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カシオペアに乗車

2025年1月25日(土)
寝台特急カシオペア、これは上野~札幌を結んでいた寝台特急だが、2016年の北海道新幹線開業に伴い廃止された。
北海道と本州を結ぶ寝台特急では他に「北斗星」「トワイライトエクスプレス」があり、これらは何とか廃止になる前に乗車することができた。
カシオペアに関しては、全車A寝台で高額なこと、また全室2名個室であり、1人では乗れない(乗れるが2名分の料金が必要)ということもあり、気軽に乗れるような列車ではなかった。一度乗りたいと思っていたものの、結局乗らないまま廃止となってしまった。
ただ、車両自体は新しいので、完全に廃止になった北斗星・トワイライトとは違い、その後も団体専用列車「カシオペア紀行」として運行が継続された。
しかし、気になるのはそのお値段。従来は1名あたり3万5千円で上野~札幌を移動できたのが、「紀行」では1名あたり7万円。倍額である。さすがにLCCで1万円かけずに北海道に行ける時代に、そこまでお金を払うものか、と思い結局乗らずじまいだった。
さらに、その設定があったのも最初の1年間だけで、2017年以降は「四季島」がクルーズトレインの役割を担い、カシオペア紀行は北海道まで行かなくなってしまった。
その後数年間は上野~青森でカシオペア紀行が設定されたが、近年は青森にすら行かず、遠くても長野や仙台という状況で、直近で設定されている仙台行きは2名利用で1名あたり約6万円と、やはり元の値段を知っているとありえないくらいの高額で、さすがにそんなにお金を出すのもな、という状況だ。

そんな中、画期的な新商品が登場した。JRE MALLにて販売されている、「小山→上野 カシオペア号乗車体験」というもので、1年前の2024年2月から販売されていたようだ。全然その存在に気付いていなかったものの、先日、千葉でのマルス体験を申し込んだ際にJRE MALLでたまたまこの商品も発見した。
驚くのはその料金で、カシオペアツインなら2名で3万円、1名あたり1万5千円で乗車可能だ。これは、前述の仙台行きの紀行より大幅に安く、元々のカシオペアの寝台料金が2名で27460円だったことを考えると、妥当な料金だ。
そしてなぜ小山→上野という区間かというと、前日にカシオペア紀行が仙台行きとして運転され、尾久の車両基地に回送で返すところを乗客を乗せるというものだ。仙台ではなくて小山なのは長距離は紀行で乗って欲しいのと、あくまで回送の体験乗車で車内の設備も使えるものが限られているからだろう。それでも、カシオペアの個室に乗りたいという気持ちを叶えるには十分すぎる商品だ。

前置きが長くなったが、いざ乗車当日。15:45までに小山駅改札前で受付とのこと。ギリギリで良いだろうと15:42に行ったら最後だったようで、私が受付を行うと机の撤収を始めていた。
受付を行うと首から下げる乗車証が配られる。小山→上野の運賃は今回の代金に含まれているため、これを提示すると小山駅の改札を通れるという仕組みだ。

小山駅の発車標

15:45に受付だが、16:08に入線するため、その時刻にホーム上の所定位置にいるよう案内を受ける。
売店で買い出しなどを済ませ、ホームへ。参加者の様子を見たところ、鉄道ファンも多いが子供連れの親子が多いのが意外だった。カシオペアは2016年に廃止になっているので、もはや今の子供の憧れの対象ではない気がするが、車両自体は現役なので子供向けの列車図鑑みたいな本に載っているのだろうか。

カシオペアツイン

指定されたカシオペアツインの2階席にいざ入室。部屋の入口はサンライズンのソロに似ているが隣の部屋同士のドアが隣接していたのが意外。隣の部屋がドアを開け閉めすると結構音が響く。
肝心の室内。カシオペアツインは寝台がL字型になっているのは写真で見たことがあるが、実際に入室してみると納得。
A寝台のため、室内にトイレが設置されている。このトイレが結構な面積になるため、苦肉の策で寝台をL字に配置しているというのがよく分かった。
寝台自体はA寝台のため、B寝台より幅が広い。サンライズのソロやシングルと比べて寝る時も快適だろう。

L字の寝台

16:12に小山を発車。定期列車の合間を縫う回送なので、追い抜かないようにややゆっくり走る。上野の着時刻は17:30で、乗車時間は1時間18分。室内から様々な体勢で外の景色を見たり、撮り鉄に手を振ったり等をしながら過ごした。
意外だったのは車内アナウンスで、車両センターの整備担当の職員が放送を行っていた。
このカシオペアの体験乗車という商品は微妙な立ち位置の存在で、乗車券や特急券を買って乗る通常の列車ではないし、旅行会社が旅行商品として売っているツアーでもない。「体験乗車」という名称の通り、工場見学などと同じように、自社の施設を体験してもらうという扱いの商品だ。
車内アナウンスや受付の担当者の対応も、どこか不慣れな感じがする。そう、このカシオペア体験乗車も最近流行りの「現場の社員の発想で登場した商品」の一環だ。通常は他の仕事をしている職員の有志がチームを組み、このカシオペアの受付や車内での案内などを行っている。ただ、大半の乗客はそこまで事情を知らないと思うので、「何でこんな不慣れな感じなのだろう」みたいに思っていそうだ。

あっという間に上野に到着。これで札幌まで行きたいものだ。上野では、折り返し車庫に向かうまで30分ほど停車時間がある。この停車時間は記念撮影タイムということで、列車の撮影を楽しめる。しかし、正直乗車を終えたら帰りたい人もいるだろうが、帰れないというルールになっていた。ただ、その場からふらっと立ち去って、手持ちの休日おでかけパスを自動改札に通せば勝手に帰ることは可能なので、その辺はまだ運営に不慣れだということだろう。

上野駅でのカシオペア

さすがにせっかくなので撮影を楽しむ。停車した上野駅13番線ホームはカシオペアの乗客しか入れないようになっているので、あまり混雑しない状況で撮影ができた。
そして折り返しが発車後は係員の誘導で上野駅の改札外に向かい、解散となった。
短時間の乗車だったが、割安な価格で夢のカシオペアに乗車することができ、大変満足の内容だった。今後、青森への夜行運行の設定が出たらゆっくり乗りたいものだ。

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