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18きっぷ廃止騒動総括

今回、青春18きっぷが廃止されるのではとかなり騒動になった。私自身は、「廃止することはないと思うけどあり得なくはない」くらいの気持ちで見守っていたが、特に出版社が時刻表の表紙画像を公表していたのを取り下げたり、「18きっぷに関する情報は去年の情報です」と急にツイートしだしたりして、ますます混乱を呼んだ。
これに関して、「出版社が廃止になるなら知らないはずがない」という意見が多かったが、私自身は本を出した経験上、「出版社も絶対的な存在ではなく完璧ではない」と思っていた。もちろん交通新聞社の中でも、情報を知っている人は確実にいるだろうが、知らない人もいる。また、情報の正誤や公表する時期について、入念にチェックを行うが抜けてしまうこともある。私が出版した本にも誤植はいくつかあるし、私が書いた原稿を出版社の方で文字数調整などを行った結果、真逆の意味になってしまって再度修正、といったことも度々あった。もちろん、私が出版させていただいた出版社さんは交通系に特別強いわけではないので、そんな中で原稿のチェックなどをするのは相当大変だ。交通新聞社とはまた状況が違うのは確かだが、どちらにしても出版社だからといって何事も完璧にこなしているかといったらそうではないのも確かだ。

さて、今回の18きっぷの発売に関して、例年と1つだけ変更になった点がある。それが発売期間だ。例年は7月1日発売だったところ、7月10日からに変更になった。
それに関して、今回の騒動で話題になった「旅の手帖 7月号」(6月10日発行)という本がある。この号は18きっぷ特集となっており、交通新聞社発行なので18きっぷが廃止ならこんな本が出せるわけがない、と話題になった本だ。
しかし、6月14日になり突然、旅の手帖編集部の公式Twitterにて、
「18きっぷに関する情報は昨年度のものになります。ご注意ください」
というツイートがされた。あまりにも意味深でこれは18きっぷ廃止か?とざわつく原因になった。
このツイートの真相が明らかになった。6月18日(18きっぷ存続の発表当日)に、
「本誌にて、18きっぷの発売日が7月1日からとありますが、7月10日からの誤りです。訂正します。」
というツイートがされた。この訂正の意味は、単なる誤植の可能性もあるが、恐らく今夏の18きっぷ発売に関する詳細な情報について、交通新聞社の中でも旅の手帖編集部に関しては知る権限がなく、昨年の情報で作らざるを得なかったのではないだろうか。誤った発売日を記載したまま発売日を迎え、6月14日まで「昨年度の情報です」というアナウンスがなかったのも、単純に旅の手帖編集部では発売日が誤っていることも、まだ18きっぷの詳細が発表されていないことも気づいていなかった可能性が高い。なので、交通新聞社でも部署によって持っている情報やアクセスできる権限はかなり変わってくるといえる。

この発売日の変更があったため、他の18きっぷ関連で話題になった本も、内容を観れば事前に情報を知っていたかどうかが分かる。実際に確認してみた。

「旅行読売 7月号」(5月28日発売、旅行読売出版社)
こちらは夏の18きっぷの発売日等の情報が書かれてはいたが、本文中に「今夏の発売はまだ発表されていませんが、例年通りならこのような状況です」との記載だった。発売日が多少早いというのもあるが、事前に情報を知ることはできないという可能性が高い。

「JR時刻表」および「JTB時刻表」(6月20日発売、交通新聞社・JTBパブリッシング)
特にJTB時刻表は「青春18きっぷ活用ガイド」と書かれた表紙画像が削除されて話題になった。また、JR時刻表に関しても表紙に「夏の青春18きっぷ発売」と書かれているが、発売直前まで表紙画像は公開されていなかった。この表紙画像の扱いを見ると、本来はギリギリまで表紙画像を公開しないように通達がなされていたものの、JTB時刻表に関しては「担当者の凡ミス」で公開してしまい、それをチェックする機能もほぼなく、ネットで話題になってから削除するという事態になったのだろう。つまり、何事においても担当者の凡ミスは全然あり得るということも分かる。
発売された本文を見ると、しっかり18きっぷの発売期間は「7月10日から」の記載があった。これらの時刻表の編集部はさすがに事前に情報を仕入れられるということだろう。また、「※記載している情報は6月1日時点のものです」という注意書きがあった。紙の本の原稿締切は思ったより早く、記載の通り発売日の20日ほど前だろう。そのため、6月1日時点では「今夏の18きっぷが発売すること」「発売日が7月10日からに変更となること」は決まっていたのはほぼ間違いない。なので、「ギリギリまでJRや第三セクター各社間で調整を行っていたため発表が遅くなった」という説は正しくなく、元々発表はギリギリの6月18日にしようと決まっていた可能性の方が高い。その理由として、時刻表のお得なきっぷのページに「※社会的な情勢変化などにより発売が中止される場合があります」といった記載もあった。万が一、情勢変化があって後から発売中止にするくらいなら、ギリギリまで発表しない方がまだ楽だろうということで、このギリギリの発表になったということであれば納得がいく。

さらにもう一つ話題になった本があるのでこちらも確認してみる。
「青春18きっぷで行こう'24~'25」(6月18日発売、JTBパブリッシング)
こちらはムック本で、見た目は雑誌のような本だ。こちらの本文中には「夏の18きっぷは7月10日から発売」と、しっかり正しい情報となっていた。交通新聞社の似たような本、「旅の手帖」は誤りがあったのにこちらは正しいのはなぜか。「旅の手帖」は「旅の手帖編集部」という、時刻表編集部とは違った部署が制作している。一方、こちらの「青春18きっぷで行こう」は「JTB時刻表編集部」が制作している。そのため、正式な情報が載っている時刻表編集部が関わっているため、正しい情報が載っているということだ。

結果として、18きっぷの発売するか否か等の冊子の時刻表に乗っているような情報は、基本的に交通新聞社およびJTBの「時刻表編集部」のみ知っているのだろう。そして、時刻表の締め切りは遅くても毎月1日頃なので、18きっぷが廃止されるとなったらその頃には「18きっぷ廃止決定」と報道が出る可能性も高いだろう。
冬の18きっぷも恐らく廃止はされないと思うが、発売の情報はまだ出ていないので、これらの今回学んだ知識を覚えておいて、発表されるまでを見届けようと思う。

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