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寺でバイトした思い出~大晦日・年越し編~
参考資料用に実際に護摩札を購入したため更新が遅くなってしまったが、前回の続きです。
私の勤務する信徒会館という部署では12月26日にも勤務があったものの、この寺のバイトの勤務初日は正式には12月31日。この日は全体の説明があるので、原則全員出勤する必要がある。
出勤する場所は信徒会館と書かれていた。これは私が勤務する部署だからというわけではない。信徒会館には数百名のバイト全員が入れるような大広間がある。
大広間には30種類ほどの部署名が書かれた札が掲げられており、自分の部署名が書かれた場所に座る。これで、まずはここは寺であること、宗派は真言宗であること、などの簡単な説明を聞く。
説明が終わると、部署ごとに引率の職員が先導して、それぞれ各部署に移動していく。面白かったのは、端に座った部署から順に呼ばれて移動していくのに、なぜか真ん中あたりに座っている「信徒会館」部署はスルーされてしまうことだ。結局、他の部署全員が移動し終わり、自分らだけになってしまった。自分らはここ信徒会館が勤務地なので移動する必要がないからだ。
大晦日の最初の仕事はこの広間の設営。部署名が書かれた札を全て撤去。現状では机なども全て撤去されていて、畳だけの広間になっているが、机と絨毯をセットしなくてはならない。2人座れる横幅1mほどの机を、300人座れるように150個並べて配置する。複数人で運ぶので意外と何とかなるが、男だけが力仕事とかは言ってられないので女性も机をひたすら運ぶ。
また、机の脇の人が座る部分には絨毯を敷く。これも、5mほどの長い絨毯がロール状になっていて、分厚いのでかなり重い。
設営後に掃除機をかけるが、絨毯の汚れは絡まるので取りづらく、コロコロ(粘着クリーナー)を活用する。コロコロは実家で使っていなかったので、利便性をここで知った。
そういった翌日の準備を行い、大晦日の勤務は17時に終了。しかし、その後は年越しの徹夜という勤務がある。5時間の間を開けて、22時に出勤だ。
私は自宅が近いので、家で一休みして再度出勤。徹夜は22時~翌朝9時で日給17000円。このタイミングが一番忙しいので、徹夜だけの一晩だけのバイトも別に募集しており、この一晩はその単発バイトの人とも一緒に働く。
信徒会館の部署は「2万円以上の護摩札を渡す仕事」と前回の記事で記載した。1万円以下の護摩札は、渡し場という、その名の通りただ引き渡して終わりなものの、2万円以上の場合は特別扱いで、広間に案内し、お茶を出し、引き渡しの際も風呂敷に包んで渡すという流れになっている。この風呂敷に包むというのが主なバイトの役割だ。
ただ、護摩札自体は本堂でお坊さんが祈祷をして、それを信徒会館に運んでくる必要がある。これが力仕事で大変なので、私は護摩札をひたすら運び、女性陣が参拝者に風呂敷に包んで引き渡すという担当になった。
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前回の記事でも紹介したが、護摩札は当日受け付けるものと、「元旦修行」という、1月1日に祈祷をして、後から受け取るというタイプがある。元旦修行をして、1月中どころか2月に受け取るというものもあり、とにかく元旦に発行される護摩札の数は膨大だ。1月1日には信徒会館だけでも何千という数の護摩札が発行される。そんなもの、台車に大量に積んで運べば良いだろと思うかもしれないが、ここは宗教施設だ。護摩札をそういった扱いはしてはならない。指定の台に乗せて、手で運ばなくてはならない。
そのため、0時を過ぎて本堂で祈祷された護摩札が台に100本くらいずつ乗せられて各担当者に引き渡され、各部署へ運ばれて行く。私は信徒会館で引き渡す分をひたすら運び続けるという仕事を行った。
重いものを運ぶこと自体は複数人なのでまだ良い。しかし、待機の時間等で立っていることが多いが、寺の中では靴を履かず、靴下だけだ。
この状況で立ち仕事をすると、思った以上に足が痛くなる。それが一番キツかった。
このひたすら私が運んだ護摩札は、深夜のうちにすぐに引き渡すものは風呂敷に包んで引き渡し、後で受け取るものは12月に作った棚に並べて置いておく。仕事が落ち着く午前5時頃には雑煮が振る舞われ、新年を迎えた感じがした。
9時に徹夜勤務としては退勤だが、まだ終わりではない。ここから1月1日の本来の17時までの勤務がスタートだ。
1/7までの期間は、2万円以上の護摩をひたすら風呂敷に包んで渡すという勤務。そして、信徒会館は”元旦修行”の護摩を渡すため、基本的にはもう本堂から大量の護摩札を運んでくる必要はない。
ただ、護摩札を次々渡していくのではなく、渡す時間は約1時間ごとだ。
流れとして、例えば10時の祈祷の回に受け取る参拝者の場合、
9時半頃に参拝者が広間に来る。お茶を出して広間でお待ちいただく。
9時45分に本堂にご案内、護摩の祈祷の様子を見ていただく。
その合間に出したお茶は片づけて護摩を渡す準備。
10時15分に本堂から広間へ戻ってくる。順次、護摩を渡す。
といった流れで、意外と慌ただしい。1時間ごとにこの流れがあるので、交代で休憩を取りつつ回していく。
忙しかったものの、何とか17時で退勤かと思ったら、職員から「残れないか」とのこと。1月1日は18時まで護摩があるので、片付けまで全て終わるのは19時頃。結局、2時間残業し、12/31の9時~翌19時の34時間中、29時間勤務となった。
正直、1月1日が忙しすぎたので、こんな忙しくて思ったよりキツいのではないか?と思ったが、杞憂だった。想像の通り、1月1日は一番忙しい。そして、分からないことも多く、先輩や職員に聞くことも多い。職員は特に忙しくてピリピリしているため、気持ち的にも疲れる。
ただ、1/2になると参拝者は1日の7割くらいになる。3が日を過ぎると大幅に減り、1月1日では一回に何十人もの参拝者に風呂敷に包んで渡す必要があったが、1月7日になると1回で2人くらいしか参拝者がいない時間帯もあった。7日まではどんどん楽になっていく。そんな仕事内容だった。
しかし、1月8日からは団体の対応という、全く違う仕事になる。果たしてまた忙しくなるのか、もっと楽になるのか。