
週末パスの思い出
つい3日前の2月19日、週末パスが6月末をもって廃止されると発表された。この機会に週末パスの記憶を記載しておく。

週末パスの前身といえば土・日きっぷ。2日間18000円で特急や新幹線にも乗れるという便利な切符で、私が初めて自分で切符を買って旅をしたのもこの土日きっぷであり、思い出に残っている。さらに、中高生用という価格設定があり、中高生は半額の9000円で利用できた。私は高2になってから鉄道趣味を始めたので遅咲きだが、ギリギリ中高生価格を活用させていただいた。

この土日きっぷは私が浪人生の年度、2010年3月末で廃止された。そのため、浪人生の年は通常価格の18000円でもしっかり利用した。
土・日きっぷ廃止に伴い、後継商品としてウィークエンドパスが設定された。
値段は8700円となったものの、乗車券部分のみ有効で、特急券は別途購入が必要になった。これに対してネット上での反応は、「特急に乗れないなら価値がなくなった」「それなら18きっぷで良い」「もう使わない」というものが大半だったと記憶している。
実際私もウィークエンドパスを有効活用するのは難しく、手元にある1枚は、往路は新潟まで新幹線で行き、そこから普通列車を乗り継いで秋田(酒田~秋田は別途運賃支払い)、復路は寝台特急あけぼの号のゴロンとシートを活用するという利用法だった。
土日きっぷでもあけぼのゴロンとシートは利用でき、何度か使ったが、あけぼのゴロンとの特急料金は3000円ほどと格安なので、これと組み合わせるなら割と合理的にウィークエンドパスを活用できた。

ウィークエンドパスは2013年から週末パスにリニューアル。しかし、寝台特急あけぼの号は2014年3月で廃止となり、復路をあけぼの号を活用するという技が使えなくなり、ますます活用が難しくなった。
1回だけ使ったことがあるものが手元にあるが、これは大学の同級生と一泊で新潟に行った際に活用したもので、特急料金を節約して熊谷から新幹線に乗って新潟下車、新潟の二郎を訪問。周辺を周遊しつつ翌日はガーラ湯沢支線に乗車。最後はシーハイル上越(石打~大宮の臨時快速)で帰ったという行程だ。特急券を追加購入すれば特急には乗れるものの、総費用が従来の土日きっぷの値段を上回ると損した気分になるという心境だったので、こういった行程になっている。
実際、新幹線に乗るのであればトクだ値を取った方が結局安いということも多く、ウィークエンドパス・週末パスともに過去1回ずつしか使ったことがない。
鉄道会社入社後、窓口できっぷを売ったり改札で乗客の切符を見たりした感じだと、まず改札では、18きっぷ等のフリーパスに下車印を求める鉄道ファンは多いが、週末パスで下車印を求める人は見た記憶がない。もちろん利用エリアの問題で、週末パスで関東を周遊する人は少ないとは思うが、それにしても全然見かけなかった。
出札で切符を売った際にも、乗客の方から「週末パス下さい」と言われることも時々あるが、よくあるのは
「明日の仙台の往復ですね、そうしますと乗車券は週末パスにしたらお安くなりますよ」
と、窓口から提案するパターンだった。もちろん、知っている人は自分で券売機で買うので、どのくらいの割合かは分からないものの、とにかく東京~仙台の単純往復に係員側が提案して週末パスを売る、という利用が多かったのではないかと思う。
こういった客は、週末パスがなくても正規の運賃を支払って乗ってくれる人達だ。そこをわざわざ強制的に割り引くのは会社として損だろうな、というのはよく思っていた。
また、フリーパスというものも徐々に役目を終えつつあるのかなとも感じる。フリーパスは客側も事業者側も、切符の購入・販売の手間が省けるというメリットがある。しかし、実際のところ今は多少高くてもICカードで乗るという人が大多数だ。ICカード利用エリアもついに長野駅にも広まるので、ここで週末パスは一区切り、ということだろう。
週末パス廃止の翌日に、外国人用フリーパスの発表があり、少々炎上した。ただ、フリーパスは役目を終えつつあるものの、外国人客に関しては別で、特急も含めて乗車できるフリーパスを入国時に売ってしまう方が対応は楽だ。また、今回発表されたのは東北エリア用の10日間用のもので、東北エリア用の5日用のパスや、日本全国で使えるジャパンレールパスは元々存在する。そのため、急に外国人客の優遇が始まったわけでもない。
発表の時期は少々良くないとは思うものの、フリーパス類の改廃は行う時期も決まっているだろうし、様々な事情でこのタイミングで発表するしかなかったのだろう。想像以上に炎上していて少々気の毒に感じる。
週末パス廃止まであと4ヶ月、長らく使っていなかったものの、上手い活用法を考えて最後にもう一度使うのも良いかもしれない。