往復乗車券・連続乗車券の思い出②
前回の記事の続きです
●往復割引を知らない人も多い
もちろん知ってる人は券売機やえきねっとで購入してわざわざ窓口に来ないのも確かだが、窓口で売った感覚だと往復割引自体を知らない人が多い。
私のいた駅では長距離の乗車券を購入する際には
「片道ですか、往復ですか」
と聞くことになっていたが、往復割引で乗車券が1割引になりますと言うと
「えっ、そうなんですか」
という反応は多々あった。また、えきねっとで予約したものを窓口で発券することも度々あったが、そうすると乗客がどのように予約したかが分かる。まあまああったのは、東京〜広島のような往復割引が効く区間でありながら、わざわざ片道ずつ予約しているパターン。幸いにも当時のえきねっとは乗車券部分は発券前なら払い戻し手数料無料なので、窓口で往復割引に作り替えていた。
さらに、東京〜新大阪の往復のような、乗車券を西明石に伸ばせば往復割引で安くなる場合に関しては乗車券を伸ばしてえきねっとで予約してくる人はほぼいなかった。
これも乗車券を窓口で西明石往復に作り直せるが、距離を伸ばせば安くなりますと説明する時間がかかる。さらに会計が2回に分かれてしまうので、忙しい時には乗客の予約の内容のまま発券していた。
これらの経験から察するに、往復割引を知らない人は多数おり、場合によっては往復割引を知らないまま601km以上の往復を片道で予約し続けて毎回損している人も一定数いるだろう。
●往復乗車券は精算も一手間
ここまでは切符の販売時の話題だったが、改札での思い出も色々ある。
まず一番に不便だったと思うのは往復乗車券の往路を持ってこられた場合の精算だろう。往路の券に関しては金額欄が「¥***」になっているので、元々何円だったか分からないためだ。もちろん、原券が101km以上で大都市近郊区間相互発着でなければ打ち切り精算になるので、券面の着駅からの運賃を請求すれば良い。
しかし、100km以内の区間で往復で購入して往路でいきなり区間外に乗り越して精算ということもよくある。そうすると、発駅計算になるので元の切符の金額はいくらだったか調べて、そこから差額を調べて...。物凄い時間がかかるわけではないものの、往路券にも金額書いといてくれよと、よく思った。
●新幹線と在来線は別だと思われている
そもそも、往復で買って往路で精算って誰がそんなことするのか。
よくあるのは、小田原〜東京を新幹線で来て、赤羽まで在来線で乗り継いで精算するパターン。往復に限らず、片道の利用でもよくあるケースだ。
なぜわざわざ精算するかというと、新幹線と在来線は別会計で、乗車券を通算できると思っていない人が結構いることだ。
逆に、大阪市内〜東京都区内の切符で来て、赤羽で精算を申し出るパターンもある。東京都区内なので精算は不要だが、それが知られていないのでそうなってしまう。
よく新幹線の連絡改札で「切符が出てくるのでお取りください」と案内されているのを見るだろう。
これは、新幹線の連絡改札を出たら切符の役目は終了と思っている人がかなりいるためだ。本当に取らない人が多い。
また大阪市内〜東京都区内の例で、東京の連絡改札で切符を取らずに赤羽まで来て精算を申し出るパターンだと、
「大阪から来たんですけど、精算をお願いします」
「切符はどうされましたか?」
「東京で通しました」
「今持ってないんですね、そうしましたら東京から230円です」
「はい、Suicaでお願いします」
みたいなことが結構多い。切符は東京で通したら終わりだと思われているうえ、在来線は別会計だと思われているので、切符を取り忘れて「やらかした!」という感じでもないし、「東京都区内まで乗車券は有効だから精算は不要だろ!」みたいに揉める訳でもなく淡々と支払って出場していく。
嘘みたいだが本当にそんな場面がよくある。少々往復乗車券の話題とそれてしまったものの、「特定都区市内」の廃止や、「1列車ごとに1枚の切符」の制度に今後なるのではという声も多々あるが、このように既にセルフでその制度になっている人も結構いる。この話題はまた別の機会に。
●連続乗車券
最後に、そんなに話題になっていない連続乗車券。見かける機会は少なかったが、思い出すのは三河安城までの切符を売るとき。
こだま号で行けば乗り換えなしだが、それだと遅いので東京→名古屋→三河安城と、のぞみ号で名古屋まで行って戻るルートを売ることが多かった。そうすると出てくる乗車券は、「連続1:東京都区内〜名古屋市内」「連続2:南大高〜三河安城」だ。正直これを初めて見たときは「おおっ、そうきたか、なるほど」と思った。これは自分で一から手入力して作ったわけではなく、指定席券売機の乗換案内から購入のようなモードがマルスにもあり、それを使うと自動でこのような乗車券を作ってくれる。連続乗車券を見かけるのはこのような折り返して少し戻るルートを乗換案内機能で売るときくらいだろう。
連続乗車券になる条件を満たす切符でも、乗客から要望がない限り、乗換案内機能以外では連続乗車券で売ることはまずなかった。
●学割・ジパング
ただ、学割やジパング割引の場合は話が別だ。これらは年間の購入枚数に制限があるが、連続乗車券なら1回分のカウントで購入できる。
連続で買える行程を、片道2回分のカウントで購入しようとしている人には「これは連続でいけますよ」と声をかけることは時々あった。
また、連続乗車券のメリットとして有効日数を合算できることがある。なかなか活用する場面は少ないが、ジパングで長距離の片道乗車券を買おうとしているものの、途中下車するので有効期間が1日足らないという人を対応したことがある。
「これは裏技がありまして、連続乗車券にして1駅戻る切符を足すと有効期間が1日増えますよ!」
とご案内したら大変喜んでいただけた。
学割やジパングに関しても取扱が変更になる予定と案内があるが、これは往復や連続乗車券が廃止になると回数を2倍消費することになってしまうので、そうならないように往復や連続の行程であれば従来どおり回数1回でいけるようにするということではないかと予想する。
また、学割やジパングに似た切符として、レール&レンタカーも片道・往復・連続で201km以上の利用で割引となるので、連続乗車券が活躍できる場合がある。しかし、最近はレールレンタカーのレンタカー代がかなり値上がってるのでレールレンタカーごと廃止になってもおかしくない。記念に使っておくなら今のうちだろう。
かなり長くなってしまったが、往復乗車券や連続乗車券の思い出は上記の通り。往復の場合は片道を2枚発券することになるので係員の手間が増えるという意見があるが、私としては手間は間違いなく減るので廃止のほうが合理的と思う。
今後も複雑な運賃制度が分かりやすくなるよう改定は続いていくと思うので、次は何が廃止になるのか気になるところだ。