判決は終わりじゃない。これからどう変わる/変えるのか。
本日10/24の判決で東京地裁は、長年にわたって性加害行為があったことを認め、(社福)グロー前理事長 北岡賢剛氏に220万円、グローに440万円の賠償を命じました。判決内容は各種記事に任せるとし…… ↓
▪️元職員への性加害認定 社会福祉法人グロー元理事長らに賠償命令(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20241024/k00/00m/040/249000c
▪️グロー損賠訴訟 前元理事長らに660万円の支払い命じる 元職員に性暴力やセクハラ(産経新聞)
https://www.sankei.com/article/20241024-WV42W5BSB5KWNKTH2K4RDN7DNM/
▪️社会福祉法人・前理事長のセクハラ認定、計660万円の賠償命じる 元職員の原告女性「安堵して涙」「謝ってほしい」 東京地裁(弁護士ドットコムニュース)
https://www.bengo4.com/c_18/n_18060/
▪️「継続的な性加害」、社福法人前理事長らに賠償命令 東京地裁判決(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASSBS3HC2SBSUTIL02WM.html
▪️障害者アート分野で著名、前法人理事長に損害賠償命じる 元職員から「性暴力やセクハラ受けた」(京都新聞)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0fb15a8648023c04017fe85aa4454189bdc2c7e6?source=sns&dv=pc&mid=other&date=20241024&ctg=loc&bt=tw_up
僕はこのあと周囲(近しい関係団体や個人はもちろん広く「社会」)がどういったリアクションを表すかがとても大事だと思っています。グローは10月28日(月)15時に声明を発表する模様。
ちゃんと「謝罪」をするのか皆さんにぜひチェックしてほしいんです。だって、大事なのは、これからこの判決を得て狭い意味の加害当事者はもちろんのこと、この性暴力が生まれる「構造」に関わってきた人たちが実際に変わっていって、そして社会も変わっていくことだから。以下、記者会見で原告弁護士の角田由紀子さんが言っていたことの僕なりの要約(あくまで要約であって角田先生の一語一句ではない)です。
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男性がつくってきたこの国の法律のなかで、そして正義を貫き通す“強い”意志を持った人たちが司法を司るなかで、何年も被害を言い出せなかった“弱い”立場に置かれた人たちの実際の声に対する想像力を欠いて(強い立場ゆえに理解できない)、軽く捉えてしまう事態が続いてきてしまったこの日本社会において、その人が「不快に思った」かどうかのレベルを超えて、明確な「人格侵害」だと認識する視点をもっと育まないといけない。その認識の甘さが、極めて低い慰謝料の額の決定にまで反映されていると予想できるし、女性の人格権を侵害した被告に対する要求として、金銭的にはそれほど制裁にならない額を要求するにとどまっている。それは裁判官の(低い)認識の表れでもあるが、でも、その裁判官の認識も結局は「社会」の認識と通じていて、個々人一人ひとりで形成されるこの社会が(こういった判決をうけて)しっかりことの重大さを認識する力を身につけていかなければならない。
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原告の木村倫さん、鈴木朝子さんに対して、北岡氏の性的欲求を実現する行為を行ったことは大幅に認定され(不法行為から3年で損害賠償請求権がなくなる「消滅時効」が成立して認めれなかった賠償もあったが/それはそれで大いに議論の余地があるが……)、かつ、グローに対する安全配慮義務違反も認められました。よって、これを受けてグローはどう対応するのか、そしてグローだけでなくグローや北岡氏と「これとそれとは別」ということなのか継続して堅牢な関係を築いている滋賀県をはじめ、北岡氏と近しい関係にあり彼を慕ってきた(逆らえない)ゆえかだんまりを決め込んできた福祉関係者・文化関係者の方々も、もう一度考えてほしいんです。この裁判をずっと傍聴してきて、また原告とも被告とも近しい立場の一人として言語化(https://co-coco.jp/series/memorandum/09sobaniiru/)もしてきたけど、角田先生の言うように、もう本当に変えていかないといけないと思う。
原告のお二人はもちろんのこと、そして多くの証言台にたった元職員ももちろんのことだけど、現在どうすることもできずにしんどい思いを持っているが影に隠れてしまっている存在として、グローに勤めている現役職員の人たちの立場も考えなければならない。希望を持ってこの職場に入ったのに、この事件に関しての違和感ひとつ口に出せず、ただ淡々と仕事をしなければならない事態は想像するだけでも苦しい。だから、責任のある幹部がまずはしっかりこの判決を受け止めて、原告に心から、謝罪してほしい。形式なんてどうだっていいので、ちゃんと謝罪をしてほしい。逃げないでほしい。僕も関わってきたし、大切な仲間ともたくさん出会えた法人なので、「係争中なので発言を差し控えます」はもう終わって、控訴などせずちゃんと誠意を持って対応し、そして実効性のある安全配慮義務を果たすガバメントの効いた職場体制を一から築き直してほしい。どうかお願いします。
みなさんもどうぞこれからの「変化」(残酷なことに変化しないかもしれない可能性も含めて)を丁寧に見届け、その変化に参画していきましょう。