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2010年の横浜スタジアムでの思い出
先日、日本シリーズにて横浜DeNAベイスターズが優勝し、1998年以来の日本一となった。1998年といえばマシンガン打線と大魔神佐々木が有名で、当時私は小学2年生だったが本拠地のお隣である川崎市ももちろんベイスターズファンが多く、大変盛り上がっていたのを記憶している。
それから12年ほど経った2010年、私は大学1年生となった。高校生の頃は駅員のバイトだけしていたが、働ける時間が限られていたので新しいバイトを探していた。たまたま野球好きの友人が高校生の頃から横浜スタジアムでバイトしており、いまバイト募集してるよと教わったので私も横浜スタジアムでバイトを始めることにした。
横浜スタジアムでは毎年春頃に求人が出て、5月頃には締め切られる。私は少し出遅れたがゴールデンウィーク前に面接、ゴールデンウィーク真っ最中から勤務開始となった。
仕事内容は球場の売店でのお菓子や飲み物の販売。当時はレジがなく、暗算で会計を行っていたので一昔前の駅の売店のようなイメージだ。
しかし意外と力仕事の部分もあり、外は暑く飲み物がバンバン売れるので、その品出しが結構大変。開店前に1階の倉庫から台車に段ボールに入った飲料を何個も積み、売店付近の物置に移動。開店後は売れてきた商品を物置から出して補充。まあまあ腕が鍛えられた。
そんな体力勝負なバイトなので男性が多いかと思ったら、実は女性の方が多い。恐らく、「球場のバイト=ビールの売り子」というイメージが多く、男性は応募を躊躇し、逆に女性は積極的に応募するのではないかと思う。学歴もバラバラで、高校生から大学生、フリーターまでいたが、一番年齢が高い人でも30代前半くらいだった。1つの売店に5~6人ほどで勤務するので、色々な同僚と話すのが結構楽しかった。男性バイトは野球が好きな人が多いが、女性は逆に野球を全然知らない人も多い。この仕事に野球の知識は必要ないものの、試合の展開によって客の波があったり、たまに客が試合についての話題を話しかけてくるので野球の知識は多少あった方が良い。通路のモニターで中継画面自体は見られるので、詳しい人が詳しくない人にルールを説明するという場面もよくあった。
また、球場のバイトという性質から横浜スタジアムで試合がある日しか勤務がないので、日程の都合をつけやすかった。このバイトだけでやっていくのは少々苦しいが、掛け持ちバイトとしては適任だ。
この2010年はベイスターズの暗黒期で、安定の最下位、観客数は1万人を切ることも時々ある状況だった。確か観客が2万人以上入ると、「大入袋」と書かれたポチ袋が支給され、ちょっとしたボーナス(硬貨1枚、確か100円)がもらえる。この大入袋も2回くらいしかもらった覚えがない。同じ条件だと今年は毎日のように大入袋が支給だろう。
また、2015年より横浜スタジアムはベイスターズの子会社となっているが、当時は株式会社横浜スタジアムという別会社だった。どうやら球団としては赤字だが、(株)横浜スタジアムとしては黒字という状況だったらしいものの、やはり社員は少しピリピリとした雰囲気だった。恐らく球場側と球団側で揉めることも色々あったのだろう。
そして追い打ちをかけるのがシーズン終盤、ベイスターズ身売りの騒動だ。球団の経営悪化に伴い、親会社のTBSが身売り先を探しているとの報道が。さらに、新潟に本拠地を移転する可能性があるという報道もあった。仲の良い先輩は新潟出身で、「これは新潟米スターズだ」と喜んでいたが、大半のバイトは「来年からこのバイトどうなるんだろう」という感じだった。
そして2010年10月7日、シーズン最終日。余裕の単独最下位は確定している状況で、4連敗中で迎えた試合。観客は25000人と当時の平日にしてはあり得ないくらい入った。試合は当時1年目の筒香選手の初安打兼初ホームランもあり、2対0で9回表へ。2アウトになり、実況が「抑えの山口からキャッチャー武山へ。キャッチャー武山もこの苦しい1年間を支えてくれました!投げました!三振!試合終了!!!!」というアツい実況で、もはや優勝したかのような盛り上がりは今でも覚えている。まだ横浜ベイスターズの身売り騒動の最中で、来年どうなるかが決まっていない中での最終戦だった。
最終的に2010年度は身売りはせず、横浜ベイスターズは存続することになった。バイトは1年ごとの契約のため、12月頃に球場で契約更新がある。翌年も働いてもよかったものの、私自身、この年は大学受験で1月~3月の収入が少なかった補填のような意味合いで球場のバイトをしており、翌年は寺でのバイトで稼ぐことが決まっていたので球場バイトはこの1年のみとし、自由契約となった。
その後、翌年にDeNAが球団を買収し、2012年より横浜DeNAベイスターズとなってからは人気が上昇、そして日本一となる今に至る。
今でもオリックス対横浜の観戦のために2年に1回ほどは球場を訪れるが、売店のバイトも運営会社がDeNAになってからも大きく変わらずに存続しているようで、見ると嬉しくなる。来年もベイスターズの活躍が楽しみだ。