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ハッチンソン監督がセントラルコーストに凱旋「夢にまで見た対戦。楽しみで仕方ない」。マリノスは勝てばACLエリート決勝T進出に大きく前進【無料記事】

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年内最後のACLエリートは敵地でのセントラルコースト戦

 横浜F・マリノスは12月3日に行われるAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)リーグステージ第6節でオーストラリアのセントラルコースト・マリナーズと対戦する。

 J1リーグ第37節の湘南ベルマーレ戦を終え、チームは中2日でのセントラルコースト戦に向けて12月1日に現地入り。前日である12月2日には試合に向けた公式記者会見が行われた。

(写真提供:横浜F・マリノス)

 選手を代表して会見に出席した山根陸は「初戦はかなり悔しい試合になってしまいましたけど、そこから自分たちがここまで積み上げてきたもの、ACLだけじゃなくて、日々の活動、練習を通して大事にしてきたものがある。そういったものをしっかり目の前の試合にぶつけるだけかなと思います」と意気込みを語った。

(写真提供:横浜F・マリノス)

 リーグステージ5試合を終えて3勝1分1敗のマリノスは、勝ち点10で東地区12クラブ中3位につけている。もしACLEでは年内最後の試合となるセントラルコースト戦で勝ち点3を積み重ねることができれば、決勝トーナメント進出に大きく前進できる。

 来年2月にリーグステージが再開される時には選手が入れ替わった状態、あるいは監督も代わっているかもしれない。だからこそ、年を跨いで開催される2試合の前にできるだけ有利な状況を作っておきたい。

(写真提供:横浜F・マリノス)

 しかし、山根は先を見据えるのではなく「後先を考えず、しっかり目の前の試合に最高のパフォーマンスを出せるようにやっていきたい」と、これまでと変わらない一戦必勝の姿勢でセントラルコースト戦に臨むつもりだ。

 2023-24シーズンのオーストラリア・Aリーグでレギュラーシーズンとグランドファイナルを制し、AFCカップも優勝と三冠を達成したセントラルコーストは決して侮れない相手だ。2024-25シーズンはACLEで1分4敗と未勝利が続き、Aリーグでも5節終了時点でわずか1勝と苦しんでいるが、前年度リーグ王者だけに確かな地力がある。

 山根もスカウティングを通して「前線にはクオリティの高い選手がたくさんいる」と感じている。しかも、セントラルコーストは直近の週末にリーグ戦が組まれておらず、11月26日に行われたACLEリーグステージ第5節のヴィッセル神戸戦(●2-3)から中6日と、日程面でマリノスよりも有利な状況だ。

(写真提供:横浜F・マリノス)

「神戸戦を見ても個々の破壊力やフィジカルベースはすごく高いなと思うので、まずしっかり個のところで負けないのが大事。自分たちがしっかりアグレシッブにハードワークし続けることで、僕らの勢いは加速すると思うし、より僕らがボールを持つ時間が長くなればなるほど、そういう相手の良さも消せるんじゃないかと思います」

 21歳の若きトリコロール戦士は「このクラブで戦う以上はそういったものはピッチに立てば関係ない。自分としてはこういうスケジュールや移動も含めてACLだと思うので、そういった部分もチームとして楽しんでいければ」と日程の厳しさを言い訳にせず相手を上回っていくつもりでいる。フィジカル能力の優れる相手に対して積極的に主導権を握る戦いを披露するには、山根の攻守にわたる献身性や機転が必要になるだろう。

ハッチンソン監督は「夢にまで見た」古巣との対戦へ

 一方、ジョン・ハッチンソン監督にとってセントラルコースト戦は特別な試合だ。ACLEリーグステージの組み合わせが決まった瞬間から、この試合を心待ちにしていたに違いない。

 現役時代のハッチンソン監督が最も多くの試合に出場したのが、セントラルコーストだった。2005年のAリーグ創設とともにクラブが始動し、同時にハッチンソン監督もプロサッカー選手としてのキャリアを歩み始めた。

 その後2011年夏まで在籍し、中国での短期間のプレーを経て同年11月に復帰。2015年夏の現役引退までクラブ史上最多の公式戦271試合に出場し、セントラルコーストの中心選手であり続けた。いわば正真正銘のクラブレジェンドであり、今も自宅はセントラルコーストにある(FC東京のピーラー・クラモフスキー監督とはご近所さんだ)。

 記者会見で地元への凱旋にあたっての思いを尋ねられたハッチンソン監督は「ここには素晴らしい思い出しかありません」と語り、次のように続けた。

(写真提供:横浜F・マリノス)

「セントラルコーストではいい時も悪い時も、みんなで戦ってきました。(選手・コーチとして)12年間在籍した、本当に特別なクラブです。明日に向けていい準備ができていますし、いい試合になることが自分には見えています。夢にまで見た、自分が育ったクラブとの対戦ということで、こうして戻ってこられたことを嬉しく思います。とにかく明日が楽しみで仕方ないです」

 12月2日の朝にはセントラルコーストの初代監督だったローリー・マッキナ氏とも再会し、コーヒーを飲みながら思い出を語り合ったという。ただ、愛着のある街に戻り「世界最高のスタジアムの1つ」というセントラルコースト・スタジアムで戦う試合に向けて感傷に浸っているだけではない。今はマリノスの指揮官として、「最高の仲間たちがいるチーム」を勝利に導くことだけを考えている。

(写真提供:横浜F・マリノス)

「セントラルコーストは数々の素晴らしい成果を残しました。直近ではオーストラリアのクラブとして初めて三冠を達成し、マーク・ジャクソン監督やマット・サイモンSD(ハッチンソン監督と現役時代に同僚だった)が本当に素晴らしい結果を残しています。たくさんの若い選手たちもおり、面白いサッカーをしますし、素晴らしい選手たちが揃っているように見えます。

前回の神戸戦も見ました。神戸はご存知のようにJリーグの前年チャンピオンです。彼らともすごくタフな試合を繰り広げていたと思います。ただのゲームではなく、大きなゲームであると選手たちにも伝えています。とにかく明日勝つことでACLEの(リーグステージ)突破に大きく前進するとも思っているので、しっかり勝ちにこだわってやっていきたいと思います」

(写真提供:横浜F・マリノス)

 クラブ関係者によれば、ACLEでは年内最後の試合となるセントラルコースト戦には約200人ものマリノスのファン・サポーターが現地参戦予定とのこと。日本から選手たちにパワーを送るには、DAZNでの独占ライブ配信を活用したい。勝てばリーグステージ突破に大きく近づける一戦は12月3日の日本時間17時(現地時間19時)キックオフ予定だ。

(記者会見音声データ提供:横浜F・マリノス)

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