白棚線に乗る
※こういった動画化されない旅行記はYouTubeのメンバーシップ限定で投稿していましたが、今回noteに投稿します。今後どうするかは未定です
2024年6月24日(月)
先日、白棚線の専用道の一部区間が今月末で廃止されると発表された。白棚線というのは、東北線の白河駅から水郡線の磐城棚倉駅を結ぶバス路線で、元々は鉄道だったものの、1944年に鉄道が休止。代替バスとなり、1957年から廃線跡をバス専用道に転用しているというものだ。
廃線後をバスが走るというと、気仙沼線や大船渡線のBRTや、最近では日田彦山線のBRTが記憶に新しいが、それらと比べはるかに昔から廃線跡を活用しているのがこの路線の特徴だ。
ただし、1957年時点では大半の区間が専用道だったものの、専用道の老朽化および国道の整備などにより、年々専用道区間は減少している。
前々から気になっていた存在なものの、専用道が減る前に、この機会に乗ることにした。
四街道659→東京743 しおさい4号
東京759→王子819 京浜東北線
王子835→西郷1120 あぶくま号
白棚線に乗るのにまず思いつくルートは東北線で新白河で下車。白河〜棚倉をバスで片道利用し、棚倉から水郡線・常磐線経由で帰る(または逆回り)ルートだろう。しかし、水郡線の本数が少なすぎるのでなかなか噛み合わない。
では、新白河まで鉄道で行って白棚線を往復利用するのはどうか。新幹線で新白河まで行くと少々高い。在来線で行こうとするとこれも上手く噛み合わない。
そんな中、高速バスで新白河に行くという案が浮上した。バスタ新宿〜郡山を結ぶあぶくま号というバスがあるが、これを途中の西郷で降りて15分ほど歩くことにより新白河駅に着けることが判明。しかも在来線に乗るより安くて速い(所要時間は時間帯による)。
あぶくま号には王子駅から乗車。窓側がいくつか空いている程度の乗車率。途中、羽生PAと那須高原SAにて休憩。これは休憩1箇所でも法律上問題なさそうな気もするが、2回休憩を楽しめてありがたい。
那須高原SAを発車すると10分ほどで西郷バス停に着き下車。降りたのは私の他に学生風の客が2名だった。
やはり高速道路上にあるバス停は独特の雰囲気で良い。使える限り使っていきたいものだ。
バス停を出ると、私の他の下車客はバス停付近で送迎の車を待っている様子だった。高速道路上のバス停は公共交通でのアクセスが不便な場合が多いので、これがスタンダードな使い方なのだろう。
私は新白河駅に向けて歩き出す。すぐ近くにイオンがあった。イオンに行くにも西郷バス停は便利だ。
ものの15分ほどで新白河駅に到着。
白棚線まで少し時間があるので駅構内のそば屋へ。ここはメニューに白河ラーメンがあるのでそちらをいただく。1杯750円。駅のそば屋だとラーメンでも500円くらいで食べられるイメージだったが、値上げの波を感じる。
新白河1210→磐城棚倉1252
いよいよ本題の白棚線に乗車する。白河駅が始発だが、まあ新白河から乗れば専用道区間は走破できるので新白河から乗る。新白河の時点で乗客は10名ほど。平日の昼の割に結構乗っている。
新白河駅の次のバス停はショッピングセンター。駅から歩くと15分くらいの地点だが、この辺りに様々な店舗が集中している。このへんに住めば普段の買い物は困らないだろう。
そこを過ぎると徐々に住宅が減っていき、乗客も減っていく。新白河から4つ目の団地前バス停より先は終点の棚倉駅まで降車はなかった。
途中の関辺バス停付近からついに専用道へ。まず、大船渡などの最近の専用道を走るバスは、専用道に入る前にゲートがあったりして誤進入を防止しているが、さすが1957年製の専用道。そんなものは一切なく、看板でバス以外進入禁止と書いてあるのみだ。
専用道に入ると、少々バスが揺れる。専用道区間は路面の状況が悪いと聞いていたが、このことか。
ただ、信号や他の車がいないのは思いのほか快適で、スムーズに専用道区間を進んでいく。
磐城金山で一般道に復帰し、すぐに表郷庁舎前で再び専用道に入る。ここからが今回廃止になる区間だ。
専用道に入ってびっくり、先ほどの区間と比べ物にならないくらい揺れる。場所によっては時速20kmくらいでゆっくり通過せざるを得なかった。
1箇所目の専用道はほぼ時速50kmで通過したが、こちらの廃止区間は時速30km〜40kmほど。これは廃止されるのも仕方ない。
高木付近から一般道に戻り、終点の磐城棚倉駅に到着。バスファンと地元民が半々くらいの利用だった。
磐城棚倉1330→新白河1413
磐城棚倉にはもともとJRバス関東棚倉支店だった車庫があり、バスが3台ほど停まっていた。
水郡線の列車が全然ないのでここから折り返しで新白河に戻る。ちなみに特定日のみ走る水郡線の13:05発という臨時列車があるが、そちらに乗れば15:09に水戸着となる。今日は運休だが、明日は運転日となっていた。運転日を調べてそちらに乗り継ぐのも良いだろう。
話を戻し棚倉の滞在は30分ほどで折り返しのバスへ。折り返しと表現しているが、車両も運転士も先ほどとは別だった。
帰りの乗客は6名ほどで、バスファンと一般客は半々。全員が新白河まで乗り通した。地元の方も全区間利用が結構いるのは意外だが、もはや水郡線は本数が少なく水戸も郡山も遠いので、棚倉ではあまり機能していないのかもしれない。
また、この便は専用道区間で対向のバスとの行き違いが発生した。専用道は単線の幅しかなく、行き違う際は所々ある待避所かバス停で行うことになるが、特に営業所と連絡のやりとりをしている様子は見えなかったので、恐らく運転士が目視で対向車を見かけたら待避できる場所で待避するというシンプルな仕組みだろう。
新白河からはさらにタイムズカーシェアに乗り換える。バスからはよく見えなかった専用道区間付近を再度見にいく。
まずは廃止区間入口である表郷役場前へ。専用道入口がガタガタなのは確かだが、錆びたチェーンの塊が地面にそのまま放置されていた。これは謎。
専用道は通れないので、そこから並行する国道を走行。なんと、国道上には既に新しいバス停が設置されている。移転するバス停は3箇所だけだが、仕事が早い。
高木付近の廃止区間出口も訪問。こちらも木で覆われていて薄暗く、木の枝が落ちている箇所もあった。そういった障害物の除去も専用道だと自前でやる必要があるのが難しいところだろう。
さらに、専用道存続区間まで戻り気になっていた番沢バス停へ。ここは国道から少し離れているが、バス停付近に集落があり、一定の利用があるだろう。青く塗られた地方交通線の待合スペースのような囲いとベンチがあるのが特徴的。
その付近に、専用道と一般道が交差する地点がある。基本的に一般道が一時停止で、バスはそのまま進めるが、ここだけは交通量の関係かバス側が一時停止となっている。ここに面白いものがあった。
専用道の入口の大半は「JRバス関東専用道路」と書かれているが、ここは「国鉄高速度専用自動車道」と書かれた看板が残っている。JRバス関東公式Twitterでも紹介していたので、あえて残しているのかもしれない。開業時の雰囲気を感じられる良い看板だ。ここでちょうど専用道をバスが通過していったので見送る。
新白河駅方面に戻るが、せっかくここまで来たら寄りたいところがある。南湖公園の交差点を左に入り少し進むと、JR東日本の研修施設だ。新幹線駅の新白河が最寄りではあるものの、駅からはかなり遠い。私もここで計2ヶ月ほど過ごしたものだ。
駅から遠いので研修施設へどうやってアクセスするかというと、従業員送迎バスが新白河〜研修センター間で運行されている。新白河駅にはバス停や時刻表も貼ってあるので隠すものでもないだろう。研修施設のすぐ近くにJRバス関東の白河支店があり、連節バスが停まっていた。これは国内で運行される連節バスの中でもトップクラスに乗車難易度が高いものだろう。私は運良く乗車した経験がある。
車を新白河駅に返すと16時40分頃になっていた。行きに活用したあぶくま号、帰りの最終は割と早く、西郷を16:44発だ。もう間に合わない。その代わりに、夕方の時間帯は普通列車を乗り継いで行くと割とスムーズに四街道まで帰ることができる。
新白河1712→黒磯1735
黒磯1742→宇都宮1834
宇都宮1838→東京2030
東京2045→四街道2126 しおさい11号
接続がスムーズすぎて行きよりも短い所要時間で無事に四街道へ帰宅できた。新白河くらいまでならギリギリ在来線でも行ける距離だろう。