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『源氏が勝つとは限らない』元号転生バトルロイヤル

巴は大人しい性分であった。

数えで七となる。

遊びたい盛りではある年ごろであるも、木陰でぽつんと一人で座ってることが多かった。

そんな巴がある日を境に様子が違ってきた。

傍でひっそりとしている時もあるが、みんなと遊ぶことも増え、時には男の子たちと一緒になって泥だらけになるまでざれあう時もあった。

「巴、なんか変わったよね」

仲間も大人たちもみな口を揃えたように言う。

どう変わったかをほうぼうから聞くも、時折覚えてない事が混じっている。

またか...

そんな時は何があったかを巴は後で確認していた。

巴の中にいる『お琴ちゃん』に。

お琴ちゃんは幾か月か前に巴の心の中に現れた。

お琴ちゃんは遠い未来から来たそうだ。

巴は初めの頃は自分がおかしくなったのか、モノノ怪に取りつかれてしまったのか、おびえていた。

でもお琴ちゃんと話を交わしている中、自然と不安は解かれ、巴はお琴ちゃんを受け入れた。

お琴ちゃんとは意識を半々で分け合ってる時もあるし、稀だけど完全のお琴ちゃんに預けてしまっている時もある。

完全にお琴ちゃんの時はいつも男の子たちを目一杯遊んでいる。

普段お琴ちゃんは窮屈さを感じていてその反動らしい。

巴はお琴ちゃんに未来の話を訊ねたことがある。

お琴ちゃんは「元禄」という何百年も先から来たらしい。

歳は教えてくれないけど、巴よりは断然年上という事は伝わっていた。

ある日、兄上が一人の男の子を巴に引き合わせた。

男の子は源氏一門の子で、源家の騒動により父親が亡くなったそうだ。

その子をしばらく我が家で預かるらしい。

名前は『駒王丸』だそうだ。

ちょっとやんちゃ目な駒王丸に巴はお琴ちゃんと気が合いそうと想った。

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