゴールを奪うなど好調を維持している。また、今季はすでに消化した公式戦6試合のうち5試合で先発起用され、ホーランド監督からの信頼をがっちりとつかんだ。
「前回大会(23-24シーズンのACL)が悔しい結果で終わっているので、これから始まる決勝トーナメントに向けて、その借りを返すために自分のモチベーションは本当に高いです。前回の上海海港戦でゴールを決めているので、自信を持って明日の試合に臨めると思っています。アウェイもホームもしっかり圧倒して勝って、次のラウンドに進みたいと思っています」

中2日の連戦が続いていても「全然大変じゃないですね。(試合に)出られていることが本当に幸せなので。自分たちが今まで頑張ってきたから、こうやってACLで決勝トーナメントに進めて試合ができる」とモチベーションをエネルギーに変えて走り切る覚悟だ。植中は今季のリーグ戦初ゴールを決めた3月1日の湘南ベルマーレ戦後に、自身の現状についてこんなことも言っていた。

「試合に出られているのはサッカー選手として一番幸せなことです。今日はサブやベンチ外だったとしても、本当にいい選手ばかりなので、試合に出た時にどれだけ結果を残せるか? と、自分で自分にプレッシャーをかけてやっています」
昨季までは複数のポジションをこなしながら、いずれの役割でも絶対的な存在になりきれなかった植中。今季はロペスの相方として多くの出場時間を得ており、マリノス在籍3年目にしてようやく定位置をつかみつつある。それでも調子を落としたり、中途半端なプレーをしたり、結果を出せなかったりすれば、すぐに他の選手に入れ替わられてしまう。常にそういった危機感を持っているからこそ、トリコロールの背番号14は必死に愚直にゴールを追い求める。

なお、上海海港は今季初戦となった中国スーパーカップから3試合連続で勝利から遠ざかっていたものの、国内リーグでは開幕から2連勝を飾った。直近2試合は5得点1失点と攻撃の迫力を取り戻しており、レオナルドやグスダボといった前線の主軸にもゴールが生まれている。2月の対戦時よりも強力なチームになっていると見ていいだろう。
準々決勝進出に向けて弾みをつけるために重要な上海海港との第1戦は3月4日の21時(現地時間20時)キックオフ予定。日本からは約300人のマリノスサポーターが現地に駆けつける見込みとなっている。試合の模様はDAZNで独占ライブ配信されるため、中国へ飛べない場合は画面を通してピッチ上の選手たちに力を送り、勝利を後押ししてもらいたい。