卒業15年後に高校の文化祭へ行く
2023年9月30日(土)
この日、母校である高校の文化祭へ行ってきました。母校がどこであるかは特に公表していないものの、サブチャン等で「横浜市内にある私立」「中学併設型の中高一貫」「元女子校」などのヒントをもとにすると、大口駅が最寄である横浜創英中学・高等学校であることは特定班の方々からすればご存じのはずです。
特に公表するほど知名度がある高校でもなかったため特に出身の高校名をおおっぴらにしてはいなかったのですが、ここ数年は風向きが変わってきたようです。
試しに学校名でGoogle検索するとこんな記事が出てきます。
そう、私が在学していた2006年~2008年の当校は、生徒の大半は公立に落ちて滑り止めで入学した生徒だったのに対し、現在は第一志望で入る生徒が半数ほどになったそうです。
さらに、2024年度入試より併願確約での募集を中止するとのこと。私は中高一貫で高校受験をしておらず詳しくないのですが、この併願確約というのは神奈川県の高校受験用語で、公立が第一志望だが、私立を滑り止めとして受けることができる制度のようです。
それが廃止となると、来年度以降はより第一志望で入学する比率が高まるのではないでしょうか。
なぜこんなことになったのか。上記の記事を読むと、2020年より赴任した工藤校長が改革を実施したとのこと。
この工藤校長とは何者かというと、以前は都内の麹町中学というところで校長を務め、「宿題廃止、定期テスト廃止、固定担任制廃止」といった当たり前を覆す改革で注目を集めた人物。
どうやら様々な記事を参照した結果、本校でも様々な改革を実施し、中学では担任を廃止、高校では修学旅行を生徒自身でプランを立てる方式にするなどの改革が行われている様子である。
また、学校の公式サイトでは分からなかったが、どうやら私が在学していた当時は髪を染めるのは禁止だったものの今は解禁、また、制服も着て来なくても良いということらしい。このあたりの校則は近所の法政女子高校(現・法政国際高校)も同様だ。難易度の低い高校でこれをやってしまうと無法地帯となってしまうが、ある程度のレベルの高校であれば秩序が保たれる。そういった判断だろう。
そういった改革が功を奏し、人気が上昇しているというのは良いことである。いま人気になったところで、15年前に私が受けた教育の内容は変わらないが、それでも嬉しいものだ。とはいっても、記事だけ見ていると超人気の難関校みたいな印象を持つかもしれないが、さすがにそんなことはない。少しずつ難易度は上昇しているものの、中学も高校も日吉の日大の方が全然難易度が高い。ただ、難易度が高いのが良いとも限らないのも承知している。生徒の学力は千差万別で、私の出身大学である駒澤大学も難関大学とはいえないが、日東駒専という大学群にくくられ、そこそこの学力の受験生から一定の人気があるだろう。横浜創英高校に関しても、そこそこの学力の生徒に選ばれる学校を目指しているのだろう。
ただ、進学実績を見てみると、私のいた2008年は早慶が学年に2名、国公立も数名、MARCHはクラスに2人、日東駒専もクラスに2人という状況だった。ネットでは散々馬鹿にされる日東駒専だが、偏差値50少々の高校の中でも進学すれば高校の中では上位2割くらいの世界である。ではどこへの進学が多いのかというと、神奈川県内の私立であれば東海大、関東学院大がかなり多かった(神奈川大は日東駒専クラスの難易度なので進学者は少ない)。
それが、最新の合格実績を見てみると、東海・関東学院も多いが、それ以上に日東駒専・MARCHが増えている。人気に付随して少しずつ進学実績も向上しているようだ。
これだけ聞くと良いこと尽くめのように思えるが、高校を卒業して15年が経ち、社会人を経験してしまうとその裏も考えてしまう。
その裏とは何かというと、横浜創英は私立高校なので教員の学校を越えての異動は原則発生しない。15年前と今とで、教員スタッフはもちろん入退社での入れ替わりはあるものの、基本的には同じメンバーだ。
そんな中で、校長はプロパーの叩き上げではなく、東京都の公立の校長が定年退職してやってきて、担任廃止だ改革だ?しかも副校長も神奈川県立高校からやってきて工藤校長の肩を持っている。
もちろんこの人事は運営母体である堀井学園が決めたことであり、工藤校長が急に学校を乗っ取りに来たわけではないとは思うが、ずっと今までと変わらず従事していた教員としたら大変やりづらいのではないだろうか。元々、この高校は校長は外部を定年退職した人が天下ってくるのが慣例だったため、それに関する反発は少ないと思うが、ここまで過激派の校長はいなかっただろうから「何をしてくれるんだ」という思いも大きいのではないか。
前置きが長くなりましたが、その謎を教員から直接聞きだすために我々(私と同級生の宇都宮ライトレール運転士)は文化祭へ向かった。
ちなみに卒業後の高校の文化祭なんてものは卒業した翌年に後輩は元気かな~みたいなノリで行くくらいで、2年も経てば母校の文化祭の日程なんて気にしないのが一般的に思えるが、我々は特殊で、母校愛なのか何なのか分からないものの、浪人~大学4年の2009年~2013年は毎年訪問。2014年は仕事で行けず。2015年~2016年も訪問。それ以降はやはり仕事の都合と、さすがに高校の文化祭に行く年齢じゃないかという思いもあり訪問せず。また、2020年~2022年に関しては昨今の情勢により文化祭を外部の人が訪問することもできなくなっており、行きたくても行けない状況だった。
なので、今年2023年の文化祭が工藤校長政権で実質初の文化祭ということになる。
流石に卒業後に一度も文化祭に行っていない状況で15年ぶりに訪問するとなると先生側も「お前誰だっけ?」になることが濃厚と思われるが、我々は卒業後も8年かけて大学卒業どころか就職からの転職した姿まで先生方に見せ続けてきたので、そこは大丈夫だろうという判断である。
いざ高校の門へ。まず、信じられないくらい文化祭に活気がある。従来の本校の文化祭は、もはや生徒の内輪ノリみたいな要素が大きく、自分の学校以外の制服で歩く人の姿を見かけることはあまりなかった。それが、恐らく受験を検討している中学生だろうか、様々な制服の生徒が歩いていて、それだけでも大きく姿が変わっていることを感じた。
少し展示を見て回る。ここ数年は鉄道や交通関係に囲まれた世界で暮らしているため、鉄道ファンという姿が世の中に存在することは当たり前に思えるかもしれないが、私が在学していた当時の本校はそうではなかった。鉄道ファンは知っている限り、学年に私だけ。隠れファンはいるかもしれないが、他人に知られている状況のような人は自分だけだった。そんな境遇だが今はどうか。
どうやら今も変わらないようだったが、フォトアート部(写真部)で1人だけひっそりと鉄道写真を展示している人と、造形アート部(美術部)で鉄道模型を1人でひっそりと走らせている人がいた。造形アート部の生徒に話を聞いてみたが、やはり鉄道ファンだというのが公になっているのはこの2名だけのようで、私も卒業生なのでこの境遇での活動を応援していますとエールを送った。鉄道ファンというと、言動に問題がある人が一定数いるということは何となく想像がつくだろう。私が話しかけた生徒の彼は中学生だったが、中学生と思えないくらい知的な話しぶりで、まるで大人と会話しているような感覚だった。こういった素晴らしい生徒がいるのも改革の成果だろうか。
そして肝心の教員の話である。さすがに7年ぶりの訪問なうえに、この年齢で文化祭に来る卒業生はほぼいないため、先生方には驚いた顔をされまくった。ただ、我々は中学の1期生、しかも私は中学の初回の入学式の新入生代表ということもあり、先生方の印象には残っているようで、「誰だっけ?」とはならずにすんだ。中3の1年だけ習った美術の先生も覚えててくださる教員の記憶力は凄すぎる。そういった流れで何人かの知っている教員に話を聞くことができた。
しかしやはりなんとなく予想した通りで、「知ってるか?工藤校長がすごいんだよ!!」みたいな話を教員からされることは全くなく、工藤校長について聞いてみても適当にはぐらかされてしまう。聞いたタイミングや相手の問題もあると思うが、教員に関しては結構な負担がある中で何とかやってるという現状なのではと少々不安になる。
これを書いていて思い出したが、私の父が勤める会社も、一時期は倒産寸前だったが、外部からやり手の社長・副社長がやって来て、経営を再建して去っていった。これがなかったら恐らく倒産していただろう。そう考えると、外部から改革しに来ることは悪ではない。
大事なのは、工藤校長が退任した後や、現場で働く教員がのびのびと働ける環境であるかどうかに思える。
また来年も文化祭を訪問して今後の母校の活躍を見ていきたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?