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18きっぷ効力変更について思うこと

つい先日、今冬より青春18きっぷの効力が変更となることが発表された。自動改札対応になる代わりに、3日or5日の連続使用が必要になるというものだ。
これに関して、思ったことが色々とあるので書き留めておく。
 
まず私自身、駅員をやっていた身からすると、18きっぷには一定の係員の負担があると感じていた。その負担とは、主に日付等を目視で確認するためミスの可能性があるのと、有人改札に列ができてしまうことだ。以下の記事に
詳しく書いている。


そのため、いつか自動改札対応or18きっぷ自体が廃止になることはありえると思っていた。まさか連続使用が前提の方式になるとは予想外だったが、よく考えたら類似品の秋の乗り放題パスや北海道・東日本パスも連続使用で自動改札利用可なので、その前例にならったのかもしれない。特に、秋の乗り放題パスは元々は3回分の18きっぷのような、任意の日付で3回使えたものが2012年より連続使用に変わり(その際は値下げされた)、大きな苦情もなかったから18きっぷもこのスタイルにしたのだろう。
 
しかし、秋の乗り放題パスと比べて18きっぷはかなり知名度があり、鉄道ファンじゃなくても知っている・愛用しているという人は多く、思った以上に反発があったように感じる。
18きっぷは5日間JR全線乗り放題、複数人使える、ということで、想像以上に幅広い使い方がされていた。特に、複数人で使ったり、日帰り旅行を複数回する利用パターンで愛用していた人から反発が多いようだ。
 
私自身の使い方といえば、基本的に複数人では使わず、1人で5回分使うことが多かった。複数人で使うとしても、各自で18きっぷを持参して個々で使うことが大半だった。18きっぷを複数人で使う場合、券を持っていない人は合流駅まで・解散駅以降は別途切符が必要だが、そのルールも少々分かりづらい。これも複数人利用中止の理由の一つだろう。
今回の改定に際し、「5日連続でなんて使わない」という声が多数あったのには驚いた。私はもちろん5日連続で使わないことの方が多いが、5日連続使用も過去に4回ある。
というのも、私はJR全線乗りつぶしを目標に18きっぷを使うことが多かったが、特に西日本エリアを乗りつぶすにあたって何度も東京~名古屋・大阪を18きっぷで乗るのはさすがに飽きるので、一気に5日かけて制覇ということをよくやっていた。もちろん各自の事情はあるだろうが、5日連続使用がそんなに非現実的ともいえないだろう。
 
「JRは売上減→18きっぷ廃止を狙ってるんだろう」という声もあった。廃止されるかは分からないが、売上減を狙っているのは確かだろう。
元々18きっぷというのは国鉄末期の増収策として作られたきっぷで、それが好評で定着して今に至るものの、乗る距離によってはかなりの割引率で、他のきっぷで乗ってくれるならそれに越したことはないだろう。
18きっぷが廃止されたら他のきっぷを全員素直に使うかといったら、そうではないのは当然だが、ある程度はシミュレーションして問題ないとの結論が出たのだろう。
 
また、「自動改札の仕様の問題で連続日程になったなら、QRチケットなどの手法で従来の5日バラバラにする方法もあるはずだ」という声もあるが、これも売上減を狙っているならわざわざやることではなく、特に検討することもないだろう。
 
ただ、「乗りまくる鉄道ファンは影響なしで、一般的な使い方をしている人が損をするのはおかしい」という声もあった。それもそうかもしれないが、逆に考えてみる。18きっぷのモデルコースで、東京~熱海の往復とか、東京~宇都宮の往復(ともに3960円)で元が取れる、とよく言われている。元が取れるのは確かだが、18きっぷ1回分の2410円と比較すると1550円の得ということになる。ただ、そのくらいの差額は今後は負担してくれということだろう。逆に、東京駅を早朝に出発すれば普通列車でも1日で新山口まで行くことができる。新山口までの片道運賃は12870円だ。もっとも、そんな行程は乗っているだけになってしまうので、実行する人はほぼいないだろうが、新山口を往復するなら最低2日、どこか寄り道するなら少なくても現実的には3日。3日用の18きっぷを使えば丁度いい。この、限られた予算で物凄く遠くまで列車で行けるという「夢」は残しておこうということではないだろうか。私自身、初めて18きっぷを使ったときは高校生の頃、3日連続で使って広島に行った。本やテレビでしか見たことのない広島。これを超低予算で訪れることができて、現地の様子を目の当たりにできたことは本当に感動した。
 
青春18きっぷというのは年齢制限はないが、名前の通り若者に使ってほしいという商品だと思う。私自身、2014年に社会人になってからはYouTube活動を始めるまで18きっぷは使わなかった。バイトの先輩方も「社会人になったら18きっぷは卒業だ、お金はあるけど時間はないから」とよく言っていた。
そんな中で、18きっぷ効力変更に意見しているのは大人が多いように見えた。もちろん、基本的に買い物は安ければ安いほど良いものの、そこは大人なら柔軟に他の選択肢を選んでも良いのではと思う。
 
とはいえ、お金のない私の高校・大学時代、全国各地を旅してJR全線完乗も達成できたのは間違いなく青春18きっぷのおかげだ。今はLCCや夜行バスも発達しているので、片道飛行機などでワープして、片道は18きっぷだとか、往復飛行機でワープして、現地の周遊だけ18きっぷを使うというのも良いだろう。
新生18きっぷも連続の日程であれば安く使えることは変わらないものの、シニア向けの大人の休日やジパング倶楽部と比べ、若者向けの割引というのは鉄道ではあまりないなと感じる。若者はお金がないが、若いときに経験した物事が将来につながるのは確かだ。若者の経験のために、若者向けの割引が拡充されていくと良いなと感じる。
 
最後に。「今回の変更は試験的なものです」という文言も見かけるが、それでも旧タイプに戻ることはないだろう。私の予想では新生18きっぷのスタイルで当面いくのではないかと思う。また、18きっぷの効力変更が話題にはなったものの、まだ変更を知らない人も多いだろう。今冬に18きっぷを買ってから気付き駅でトラブルになるという人もいるかもしれない。そこは駅員の踏ん張り時で、なんとか新生18きっぷが定着し、活用されていくといいなと思う。

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