誰にも言わずにYouTube活動をする

2023年8月5日(土)
この日、YouTube界に激震が走った。日本人最速で登録者1000万人を達成した「スパイダーメーン」という覆面YouTuberの正体が「ヴァンゆん(登録者200万人超)」で有名なヴァンビさんだったことが明かされた。ヴァンビさんは日本一惨めな男と本人も語っているが、まさに惨めな男という落ちに落ちたところから一気に頂点に駆け上がったというストーリーは多くの人の共感を呼んだ。
ヴァンビさんのチャンネルでもその経緯は語られているが、ヒカルさんのチャンネルで1時間にもわたる動画でより詳しく語られている。私は2回も見てしまった。
そこで私だからこそ共感した部分がある。
「ずっと顔を隠してやってきた、ずっと誰かに言いたいと思っていた」
ということである。これこそ、登録者10万人と1000万人とチャンネルの規模は違えど、私がずっと思ってきたことだ。
私もYouTube活動を開始した当初は勤務先とのトラブル防止のため、顔を隠し、本当に仲の良い人以外には誰にも言わず、特に会社の同僚には言ってしまうと本人に悪意がなくてもポロっと口を滑らせてしまい、色々な人に広まってしまう可能性が高いので何が何でも言わないと心に決めていた。
鉄道に関する動画を多数投稿しているので、同僚との会話で私の動画で取り上げられているような内容に近い話題が出るようなことは多々あり、そこで良い反応をしてしまうと同僚が検索して私の動画にたどり着いてしまうかもしれない。なのでとにかく知らないふりを徹底していた。
同僚に「佐貫駅と佐貫町駅を間違える人がいるらしいよ」と言われた時の心境は今でも忘れられない。
(これは私を試しているのか…それとも本当に偶然か…まあどっちでも良いか)
「そんな奴いないでしょ!笑」
と、知らないふりをして話を切り上げる。こんな場面が多々あった。
また、同僚と仲良くなってしまうとどこかでボロが出たり、また遊びに誘われたりして動画の制作に時間を割けなくなってしまうため、特に2018年頃以降は誰一人として同僚と仲良くならなかった。もちろん一切会話をしないとかになってしまうと問題児なので、挨拶や世間話はしつつも絶妙な距離感を取るといった感じで。
しかしある日、後輩からこっそり声をかけられて、
「…綿貫さんですよね?」
とのこと。恐らく声や喋り方で気づいている人は気づいてるのだろうなというのは元々思ってはいたものの、それが確信に変わった瞬間だった。
ただ、退職後に佐貫駅の話題を出してきた同僚に私のYouTube活動について知っていたか聞いたところ、「全く知らなかった」とのこと。他の同僚や同期も皆が「全く知らなかった」とのことで、この気付いた後輩が特別鋭かったのかもしれない。
しかし、やっぱり登録者数千人とか数万人になってくると、「これは実は自分です」と言いたくなってくる。でも言う訳にはいかない。その状況が登録者1万人になった頃の2018年夏から退職する2021年夏まで約3年は続いていた。
しかもヴァンビさんは「日本一惨めな男」から一気に「日本一早く登録者1000万人に到達した男」に大逆転したような結果になったが、それに関しても私は似た状況である。
私は浪人して大学に入学、さらにバス会社に1年半勤めた状態で第二新卒で鉄道会社に入ったので、同期とは3年遅れで入社している。その時点で出世レース的には大幅遅れなうえに、仕事を寝坊で遅刻する事件を起こした結果、ほぼ全員受かる車掌試験にも落ちて実質1年留年が加算されて実質4浪状態。車掌試験の合格発表前日に寝坊するなんて人は今まで聞いたことがおらず、この話は同期の間でかなり有名になり、話したことがない同期でも知っているという状況であった。2018年6月、私は間違いなく「同期の間で最も惨めな男」だった。しかし、その裏では動画制作を続けていて、2018年8月には登録者1万人を達成し、その後も順調に成長を続けて今があるのは皆さんがご存じの通りである。
そして職場の同僚には動画投稿の件については話していないものの、一定の規模になったタイミングで上司には何とか許可を得ることができたので、合法的に働きながら動画投稿の収入を得ることも可能という状況だった。
つまり、2021年夏に退職する頃には「同期の間で最も惨めな男」だったのが、「同期の間で最も凄いことをやっている男」になっていた。これはヴァンビさんとは規模が何分の1のレベルの話でしかないものの、似たような体験で、きっとヴァンビさんも同じようなことを考えながら過ごしていたんだろうなと強く感じた。
さらに、退職したころは動画で顔出しはしていなかったものの、昨年の出版や、今年の事務所所属の発表といった節目に私の活動に気づく元同僚も多く、連絡をいただくことも度々ある。承認欲求の塊みたいで恥ずかしいが、やっぱり自分から言わなくても私の活動に気づいてもらえるというのは嬉しい。そんなことを感じながら日々過ごしている。
ただ、ヴァンビさんが動画で話していた通り、上がっていくうちは良いが、下がっていくとかなり辛いというのもよく分かる。私のチャンネルはずっと月1000人ほどの登録者の増加を続けていて、再生数も大幅に落ち込むことは今のところないが、やや停滞期が続くことは何度かあった。そのたびに綿貫チャンネルはもう終わりか、と暗い気持ちになるが、何とか乗り越えてきた。
幸い、金銭感覚については元々ケチなのと、金銭感覚が狂うほどの大金を手にしている訳ではないので今のところ問題ないが、それでも一定以上に収入が減ってしまうと恐らく今の千葉の家で暮らすのも苦しくなる日は来るかもしれない。
ヴァンビさんも、1000万人が終わりではなくここからがスタートと仰っていたので、私も常に今日が新たなスタートという気持ちを忘れずに日々を過ごしていきたい

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